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米国マーケティングトレンド研究会 2021.07.14

ソーシャルメディア・マーケティングの新ルール。ピンタレストが減量広告を禁止する?

Pinterest(ピンタレスト)は、プラットフォーム上で減量広告を禁止しました。これは、ピンタレストがポジティブさやインスピレーションとのつながりを大事にしたいと考えているからです。この行動は、ピンタレストというブランドにとって、また、ソーシャルメディアを見ることで落ち込んでしまう多くの人にとって価値あることだと言えるでしょう。

ソーシャルメディアのプラットフォームはうつ病の発症率を高めると言われていますが、ピンタレストはフェイスブックやインスタグラム、ツイッターとは異なり、ユーザーがインスピレーションや新しいアイデア、生活を豊かにする新しい商品を発見したりする場所です。このポジティブな雰囲気を守るため、2021年7月1日より、ピンタレストは減量広告をプラットフォーム上から排除しました。

ピンタレストの新しいソーシャルメディア・マーケティングの規制詳細について

ピンタレストには、すでに広告コンテンツの公開に関する厳しいルールがあります。この一連のルールはクリエイターコードと呼ばれ、ピンタレストのサイトユーザーに対する希望を明確に表しています。[1] しかし、今回、その制限が拡大し、7月1日より、BMIへの言及、減量前後の画像の表示、減量についての議論、理想的な体型があること等を示唆する広告は掲載できなくなりました。[2]

ピンタレストのコンテンツ責任者であるアヤ・カナイ氏は、この動きを自然なステップと表現しています。ピンタレストは、ユーザーのためにポジティブな空間を作ることを約束しており、カナイ氏は、「減量を促進したり、特定の体型を理想化したりする広告は、有害なきっかけとなる可能性があります。この新しい禁止事項は、あらゆる体型のユーザーがピンタレストを安心して利用できるようにするためのものです。」と述べています。[3]

ピンタレスト社の報告によると、「ボディニュートラル(体をありのまま受け入れること)」や「ボディシェイミング(外見を批判すること)の引用をやめる」といった言葉の検索結果は、2020年には前年の水準の5倍となっていました 。[4]

つまり、ピンタレストのユーザーはアンチ減量広告やアンチ減量商品を見ていたということで、ピンタレストがボディシェイミング広告を全面的に禁止する動きをするのは理にかなっています。企業は引き続き健康商品を販売することはできますが、減量の文脈で広告を出すことはできなくなりました。

ソーシャルメディアプラットフォームから減量広告を削除する2つの利点。

1. パンデミックにより、摂食障害を含むメンタルヘルスの問題が爆発的に増加している。

このパンデミックは、世界がこれまでに経験したことのない最悪の健康危機のひとつと言えます。新型コロナウィルスからの直接の影響に止まらず、1年もの間、自己隔離を行っていたことで、摂食障害をはじめとする複数の精神衛生上の問題が発生しました。パンデミック前の2020年1月と比較すると、2021年1月は摂食障害に関するヘルプラインへの問い合わせが41%増加しています 。[5]

ソーシャルメディアの使いすぎやパンデミックによるストレスは、多くの人、特に子どもたちにダメージを与えています。多くの若者、特に女の子は、自分の見た目に不満を持っており、そのような感覚は、不安やうつ、摂食障害の発生率の増加につながっています。さらに、それらの症状の多くは、体重増加や、自意識過剰になったりする原因ともなります。

減量広告を禁止することで、ピンタレストはそのような状況に責任を持って対処しました。メンタルヘルスに悩む人々にとって、ピンタレストはより安全でリラックスできる場所になったのです。

2.ソーシャルメディアの中で初の試みを行うピンタレスト。

すべてのソーシャルメディアサイトは、投稿できるものとできないものについて独自のルールを持っていますが、体を辱める減量広告を禁止したプラットフォームはピンタレストが初めてです。

ソーシャルメディアは、過去10年間で精神衛生上の問題が急増した直接の原因となっています。ソーシャルメディアをあまり利用していない人は、利用している人よりも平均して憂鬱度が低いと言われています。[6]心理学者はこの要因を、ソーシャルメディアを見ることで、自分の生活と画面上の生活を比較するようになるからだと考えています。このような比較を頻繁に行う人ほど、うつ病になりやすいと言われています。

インスタグラムとフェイスブックは、2019年、減量広告についてのルールを厳格化しました。広告中に魔法のようなダイエット法や減量商品が出てくることに対応したのです。しかし、この種の広告を完全に禁止したのは、ピンタレストが初めてとなります。今回のピンタレストの対応により、他社が追随するための扉を開いたと言えます。

画像:上の写真のような減量前と減量後の写真は、もはやピンタレストの広告コンテンツとして認められません。このような写真は、減量が幸せの鍵であることを暗示しており、有害なボディシェイミングのステレオタイプを助長していると、ピンタレストは指摘しています。

ピンタレストのソーシャルメディア・マーケティング戦略は、ポジティブさに基づくものでなければならない。

ピンタレストの目標は、ユーザーにとって、平和、幸福、そしてインスピレーションの場となることです。また、ピンタレストのユーザーも、ピンタレストに対して同じことを望んでいます。だからこそ、ピンタレストの広告は常にポジティブなものでなければならないのです。

減量広告は通常、「ポジティブ」なものではありません。標準的な痩せ型の体型を望ましいものとして設定し、視聴者がその体型に当てはまらない場合は、落ち込んだり、敗北感やストレスを感じたりします。

この禁止令が出る前の減量広告は、ネガティブな切り口で商品を売るのが普通でした。視聴者に「あなたは太っているから、この商品が必要です」と暗に伝えていたのです。今後は、減量に関連したポジティブなメッセージを広告に盛り込む必要があります。例えば、「あなたの健康は、大切にしていかなければならない贈り物です」というのは、減量製品を購入させることができるポジティブなメッセージです。

こうした戦略は、減量製品や企業がピンタレストでマーケティングを行う際に必要になってきます。ダイエット商品を販売する企業は、ネガティブなメッセージでなければ商品を宣伝することが可能で、自分の体を贈り物として扱うことで、ジムの会員権の購入意欲を刺激するという手法は、2020年に高級ジムのEQUINOX(エキノックス)が実際に行っています。[7]

ピンタレストは、有害な減量広告を全面的に禁止した最初のオンラインプラットフォームですが、他のプラットフォームが追随するかどうかはわかっていません。ダイエット産業の評価額は700億ドルを超えており、その広告収入を失うダメージは大きいからです。最終的には、ユーザーの反応と、この決定によってピンタレストへのトラフィックがどれだけ増えるかにかかっています。

 

ワイズアンドパートナーズでは、企業のピンタレストをはじめ、フェイスブックやインスタグラムなどのSNSマーケティングを支援しています。ご興味のある方はこちらからお気軽にお問い合わせください。


参照元:

[1] https://business.pinterest.com/creator-code/
[2] https://www.nbcnews.com/think/opinion/pinterest-bans-weight-loss-ads-won-t-end-anti-fat-ncna1273164
[3] https://www.allure.com/story/pinterest-bans-weight-loss-ads
[4] https://www.cbsnews.com/news/pinterest-bans-weight-loss-diet-ads/
[5] https://www.webmd.com/lung/news/20210331/eating-disorders-are-up-during-the-pandemic
[6] https://www.verywellmind.com/social-media-and-depression-5085354
[7] https://www.crfashionbook.com/culture/a30393299/equinox-2020-campaign-glen-luchford-floria-sigismondi/

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