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新型コロナウィルスと予想外に長引くパンデミックの状況は、今年に入って米国での買い物習慣を何度も変化させました。2021年の食品・飲料業界に関する予測が発表され、2つのことが明らかになっています。1つ目は、多くの消費者が健康食品と健康的な食生活に関心を持つようになること、2つ目は、一般的な消費者が食品の製造工程に関心を持つようになっていくことです。これらのトレンドに適切に対応できるかどうかが、ブランドの明暗を分けることになります。
2020年、多くのアメリカ人は、従来貧しい国に関するニュースでしか聞いたことがなかったような事態を、自分たちの住む地域でも目の当たりにすることになりました。新型コロナウィルスの影響で、多くの人々はいつもの買い物習慣を変え、健康的であるか、新鮮であるかどうかに関係なく、身近で信頼できる有名ブランドを大量に購入することになりました。ほとんどの人がその状況はロックダウンの数週間だけで終わるだろうと思っており、心の中では「コンフォートフード(馴染みがあり元気が出る食べ物)」を欲していました。
しかし、パンデミックが伴い、アメリカでは第二、第三の感染症と大量死の大きな波に見舞われたため、人々は再び買い物の習慣を変化させました。2021年に向けては、免疫力アップや植物由来の健康食品が人気を集めていることと、顧客がブランドに対して製造工程の透明性を求める機運が高まっていることの2点に注目する必要があります。
健康食品(特に植物性・免疫力アップ)が人気になる。
2020年後半、誰の頭の中にもある言葉は「免疫力」です。買い物客は、現在承認が急がれている2大ワクチンのうちの1つが一般的に利用できるようになるまで、健康的で免疫力を高められる食品を求めており、新型コロナウィルスを回避できるような食品を求めています。この傾向は2021年にも継続し、さらに勢いを増していく可能性が高いと思われています。
国際食品情報審議会の2020年食品・健康調査によると、過去10年間で健康食品における大きな変化がありました。[1]2010年と比較して、回答者の50%以上が購入する商品の健康性を重視するようになったのです。人々は自分の健康に効果を発揮する食品を購入するため、ビタミンなどの免疫力を高める機能性成分を含む製品に興味をもち始めました。Innova(オランダに本拠地を置く調査会社)の調査では、消費者の10人中6人が免疫システムの強化に効果のある食品や飲料を探していることがわかっています。
2021年に予想されるもう一つの継続的なトレンドは、植物由来の食品の人気の高まりです。[2]すでに、植物性とは信じがたいような新しい植物性肉類のブームが起きています。さらに、多くの人が「ブレンド肉」というコンセプトに興味を持っています。もともとはマッシュルーム協会(米国のキノコの振興、研究を目的とする団体)とジェームズ・ビアード財団(ニューヨークに本拠地を置く料理芸術に関する非営利団体)が発案したものですが、このコンセプトは、キノコと牛挽き肉のようなものを組み合わせて、健康効果を高めることに特化しており、食生活の中で肉を維持したい人のためのものです。マッシュルームコーヒーのようなものも人気があり、マイタケのような自然な肉質の食感のマッシュルームもあるので、キノコが過去にブームになったカリフラワーやケールのようにブームになっても不思議ではありません。
ただし、健康を求める人々が、製品の宣伝文句の健康上のメリットを常に理解しているとは限りません。GlobalData(英国の調査会社)が行った調査によると、ミレニアル世代の10人中4人は、ブランドが行う健康に関する謳い文句に困惑していることがわかっています。健康効果に関しては、パッケージを読みやすくするだけでなく、シンプルな言葉で伝えることが大切です。
最初から最後までの透明性。
2021年の最大のトレンドの一つは、ブランドが自社の商品の生産についてますます透明性を高めていくことです。[3]Innova Consumer Survey 2020の調査によると、10人中6人の消費者が、自分たちが購入する食品がどこで生産されたものなのかを正確に知ることに関心を持っていると回答しています。これは、農産物がどこの国で栽培されたのか、工場がどこにあるのかということだけではなく、食料品店の棚に届くまでの製品のライフサイクル全体を意味しています。そのため、もし自社製品が環境に配慮して丁寧に栽培されていたり、環境に配慮した方法で作られていたりするのであれば、今こそ環境に配慮した方法をアピールする時なのです。特にミレニアル世代の買い物客は、自分たちの買い物習慣を非常に意識しており、自分たちと同じような価値観を実践しているブランドを支持したいと考えています。
製造工程への好奇心は、人々が自分たちのニーズをより深く知ることから生まれている側面もあるのかもしれません。もう一つ、来年の注目すべき最も重要なトレンドは、個人の健康状態を重視することでしょう。市場には、自分自身の健康状態を追跡するための新しいアプリが数多く出回っており、Viomeのような家庭用テストで腸内の微生物を測定して、個々のニーズに合った栄養を摂取できるようなサービスを提供しています。一人ひとりの具体的なニーズに応えることができる製品は、このような状況の中で成功し、消費者からの信頼を獲得しやすい状況となっています。
これらの傾向を利用する方法。
2020年半ばから後半にかけて見られた、人々が健康食品に注意を向け、ブランドのモラルや製造工程に注意を払う傾向は、今後も継続し、激化していく可能性が高いと考えられます。2021年について最も重要なことは、2020年の状態が終了することはなく、継続するであろうということです。昨年の冬以降に蔓延していた不確実性は確かにある程度減少しましたが、本当に「普通」に戻るまでにはまだクリアすべきハードルがあり、今後も元の状態には戻らない可能性の方が高いと考えられています。
それは、消費者のニーズや利便性との接点がこれまで以上に重要であることを意味しています。商品は、その強力な成分を、シンプルに、そして明確にアピールする必要があり、また、ブランドのライフサイクルを紹介し、見込み客が情報にアクセスしやすいようにすることが重要です。見込み客がどこからでもアクセスできる方法で情報を提供するには、強力なソーシャルメディアの存在が最適です。
ワクチンが開発されつつありますが、人々はまだ身を固め、自分自身の健康や自分のニーズを重視しています。貴社の製品が、何百万人もの人々の独自の健康目標を達成できるということを伝えることは、ワクチンの実用展開を待つ間の不確実な期間のビジネスで重要になるでしょう。
[1] Food Trends Forecast 2021: Being Healthy In A Post Covid-19 World
[2] 5 global trends that will shape the food industry in 2021
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