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ブランディングは日本企業が海外進出する上で、無視できない要素の一つです。最近、清澄白河で発見したコーヒー専門店「KOFFEE MAMEYA -Kakeru-」でのブランド体験を交え、ブランドを構築することの重要性についてお話しします。
ブランド構築成功例:清澄白川の予約制コーヒー店
コーヒーの聖地と言われている東京都の清澄白河にて、新しいスタイルのコーヒー専門店に出会いました。「KOFFEE MAMEYA -Kakeru-」はカフェなのに、おしゃれなレストランバーのような佇まい。完全予約制のため、二週間前から予約をしていたのですが、コロナ禍でキャンセルにならずによかった。
世界中の焙煎屋から良質なコーヒー豆を厳選し、淹れ方や組み合わせ方など、あらゆる調理方法で新しいコーヒーの愉しみ方を提供しています。いわば、コーヒーの目利きであるバリスタが届ける、最高のコーヒーエンターテインメントです。
20種類に及ぶコーヒー豆からアラカルトで、コーヒーを注文することもできれば、コーヒーと様々なペアリングを楽しめるコースメニューまであります。牛乳にコーヒーの粉をティーバックのよう浸してつくるMILK BREWや、コーヒーカクテル、コーヒーと抜群の相性を実現させたチーズケーキ。
どれも新しい発見の連続でした。一流のバリスタが淹れるコーヒーの味にも、もちろん感動しましたが、このお店のブランディングに思わず拍手を送りたくなりました。
ブランディングは細部に宿る
まずハッとしたのは、メニューです。薄い色から濃い色のグラデーションは、コーヒー豆の浅煎りから深煎りを表しています。視覚的にわかりやすく、ユーザーのことが良く考えられたデザインです。ここに載っているコーヒー豆は定期的に変わり、お客さんを飽きさせないための工夫もされています。
それぞれの豆の名前や産地の上に焙煎屋のブランド名を記載しているところもポイントです。なぜなら「KOFFEE MAMEYA -Kakeru-」はコーヒーの焙煎はしていません。焙煎は信頼できるプロに任せ、自分たちはコーヒーをキュレーションするプロであることを明確に示しています。
ロゴやブランド名のデザインは四角形がポイントになっています。なぜか聞いたところ、KIOSKをイメージしてつくったのだそうです。コーヒーの案内所をイメージされたのかもしれません。店名にある「Kakeru」は「コーヒー×○○」という意味があり、コーヒーと別の何かを掛け合わせると言うコンセプトが込められています。バリスタは、一人ひとりが科学者のような白衣を身につけ、コーヒーの愉しみ方を日々研究していることが伝わります。
そして一番このお店のブランドを強く感じたのは、バリスタの接客。コーヒーを語っている時の彼女は、こちらに伝染するほど、コーヒー愛に溢れていました。それはどんなに丁寧な接客よりも満たされるものだったのです。
「KOFFEE MAMEYA -Kakeru-」は既に香港とロンドンに海外展開しているそうですが、是非アメリカにも進出していただきたいです。
そもそも、ブランドやブランディングって何?
結局、私はこのお店で2,800円のコーヒーコースに、800円のチーズケーキを付け、合計3,600円を払いました。より安価なものは他にいくらでもあります。それでも私はこのお店で3,600円も払って、大満足して帰り、再訪問する予定も立てています。それはなぜかと言うと、このお店に「ブランド力」があるからです。
もちろん、使っている素材がそもそも高価であることも価格に影響していると思いますが、そのコスト差をはるかに超えた価値を生み出しているのは、「ブランド力」です。
「ブランド」とはもともと「焼印をつけること」を意味し、放牧している牛などの家畜に、自らの所有物であることを示すために目印をつけていたことが語源です。
企業におけるブランドも似たような意味を持ち、簡単に言ってしまえば、市場に溢れる多くの商品から区別するために、そのブランド特有の魅力を定めたものです。そして、「ブランディング」はターゲットに「◯◯と言えばあのブランドだよね」という意識を浸透させるために行うあらゆる活動です。商品はもちろん、店舗の佇まい、ウェブサイト、SNS、広告、スタッフの言動など、その一つひとつの積み重ねがブランドを形づくります。
なぜブランディングが必要なのか?
インターネットの普及やグローバル化によって、「いいもの」で溢れかえる世の中になりました。昔のように、機能やスペックのみで差がつきにくくなったのです。要するに「いいもの」より「唯一無二のもの」が選ばれる時代に生きているということです。そんな現状において、「ブランド」は消費者の購買行動を左右する大きな要素と言えるでしょう。
海外進出する企業の場合、ブランディングはさらに慎重に行わなければなりません。なぜなら、実に多種多様な消費者が存在するからです。たとえばアメリカの場合、同じ20代の女性であっても、住んでいる地域、人種、宗教によって、そのライフスタイルや思想はまったく異なります。
この多種多様な消費者が存在するなか、どのセグメントに最もブランドの提供価値が受け入れられるのかを見極めていくプロセスが大事になってきます。ワイズアンドパートナーズでは、アメリカ現地の消費者調査を基に、ブランド戦略構築から、統合的なマーケティングのご支援をしております。ご興味のある方は弊社のサービスページをご覧ください。
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