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米国マーケティングトレンド研究会 2022.03.17

日本製品がアメリカで人気を獲得するには?ブランドメッセージに「日本らしさ」を含めるべきか?

多くの製品やブランドが、「日本の~」という切り口で、アメリカの消費者に製品の独自性やエキゾチックさをアピールしてきました。しかし、アメリカで製品を売る、人気を獲得する上で、本当に良い表現なのでしょうか?アメリカの消費者に向けて製品の「日本らしさ」を強調することのメリットとデメリットを考えてみましょう。

アメリカ人は日本や日本製品にとても良い印象を持っています。2022年の今も、日本は色々な面でアメリカよりも安全で、清潔で、安定している、と多くのアメリカ人は考えています。だからこそ、日本発のコンセプトやライフスタイルがアメリカで受け入れられている現状があります。

このような日本の概念をアメリカで紹介する際によく使われるのが、例えば、「日本の ~」のように、日本文化にみられる特徴を切り口とする方法です。例えば、「生きがい」や、「こんまり」こと近藤麻理恵さんの「日本の片づけ術」、さらには「日本のがんばる術」などは、アメリカでは一定の人気を得ています。[1]

しかし、アメリカ市場に製品を広めようとしている日本のブランドのマーケティングにおいて、これは良い戦略と言えるのでしょうか?この戦略のメリットとデメリットを探ってみましょう。

「日本らしさ」を強調することのメリット

アメリカ社会はこれまで以上に多様化が進んでいます。アメリカの人口動態は変化を続けており、徐々に白人が少なくなり、多文化的になってきています。ソーシャルメディアの影響で、他の文化圏の新しいものを試してみたいと思う人が増え、そういった他文化の製品やブランドに対する注目が高まっているのです。つまり、今のアメリカ社会は、日本発のブランドを広めるチャンスだと言えます。

マーケティング戦略やブランドストーリーにおいて、日本のライフスタイルやコンセプトを取り入れることのメリットはもう一つあります。日本や日本文化を取り入れたい、と考えるアメリカ人が既にたくさんいる、ということです。実際、2021年にギャラップ社が行った世論調査では、84%のアメリカ人が日本を好意的に受け止めていることがわかりました。この傾向は、政治的な志向や年齢に関係なく見られました。[2] 日本に対して良い印象を持っていると、新しい日本のブランドをより好意的に見る可能性も高くなります。

「日本の~」という切り口には、「生活をより良くする」というニュアンスが含まれているケースが多いです。コロナ禍で、多くのアメリカ人は自分の健康や生活の質をより重視するようになりました。このため、「日本の~」という切り口で生活を改善するように促すことは、効果的であると言えるでしょう。

「日本らしさ」を強調することのデメリット

一方で、「日本の~」をブランディングやマーケティングキャンペーンの切り口として使うことのデメリットもあります。今のアメリカ市場には、アジアの製品やライフスタイルが溢れかえっているという点です。アメリカでは韓国文化がブームになっていますし、中国文化も徐々に浸透しつつあります。そんな中、日本らしさを前面に押し出しても、アジア勢に埋もれてしまう可能性があります。

また、日本らしさにこだわりすぎると、そのブランドや製品が悪い意味で「他者」になってしまいます。日本のブランドや製品が日本的であることの魅力のひとつは、アメリカの製品とは全く違うということです。しかし、それが行き過ぎると、アメリカの消費者にとっては異質すぎる存在に見えてしまうのです。一時的な流行としてはうまくいくかもしれません。ただ、アメリカの消費者があなたのイメージをあまりにも「他者」であると感じてしまうと、その製品をアメリカ人の生活の一部に根付かせることは難しいでしょう。

「日本の~」と表現するということは、その製品やブランドを日本独自のものとして位置付けている、ということになります。つまり、アメリカには存在しないという枠にはめ込んでいるのです。「アメリカ流のやり方があるのに、どうしてわざわざ日本流のやり方をしなければならないのか?」と言う疑問が湧いてしまうと、消費者は離れていきます。

「日本らしさ」よりも大事なこととは?

今では、「日本の~」という切り口は少しありふれた印象があるかもしれません。悪くはないですが、アメリカの消費者はこれまでに、そういった切り口のマーケティングを数多く目にしてきました。

重要なのは「日本の〜」と言うこと以上に、商品・サービスの「本質的な価値」を適切な「ターゲット」に伝えられているかです。誰のための商品・サービスなのか?その人々の生活をどのように豊かにしてくれるのか?不満や課題をどのように解決できるのか?これらが明確に描かれていることが大切です。

アメリカのように多様性に富んだ国では、消費者のニーズを捉えることはとても難しいことです。アジア系アメリカ人や、一部の政治志向を持つ人など、「日本の~」という切り口に反応しない人々もいれば、一方で、健康に関心がある人々は、好意的に反応する可能性が高いです。そのため、アメリカ市場でビジネスを始める際には、消費者調査を行い、ファクトベースで戦略を組み立てることが不可欠なのです。

Ys and Partnersはアメリカと日本の両国で、消費者調査に基づくブランド戦略構築を得意とする統合型マーケティングエージェンシーです。ぜひ、お気軽にご相談ください。

市場調査について詳しくこちらの記事でご紹介しています。
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参照元

  1. https://agarwal-abhinav.medium.com/ganbaru-the-japanese-art-of-resilience-6d550b6d380d
  2. https://www.japantimes.co.jp/news/2021/04/18/national/americans-japan-positive-survey/

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