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米国マーケティングトレンド研究会 2021.01.08

デジタルマーケティング:2021年のAI配送サービスの未来とは?

UberEats(ウーバーイーツ)、DoorDash(ドアダッシュ)、Postmates(ポストメイツ)のような配達アプリは、2010年代に誕生して以来、ギグエコノミー(インターネット経由で企業から単発または短期の仕事を請け負う労働環境ビジネス)の礎となってきました。特に新型コロナウィルス禍の厳しい状況が始まって以来、より安全な食品の配達だけでなく、求職中に生活維持をするための収入源としても多くの人がこれらのサービスを利用しています。

しかし、2021年以降、一部の企業がAIデリバリーサービスへの投資を検討していることから、こうした地道な人力配達の職が脅威にさらされる可能性が出てきています。

AI配送サービスとは、自動運転車や配送ロボットのようなものを指します。米国内では、自動運転車の道路上走行に関しては、州ごとに異なる法律があり、現在少なくとも35の州が自動運転車に関する何らかの法律を制定しており、一部の州では自動運転技術に関する行政命令が出されています。[1]こういった動きは2012年から続いており、今後も注目を集めると考えられています。

パンデミックの間、多くの人々は、自分で外に食事や食物を取りに行くことをやめ、自宅のドアまで非接触状態で配達してもらうようになりました。専門家は、パンデミックの期間が長引いている今、今後ワクチンが投与され、日常生活の一部が正常に戻った後も、人々は宅配注文の習慣を続けていく可能性が高いと予測しています。

消費者が自動配送サービスに関心を持っているということを裏付ける証拠もあります。The National Retail Federation(全米小売連盟)が2020年3月に実施した調査では、回答者の58%が自分のビジネスでの自動運転化技術導入に興味を持っていると回答しています。

世界的に有名なピザチェーンであるドミノ・ピザは、2020年初頭に新型コロナウィルスのロックダウン令が発令された際、自動配達サービスのテストを実際に行っていました。2021年春にも一部の工場でテストを再開する予定です。ドミノピザの広報担当ディレクター、ジェニー・フォーケア氏は、ソーシャルディスタンスを保つという優先度が高まっているため、今後は一部の顧客は完全に自動化された配達を好むかもしれない、と述べています。[2]

ウイルスにおける安全性を高めるだけでなく、自動配送には他の利点もあります。最大のメリットの1つは、二酸化炭素排出量の削減であると考えられています。現時点では、目的地に商品を運ぶため、道路上には不必要な数の車両が走行しています。フードサービスアプリの配送に使用されるようなガス燃焼式の自家用車を、二酸化炭素低排出・無排出の自動運転車に置き換えることにより、交通量を減らすことができ、大気中への有害な放出物を減らし、特に、人口密度の高い地域の大気質を改善することができます。[3]

しかし、こうした自動化技術の導入は、2020年に多くの人々が収入源として依存するようになったギグエコノミーにも悪影響を与える可能性があります。具体的な数字を挙げるのは難しいですが、ある情報源によると、Uberはパンデミック発生前、ニューヨークで約5万人のドライバーを抱えていましたが、その数は2020年末までに約8.6万人に増えたと言われています。これは、ニューヨーク市だけでドライバー数が72%増加したことということになり、同じような成長率を全米の大都市にも適用すると、雇用のためにUber、UberEats、DoorDashなどのアプリに頼る人が明らかに増えていることがわかってきます。[4]

[5]

画像:Kiwi Campusのウェブサイトより

 

自動配送システムの小規模版のものは数年前から実用化されています。カリフォルニアでは、スタートアップのKiwi Campus(別名Kiwibot)が2017年からベイエリアの大学キャンパスで食品の自動配送を行っています。Kiwibotは車輪に乗ったクーラーのような形をした小さなロボットで、注文された場所から顧客のもとへ食品を運びます。しかし、Kiwibotは完全に自律しているわけではなく、各ロボットは人間がモニターしており、各配達を確実にこなしているかの確認を行い、必要に応じて指示を出しています。2020年には、Kiwi Campusはサンノゼにサービスを拡大しました。[6]

2021年、テクノロジーと自動化の波は、後戻りすることなく前進し続けるでしょう。フードデリバリーアプリへの依存度が高い状態が1年近く続いている今、ロックダウンが解除されたからといって需要が大きく減ることはなさそうです。この業界で労働力を人間からロボットに移行することが良いのか、倫理的なのかはまだわからないですが、賛否両論あるにせよ、こうした自動配送サービスは、多くのアプリベースのフードデリバリーサービスにとって最終ゴール形態であることは明らかです。

 


参照元:

[1] https://www.ncsl.org/research/transportation/autonomous-vehicles-self-driving-vehicles-enacted-legislation.aspx

[2] https://nrf.com/blog/dominos-wants-slice-autonomous-fast-food-delivery

[3] https://www.forbes.com/sites/lanabandoim/2020/12/22/autonomous-food-delivery-predictions-for-2021-and-beyond/?sh=2b6b2dec6fe8

[4] https://www.nytimes.com/2020/11/30/nyregion/bike-delivery-workers-covid-pandemic.html

[5] https://www.kiwibot.com/

[6] https://en.wikipedia.org/wiki/Kiwi_Campus

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