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米国マーケティングトレンド研究会 2021.11.05

ドナルド・トランプ氏の新しいSNS「Truth Social」。公開前の法的な問題とは?

ドナルド・トランプの新しいSNS「Truth Social」は、新しい保守系ソーシャルメディア・プラットフォームです。GabGETTRParlerは苦戦しましたが、ドナルド・トランプ氏の技術会社によって構築されたTruth Socialは、保守的なアメリカ人に広く使われる場になることを目標に掲げています。しかし、正式に立ち上げる前から、Truth Socialは法的な問題に直面しています。

ドナルド・トランプ氏が2021年初頭にTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアから追放された時、「フォロワーが追放されることを恐れず、自由に自己表現できる新しいソーシャルメディアサイトを作る」と発表しました。

なぜ、ドナルド・トランプはTwitterFacebookなどのソーシャルメディアから追放されたのか?

2020年1月6日の大統領選挙の結果に抗議する人々が米国連邦議会議事堂を襲撃しました。保守派の多くは選挙が「盗まれた」と主張しましたが、有権者の不正や票の集計ミスといった証拠は見つかっていません。[1]

この事件の後、Twitter社の幹部は、ドナルド・トランプ氏が抗議活動中に暴力を呼びかけたことを理由に、同氏のアカウントを禁止しました。この事件では、デモ参加者4人と警察官1人が死亡しました。[2]これに続いて、Facebookを始めとする他のソーシャルメディアもトランプ元大統領のアカウントを停止しました。[3]

ドナルド・トランプはなぜ新しいSNSプラットフォームを作っているのか?

ソーシャルメディアプラットフォームへのアクセスがなければ、ドナルド・トランプのリーチはずっと小さいものでした。禁止令が出る前、「いいね!」やシェアされるといったエンゲージメントは、1投稿あたり約272,000でした。それが、アカウント停止後は36,000 となりました。[4] 彼の言葉が支持層に届きにくくなったため、ニュースで取り上げられにくくなりました。

一般的に、アメリカの保守派の多くは、ソーシャルメディア上で自分の意見を安全に表現しても、アカウント停止されてしまうのではないかと感じています。そのため、Gab、GETTR、Parlerなどのプラットフォームに移る人もいます。しかし、これらのサイトはいずれも、主流になることはないでしょう。Gabはナチスの拠点として知られており、多くのアメリカ人にとっては、信頼できる情報源やプラットフォームにはなり得ませんでした。[5] GETTRは開設後数日でハッキングされ、何千人もの個人ユーザーの情報が流出しました。[6] Parlerは、モデレーションポリシーが守られていなかったため、App StoreとGoogle Playから削除されました(ただし、今では再び扱われています)。[7]

Truth Socialは、保守的なアメリカ人が、書き込みが削除される心配をせずに自分の意見を述べることができるSNSプラットフォームとなる、最新の試みです。

Truth Socialの特徴とは?他のSNSとの違いは?

現状では、Truth Socialは、TwitterやTumblrなどのマイクロブログ・プラットフォームに似ています。しかし、Truth Socialには、他のソーシャルメディアサイトとは異なる独自の特徴があります。

Truth Socialとこれまでの保守系ソーシャルメディアとの最大の違いは、ドナルド・トランプ氏自身が関係している、という点です。ドナルド・トランプ氏が2021年2月に設立したハイテク企業「Trump Media & Technology Group」が提供する最初の製品なのです。[8]

もうひとつは、Truth SocialがMastodonという、無料でオープンソースのソーシャルメディアソフトウェアをベースにしている点です。運営会社独自のソフトウェアをベースにしているTwitterやFacebookとは異なり、誰もが利用できるものです。

さらに、Truth Socialは、競合他社と比べて、コンテンツに対する制限が少ないとみられています。ドナルド・トランプJr.は、このサイトが「誰もが自分の気持ちを表現できるプラットフォームになる」と述べています。[9]

Truth Socialは成功するのか?その問題点とは?

Truth Socialが正式に公開されるのは2022年頭ですが、これまでで既に、大きな問題が二つも発生しています。

まず、正式には公開されていないにもかかわらず、Truth Socialのアカウントを作成することができてしまったユーザーがいたことです。トランプ元大統領の公式アカウントに似せてプロフィールを作成し、動物のひどい画像を投稿したユーザーもいました。似たような事例は、2021年の夏にGETTERでも発生しています。[10] 現時点では、ユーザーはアカウントを作ることができなくなっています。

2つ目の問題は、契約に関する問題です。Truth Socialは、マストドンというオープンソースのソーシャルメディアソフトウェアをベースに作られています。マストドンは、ライセンス契約の一定のルールに従えば、誰でも独自のソーシャルメディアプラットフォームを構築することができます。

そのライセンス契約には、サイトを利用する人は誰でもソースコードにアクセスできるようにしておけなければならない、という条件があります。Truth Socialのソースコードは、一部の人がこのサイトを見つけてアカウントを作り始めようとしたときには、一般の人がアクセスできないようになっていました。ソースコードが削除され、マストドンを使っていることが分からないように編集されていたのです。初期のユーザーにソースコードを提供するというマストドンのライセンス契約に従わなければ、トランプ氏のソーシャルメディア会社は、30日以内に契約解除となるリスクがあるのです。[11]

このように前途多難なスタートではありますが、多くのアメリカ人はTruth Socialを使ってみようと考えているようです。ある世論調査によると、トランプ氏の支持者の60%が、サイトの公開時にアカウントを作ろうと予定しているといいます。また、27%が「とても頻繁に」、36%が「ある程度は」利用する予定だとしています。[12] 2021年にスタートしたニュースレター「From the Desk of Donald J. Trump」よりも、「Truth Social」の方が高い支持を得ています。

Truth Socialが成功するかどうかは、とれだけ多くのユーザーを引きつけることができるか、また、立ち上げと同時にインターネットトロールがサイトを閉鎖に追い込もうとしてくるのか、にかかっています。今後の動向を見守っていきましょう。

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参照元:

[1] Trump’s own officials say 2020 was America’s most secure election in history

[2] Who died in capitol building attack

[3] Where trump can and can’t post on social media

[4] Trump social media ban

[5] How the biggest decentralized social network is dealing with its Nazi problem

[6] GETTR, the newest pro-Trump social network, was hacked on launch day

[7] Parler

[8] Trump Media & Technology Group

[9] Trump’s new social platform welcomes free speech

[10] Gettr reserves Donald Trump handle after fake account banned

[11] Trump’s truth social network spac mastodon license software freedom conservancy

[12] Majority of Republicans Expect to Use Trump’s New Social Media Platform

参照元

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