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米国マーケティングトレンド研究会 2018.04.18

学生に広まるAmazon中毒!Amazonの仕掛けとは?

私たちのアメリカオフィスの近くにはカリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)があり、大学のすぐそばには、ユニバーシティセンターが併設されています。そこは、キャンパスの近くや寮に住む学生が買い物をし、食事をする学生の憩いの場として賑わっています。
最近、そのユニバーシティセンターの中にアマゾンの店舗ができました。オンラインでは馴染み深いアマゾンブランドですが、路面の店舗としては見慣れない存在です。どんなサービスを提供しているのか気になって、訪れてみたところ、アマゾンの商品を受け取ることができるピックアップ店舗でした。
どこにでも電車やバスで買い物に出掛けることができ、ほしいものは何でも容易に手に入る日本とは違い、日本の約25倍の国土をもつアメリカでは、そういったわけにもいきません。特に、寮やキャンパスの近くに住む学生は、車を持っていないことが多く、買い物の選択肢を増やしてくれるアマゾンは、強い味方です。
しかし、ここで問題になるのが、アメリカの多くの大学生は授業や試験勉強で忙しく、家を留守にすることが多いため、実際にはなかなか荷物を受け取ることができないということです。また、寮ではすべての学生の荷物がまとめて受付に届けられます。そのため、アマゾンの履歴では「配達済み」となっているのにもかかわらず、受け取りまでの手続きに時間がかったり、最悪の場合、大量の荷物にまぎれて紛失することもあります。
ピックアップ店舗は、こうした学生の問題を解決する画期的な店舗なのです。
その仕組みはシンプルです。顧客は、アマゾンで商品を注文する際、商品のお届け先に「ピックアップ店舗」を選択します。商品がピックアップ店舗に届いたら「到着通知」がメールで届くので、あとは自分の好きな時間に商品を受け取りに行くだけです。
商品の受け取り方法も全てシステムにより自動化されています。アマゾンから届いたメールの「商品受け取り用のバーコード」を備え付けの機械にかざすだけで、商品の入ったロッカーのドアが自動的に開き、商品を受け取ることができるという仕組みです。
その他にも、返品用のラベルを発行する機器やボックスも完備しているので、商品が気にいらなければ、その場ですぐに返品することも可能です。実際に利用してみて、商品受け取りまでの全てのプロセスがシンプルかつスムーズに行うことができる利便性の高さを実感しました。
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とはいえ、オンラインで大成功しているアマゾンが、オンラインから飛び出し、1円も生み出さない「オフライン店舗」へ投資する必要はあるのでしょうか? ましてや、多くの学生は休暇期間になれば帰省してしまい、ユニバーシティセンターは閑散とします。それでも、ユニバーシティセンターに店舗を持つメリットはあるのでしょうか? この他にも、アマゾンは学生に対して、プライム会員を半額で提供しています。大学内のメールアドレスにメールが送られ、そこから登録すると半額になるのです。
ふとある日のことを思い出しました。アメリカ人の友人に「アメリカの良いところって、なんだと思う?」と尋ねたことがあります。すると、彼女は笑いながら「アマゾンかな」と言いました。その答えに、まさにアマゾンの本当の狙いが隠されていると思います。
アマゾンは、親から離れて一人暮らしをはじめる大学生、つまりお金の使い道を考え始める年代の若者を捉え、「アマゾン中毒者」を生み出したいのです。アマゾンの利便性を早くから気づいてもらい、どんどんアマゾンを利用してもらうことで、気づいたらやめられなくなってしまうというある意味「中毒状態」を生み出そうとしているのではないかと思います。
そう考えれば、アマゾンにとってこうした学生へのサービス提供は、未来への些細な投資なのかもしれません。オンラインからオフラインまで、中毒者を増やす取り組みはまだまだ続くでしょう。そんなことを考えながら、今日もアマゾンで商品を注文してしまう私は、その中毒者の一人なのかもしれません。

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