ブログ
リーマンショック以降、安定した成長を続けてきたアメリカの「Dollar Store(1ドルショップ)」市場。
小売業全体が苦戦するなか、Dollar General、Dollar Tree、Five BelowといったDollar Store系チェーンは、訪問数や顧客回帰率の面で依然として強さを示しています。[1]
2025年は、消費者の節約志向がさらに強まり、非必需品を削る傾向が進む一方で、日用品・生活雑貨の価格競争力を持つチェーンへの支持は堅調に推移しています。
こうした状況下で、日本発の100円ショップチェーン「ダイソー(Daiso USA)」も、引き続き成長をし続けており、ダイソーは成長の余地が大きい米国市場で2030年末までに1,000店舗を展開するという中長期目標を掲げ、積極的な出店戦略と物流・製造拠点の機能強化などを進めています。[2] 今回は、そんな海外でも高い人気を誇る大好調のダイソーのアメリカ展開について深掘りしていきます。
ダイソーは全米で167店舗に拡大!
2025年時点で、ダイソーは8州に167店舗を展開中。そして2024年末から2025年初頭には、カリフォルニア州で一気に4店舗を同時オープンするなど、その勢いは止まりません。[3]
アメリカのダイソーは、日本のダイソーのように「(ほとんど)すべて100円!」ではなく、$2.25〜$18と複数の価格設定になっています。これは「安いだけじゃない」「ちょっといいものもある」ちょうどいいバランスを打ち出す戦略でもあります。
初期の「日系エリア」から、いまや全米の人気店へ
アメリカ進出当初のダイソーは、南カリフォルニアのトーランスなど、日系企業、日系・アジア系コミュニティが多い地域を中心に出店していました。「日本でおなじみのダイソー」があるという安心感を、まずは同じ文化圏の人々に届けるところからスタートしたのです。
しかしここ数年で、ダイソーは次のステージへステップアップし、ヒスパニック系や白人層など、より幅広いローカル層に支持されるブランドへと進化しています。“日本らしいかわいさ”を保ちながらも、どんな人でも気軽に使えるライフスタイル雑貨店へとポジションを広げています。私の住むエリア(白人79.3% / ヒスパニック8.3% / アジア人 8.2%)にもダイソーがあり、週末になると家族連れや学生でにぎわっています。店内を見渡すと、アジア系だけでなくヒスパニック系や白人の方々が、日本語のパッケージを手に取りながら楽しそうに商品を選んでいるのが印象的です。現地の人々にとってダイソーは、“日本っぽくてかわいいけれど日常使いできるお店”として、すっかり定着しているように感じます。
アメリカ人に受け入れられた理由は?
1. デザインがかわいい、見ているだけで楽しい
「安いだけのお店」ではなく、見ているだけでワクワクするデザイン雑貨店としての印象を与えているのが、ダイソーの大きな強みで、文房具、季節限定の小物、便利な生活雑貨など、日本らしいかわいさがぎゅっと詰まったラインナップが魅力です。さらに、サンリオやディズニーといった人気キャラクターとのコラボ商品も豊富で、ファンシーキャラクター好きの心もしっかりつかんでいます。
2. 工夫溢れるオリジナル商品と高品質
「Dollar Store(1ドルショップ)」だと、どこも似通った商品展開になりがちですが、ダイソーは「ダイソーでしか買えない商品」が多数存在することが、ブランドロイヤリティの形成につながっています。また、商品の粗さが目立つ米国市場では、高品質の商品を扱うという差別化は依然有効です。日本から来たお店=ある程度のクオリティ担保をしている、というイメージもあり、お客様が「安かろう悪かろう」を避けたいという心理を抱くなかで、安価ながらも使える商品群を提供できることは大きな強みといえます。
3. “何があるかわからない”楽しさ
ダイソーには、「今日はどんな新商品があるんだろう?」という宝探しのようなワクワク感があります。頻繁に商品が入れ替わるため、行くたびに新しい発見があるのが魅力です。最近ではアメリカからの日本人観光客も増えているので、アメリカ滞在中にダイソーを訪れることで、日本にいるような旅行気分を味わっている方も多いのではないでしょうか。お菓子や食品も扱っており、気軽に日本の味を楽しめるお店としても人気です。
SNSでも人気!“Daiso Finds”の上手な発信

ダイソーアメリカのInstagramアカウントでは、店舗で見つけたおすすめ商品をテーマごとに紹介しているリールが大人気です。 “夏のマストアイテム”や“新学期グッズ”、“キャンプの必需品”など、季節に合わせた投稿が多く、見ているだけで買い物気分に。リール動画でテンポよく紹介される商品たちは、「行ってみたい!」と思わせる仕掛けが満載で、コメント欄も盛り上がっているのが特徴です。
まとめ:ダイソーは日本の魅力をぎゅっと詰めた、人気が止まらない雑貨店
アメリカのダイソーは、単なるディスカウントショップではありません。
「安くてかわいい」「見ていて楽しい」「ちょっと便利」そんな暮らしの小さな発見を届けるお店として、多くの人に愛されています。日本人にとっては当たり前に感じる、デザインの可愛らしさや、使う人の“ちょっとした不便”に気づいてくれる生活雑貨、そして繰り返し使える高品質なグッズ。
それらこそが、日本発のダイソーならではの魅力であり、アメリカの人々を惹きつけている理由だと感じます。
ワイズアンドパートナーズについて
ワイズアンドパートナーズは、2002年創業の日米クロスボーダーの専門チーム。食品・日用品ブランドの米国進出~成長運用まで、戦略から実装まで一気通貫で伴走します。
- 市場調査・出店戦略
- ブランディング(ローカライズ)
- デジタルマーケティング
- 販路開拓
参照元
プロジェクトのご相談やご依頼につきましては、以下のフォームに必須項目をご入力ください。
24時間以内に回答いたします。
“米国マーケティングトレンド研究会”
最新の記事





U.S.

東京
