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米国マーケティングトレンド研究会 2022.02.01

販促キャンペーンにNFTを活用!進化するマーケティング戦術

NFTの普及に伴い、企業はマーケティングキャンペーンにNFTを取り入れ始めています。NFTを使用することで、ブランドは最新の方法で消費者にアピールすることができるからです。しかし、このマーケティング手法はどの企業にとっても良いとは限らず、実際にマーケティングに活用するべきか、十分に検討する必要があります。

NFTについて、簡単にご説明しましょう。NFT(non-fungible tokens:非代替性トークン)は、デジタルアートを所有したいと思っている裕福なアートコレクターの趣味として始まりました。コピーが容易なデジタルデータに対し、ブロックチェーン技術を活用することで、唯一無二の資産的価値を付与することができるようになりました。つまり、NFTは、偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータのことで、このデジタル資産の所有者は、通常一人に限定されます。通常の画像は、誰でも自分のコンピューターにダウンロードすることができますが、NFTは所有者データをデジタル公開台帳に保存することができるため、資産価値が生まれるのです。そのため、NFTの所有者が誰なのか、簡単に追跡することができます。これらの作品は将来的に価値が高くなると予想されており、通常、暗号通貨を含む取引に使用されます。

今年、NFTをマーケティング戦術としてキャンペーンに活用したブランドをいくつか紹介します。

手頃な価格のNFTを発行し、実物の購入を促したGAP

2022年1月、GAPはデジタル技術で作ったパーカーアートのNFTを発行・販売開始。それらは希少性別に販売され、最も安いものは約8.30ドルでした。この額は、所有権データの保存先であるTezosブロックチェーン(情報を記録するデータベース技術の一種)の通貨単位である2 tezに相当します。[1]

パーカーアートのNFTを一定の組み合わせで購入した顧客には、レア物のNFTを特別に購入できる権利が与えられます。このティアの中には、デジタルアートではなく、実際に着ることができる本物のパーカーも含まれています。Gapによると、この、このNFTを活用した購入キャンペーンは、体験を「ゲーム化」し、顧客がより多くのNFTを購入するよう考えられたものでした。

BUDLIGHT、スーパーボールでNFTを発行

アメリカの文化に詳しい方なら、広告を出すタイミングとして、スーパーボールが1年のうちで最も重要な位置付けであることをご存じでしょう。毎年1月下旬から2月上旬に開催される、アメリカンフットボールの年間チャンピオン決定戦のことです。15秒のテレビCMの放映予算は何百万ドルとも言われ、スーパーボールが終わった後も数週間に渡って話題になることもあります。

今年、BUDLIGHTはスーパーボールを利用し、新しいゼロカーボビールを宣伝し、同時にその商品に関するNFTコレクションを売り出そうと企んでいます。NFTは、新商品のボトルの色を意識してデザインされる予定のようです。

NFTを購入することで、今後発売されるBUDLIGHTグッズに特別に投票できる権利がもらえます。また、イベントやその他のサプライズ企画にも参加することができます。NFTはスーパーボールの1週間前の2月6日から販売され、対象は21歳以上です。[2]

ADIDASとPRADAによる、NFTアートコラボレーションプロジェクト。

また、ADIDASやPRADAのファンが、自分がイメージするアディダスやプラダの画像を投稿することで、NFTコラージュ作りに参加することができるというプロジェクトがあります。応募作品の中から3,000点が選ばれ、コラージュの一部に使われる予定です。

さらに、NFTコラージュがオークションで販売された際には、選ばれた作品のデザインに関わった参加者に、利益の一部が支払われることになっています。[3]

結論:NFTマーケティングに踏み出すべきか?

NFTを作成して販売することは、良いアイデアだと思えるかもしれません。事実、多くの有名ブランドがこの戦術をマーケティングに導入しはじめています。しかし現実の世界では、NFTには負の側面もたくさんあるのです。

例えば、NFTは常にデジタル台帳を保持する必要があるため、使用するブロックチェーンは多くの電力を必要とします。ある試算によると、ブロックチェーン・イーサリアム(NFTの台帳の多くが保管されている)での1回の取引は、VISAの74,000回の取引と同じくらい、環境に負荷がかかっているそうです。[4]このような取引を行うコンピューターに必要な電力は、石炭や石油といった化石燃料を膨大に使用して作られています。もしそのブランドが環境に配慮していることで知られているものであるなら、NFTは顧客にとって魅力的だとは言えないでしょう。

またアメリカでは、新法により、NFTコレクターが今後多額の税金を支払う必要がでてくる可能性があることにも、注意が必要です。現時点では新たな法律によってどの程度のNFTコレクターが影響を受けるかは不明ですが、顧客が多額の税金を支払わなければならなくなる可能性があるものを提供することは、リスクがあると言えるでしょう。

そして、今はまだNFTに手を出すべきでない最大の理由は、多くの人がNFTに対してネガティブな印象を持っているということでしょう。環境負荷が大きいことを不快に思う人もいれば、お金持ちのコレクターズアイテムであることを不快に思う人もいます。NFTを所有していない人たちの間では、NFTを好意的に受け止めている人はほとんどいないようです。

NFTはまだ新しいもので、整理しなければならないことがたくさんあります。当面は、どのようなキャンペーンが行われているのか、どのキャンペーンが最も成功しているのかを注視しておくとよいでしょう。NFTの技術が進化するにつれて、より一般的になり、顧客とってより便利なものになることを願っています。

米国マーケティングトレンド研究会2022.01.06

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参照元

  1. https://www.theverge.com/2022/1/13/22881943/gap-nft-hoodies-frank-apehttps://www.theverge.com/2022/1/13/22881943/gap-nft-hoodies-frank-ape
  2. https://adage.com/article/special-report-super-bowl/bud-light-drops-nfts-ahead-super-bowl-2022/2395561
  3. https://www.alistdaily.com/digital/adidas-prada-resource-nft-project/
  4. https://earth.org/nfts-environmental-impact/

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