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米国マーケティングトレンド研究会 2021.06.03

【デジタルトレンド】今年、ニューヨークにオープン予定のグーグル実店舗。さて、アップルのように成功するか、マイクロソフトのように失敗するか?

グーグルは今年、ニューヨークに初の実店舗をオープンします。これは、アップルやマイクロソフトと同様に、顧客がグーグル製品のみを購入できる実店舗となる予定です。マイクロソフトが最近ほとんどの実店舗の閉鎖を発表したのに対し、アップルはこの販売モデルで成功し続けています。これは、アップルが実店舗のみでアップル製品を販売しているのに対し、マイクロソフトは異なる方法をとっているためです。

2021年夏、グーグルは初の実店舗をニューヨークにオープンします。この店舗は、グーグルのキャンパス(スタートアップを対象に学びとコミュニティを提供するスペース)があるチェルシーと呼ばれる地域に設置されます。この店舗では、グーグルの製品やテクノロジーを販売し、その中には、携帯電話(ピクセル)、スマートホームデバイス(ネスト)、フィットビット、ラップトップPCなどが含まれます。1

アップルやマイクロソフトなどの競合他社は、自社製品を販売するための実店舗をすでにオープンしています。アップルが繁栄を続ける一方で、マイクロソフトは2020年、一部の店舗を刷新すると発表し、それ以外の実店舗はすべて閉鎖されることとなりました。

ここでは、アップルとマイクロソフトの違いと、成功するためにグーグルがすべきことを見ていきましょう。

アップル:実店舗の存在が利益を高める。

アップルにとって、実店舗を保有することは重要なことです。最初の店舗をニューヨークにオープンしたのは2002年で、それから約20年、アップルの店舗は世界中に進出し、時には同じ都市に複数の店舗があることもあります。

パンデミックにより消費者がオンラインショッピングを楽しみ、好むようになったというエビデンスはたくさん出ていますが、一方で、実店舗も大きな収益源になり得ます。2019年現在、アップルの収益の31%はアップルストアから直接もたらされています 。2アップルの消費者にとって実店舗は、製品に関する質問に直接答えてもらえる便利な場所であると同時に、新しい製品を購入するのにも最適な場所です。

さらに、アップルストアには複数の目的があり、単に店舗であるだけでなく、購入前に技術を試すことができる場所でもあります。アップルストアでは、ガジェットで遊んでいるだけの人を見かけることも珍しくありません。

アップルで最も重要な機能は、ジーニアスバー(アップルのサポートカウンター)です。アップル製品は、特別な道具と製品に対する理解がなければ、修理・改造・カスタマイズが難しいことで有名です。通常、最寄りのアップルストアにあるジーニアスバーに商品を直接持っていくのが最も早い解決策でしょう。

このように、アップルストアはワンストップの修理工場であり、カジュアルなエンターテインメントの場でもあります。

マイクロソフト:実店舗は必要ない。

残念ながら、マイクロソフトは実店舗においてアップル同様の成功を収めていません。マイクロソフトは、アップルストアに対抗するために実店舗サービスを開始し、最初の店舗は2009年にオープンしました。それ以来、カナダ、イギリス、オーストラリアなど、世界各地にマイクロソフトストアがオープンしています 。

2020年6月、マイクロソフトは小売戦略の「シフト」を発表しました。このシフトで、マイクロソフトの実店舗は永久に閉鎖されることになりました。新型コロナウィルスのパンデミックの影響で、この計画は保留されていましたが、また再開されることになりました。ただし、ニューヨーク、シドニー、ロンドン、レドモンド(マイクロソフトの本社があるワシントン州の町)の4店舗は営業を継続します。これらの店舗は、「店舗」から「体験センター」へと生まれ変わります。マイクロソフトは、これらの拠点では製品の販売には力を入れないとしています。3

マイクロソフトは利益に苦しんでいるとは言い難い状況です。2021年5月、マイクロソフトは、前四半期からの売上成長率がここ数年で最も高い水準にあることを報告しました。同社は今後数年のうちに、市場価値が2兆ドルを超える可能性が高いと言われています。4

マイクロソフトストアでは、アップルストアのようにデバイスを持ち込んで修理を受けることもできますが、マイクロソフトの場合、ベスト・バイ(ミネアポリスに本社を置く世界最大の家電量販店)のGeek Squad(ギーク・スクワッド)のようなサードパーティの修理サービスと競合しています。マイクロソフトの製品は、アップル製品のようにデリケートであるという評判はなく、これは大きなセールスポイントになり得ますが、同時に、マイクロソフトストア専用の修理工場ではなくても、近くの修理工場に安心して持ち込めるという欠点にもなります。

マイクロソフト製品は分解が簡単なため、何かあったときに修理がしやすくなっています。マイクロソフトの携帯電話は、内部にアクセスしてバッテリーやマイクロチップなどを簡単に見つけることができる一方で、アップル社の携帯電話は、特別な道具がなければ内部にアクセスすることはできず、その道具はアップルで働く人しか持っていません。

まとめ

アップルストアの成功は、複数の目的に対応していることに起因するといえるでしょう。店舗であり、修理工場であり、新しいガジェットを体験できる場所でもあります。一方、マイクロソフトストアは、多くの人から単なる店舗としか認識されていませんでした。

マイクロソフトの製品は、カスタマイズが可能なため、経験豊富なユーザーに支持されています。それだけでなく、価格も安く、古いバージョンのアップル製品のように、すぐに陳腐化するとこともありません。これでは購入した店舗に戻ってきてもらう理由を見つけるのが難しいと言えるでしょう。

グーグルが成功するためには、最新技術を実店舗でアピールすることが一番の近道です。グーグルの技術は、アップルよりもマイクロソフトに近いと言えます。カスタマイズ可能で、専用のサポートセンターでなくても簡単に修理が可能となっており、オンラインで簡単に購入することもできます。店舗として目立つためには、アルファベット(テクノロジー、生命科学、投資キャピタル、研究など、インターネットサービス以外の事業を行うグーグルのグループ企業)とグーグルの最新プロジェクトを展示することが一番の近道でしょう。新しいロボット、新しいAI、新しいVRなど、まだテスト段階にあるものであれば、潜在的な新規顧客を引きつけることができます。

 


参照元:

[1] https://www.theverge.com/2021/5/20/22445472/google-first-physical-retail-store-chelsea-nyc-summer-2021

[2] https://appleinsider.com/articles/19/11/06/apple-store-revenue-grows-to-31-of-apples-income-for-2019

[3] https://en.wikipedia.org/wiki/Microsoft_Store_(retail)

[4] https://www.nytimes.com/live/2021/04/27/business/stock-market-today

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