ホーム ブログトップ デジタル広告市場の現状:デジタル広告からの脱却を目指す広告主

ブログ

米国マーケティングトレンド研究会 2021.11.25

デジタル広告市場の現状:デジタル広告からの脱却を目指す広告主

プライバシーポリシーが新しく変わったことにより、デジタル広告に大きな影響が出ており、フェイスブックのような従来のプラットフォームでの広告展開が難しくなってしまった企業があります。アナログ広告に注力するケースや、新たにリアル店舗をオープンしようとするケースも見られます。これは知名度の高い大企業にとっては良い戦略ですが、中小企業や知名度の低い企業はデジタル広告を続ける方が良いと言えるのではないでしょうか。

はじめに

米国のホリデーシーズンは、一年で最も多くの広告が出る時期です。この2年間でEコマースへの移行が急速に進んだため、多くの広告主がデジタル広告に予算を費やすのは当然のことと言えました。しかし、最近ではデジタル広告に頼らない戦略をとる企業が増えてきています。

デジタル広告市場の現状:デジタル広告に立ちはだかる壁

①新しいプライバシーポリシー

フェイスブックを抜きにデジタル広告を語ることはできません。しかし、残念なことに、フェイスブック上で広告を出すことは、どんどん難しくなっていっているのです。

今年の初め、AppleiOS 14のアップデートをリリースし、ユーザーは、ほとんどのアプリからデータ収集されないことを選択できるようになりました。その中には、フェイスブックやインスタグラムといった主要なソーシャルメディアも含まれています。[1] こういったユーザーに関するデータが収集できなければ、広告ターゲットの設定が難しくなります。

フェイスブックの親会社であるMeta社は10月、このiOSの機能によって広告に大きな影響が出ていることを認めました。9月時点では広告収入は伸びると予想されていましたが、実際は横ばいになってしまったのです。この背景には、アップルユーザーの62%が、自身のデータを収集されないように設定している、という状況があります。米国では、46.9%の人がiPhoneを所有しています。[2]

Appleのこういったポリシーの影響を受けるプラットフォームはフェイスブックだけではありませんが、フェイスブックは新規顧客に向けてデジタル広告を出す際の主要なプラットフォームのひとつであることは確かです。

その② デジタル広告費の高騰。

パンデミック直前の2019年後半に比べて、フェイスブックでの広告費は33%も上昇しています。インスタグラム広告も23%、グーグルのクリック単価も23%上昇しています。[3]

価格が上昇している背景には、デジタル広告を出すために、これまで以上に競争が激しくなっているという事情があります。新型コロナのパンデミックが起こり、多くの企業が広告を減らしました。また、パンデミックの影響で、多くの企業がEコマースやデジタルチャネルを利用して顧客を獲得することに注力するようになりました。経済活動が再開すると、さらに多くの企業がデジタル広告を出そうとし、広告費が高騰するという結果になりました。[4]

激化するデジタル広告競争。広告主はどう立ち向かうべきか?

デジタル広告費の上昇と広告効果の低下を受け、多くの企業がマーケティング戦略の見直しを始めています。こういった状況の打開策として、「昔ながらの」広告に回帰する企業があります。

例えば、ダイレクトメールやカタログ、テレビ、ポッドキャスト、有名人を起用した広告にシフトしたり、将来的に実店舗を増やそうとしたりしています。

Eコマースが成長を続ける中、実店舗への移行は的外れだと思えるかもしれません。しかし、消費者が何を買うかを決める場として、リアルな体験がより重要になってきていると考える企業が増えているのです。Eコマースの利便性は、今後も衰えることはないでしょう。しかし、新規顧客を獲得するという面においては、カスタマー・エクスペリエンスの向上に取り組んでいる企業の方が、そうでない企業に比べて10%も高い成長率を達成しています。

というのも、今の(そして恐らく2022年にも続く)マーケティングトレンドがパーソナライゼーションだからです。マスレベルではなく、一人ひとりのニーズに合ったものを提案できるブランドが成功をおさめることになるでしょう。[5]

デジタル広告はやめるべきか?

高額なデジタル広告から戦略を転換することは、安定した顧客基盤を持つブランドにとっては理にかなっているといえるかもしれません。しかし、残念ながら中小企業や知名度の低い企業の場合はそうとは言い切れません。

ソーシャルメディアやデジタル広告は、まったく何もないところからブランド認知を広げていくための最速の方法であることに変わりはありません。まだ基盤を確立しておらず、認知度を高めようとしている企業は、コストがかかってもデジタル広告に投資すべきです。デジタル広告は、長い目で見れば、消費者に新たなブランドを知ってもらうためにはとても有効な手段なのです。

もしあなたの会社に、カスタマー・エクスペリエンスに投資する余裕があるのであれば、それは無駄なことではありません。あなたの製品・サービスを使ってみて「良いな」と思ったお客様は、友人に勧めたり、ネット上で話題にしたりしてくれるでしょう。良い体験のリアルな記録は、どんなデジタル広告よりも価値があります。この時期、カスタマー・エクスペリエンスをより高めていくこととデジタル広告の活用の両面から、マーケティング戦略を見直していくことが重要だと言えるでしょう。


参照元:

[1] What Apple’s Privacy Push Means for Your Digital Advertising

[2] Percentage of us population that own a iphone smartphone

[3] Higher prices weaker targeting push companies to rethink digital ads

[4] Companies are rethinking, digital ads as prices rise and targeting becomes more difficult

[5] Rip digital advertising customer acquisition is now a cx game

プロジェクトのご相談やご依頼につきましては、以下のフォームに必須項目をご入力ください。
24時間以内に回答いたします。

お問い合わせ
前の記事
日本のスキンケアレビュー:La Vie Précieuseは肌人生を変えるほどの商品だ

前の記事 米国マーケティングトレンド 日本のスキンケアレビュー:La Vie Précieuseは肌人生を変えるほどの商品だ

次の記事

次の記事 米国マーケティングトレンド アメリカで若者に人気のSNS「スナップチャット」の画期的な新機能とは?

アメリカで若者に人気のSNS「スナップチャット」の画期的な新機能とは?

ランキング

今月の人気記事はこれっ!

“米国マーケティングトレンド研究会”
最新の記事

見どころ満載!ファンにはうれしいアニメイベント「アニメエキスポ チビ 2024」開催!2024
詳細を見る
まだ間に合う!ホリデーシーズンに向けてキャンペーンの準備はできてる?
詳細を見る
アメリカの麺類: すっかり人気のラーメンに続く進化系麺料理は?
詳細を見る

ランキング

今月の人気記事はこれっ!

トップに
戻る