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本日は「HopSkipDrive」という、ロサンゼルスのスタートアップを紹介します。何やら楽しそうな名前の会社ですが、彼らは子供向けにタクシーサービスを提供しています。仕事が忙しく時間の調整が難しいお母さん達が、このサービスを利用しています。2016年1月に10億円の資金調達を行いました。2,000人の利用者と500名超えの認定ドライバーを抱え、ロサンゼルス以外のエリアにも拡大しています。
ロサンゼルスのようにどこへ行くにも車が必要なエリアでは、両親が子供達を学校へ送り迎えしています。共同創業者のJoanna氏、Carolyn氏 、 Janelle氏は3人で8人の子供を持つお母さんです。7つの学校と家との往復、放課後の空手やサッカー、テニスなどのクラブ活動への送り迎えに日々疲弊していました。「遅い時間のお迎えは子供のことが心配になり、渋滞に巻き込まれて、とてもステレスフル」と漏らすほどです。そこで共同で大きなバンを購入して、ドライバーを雇って、子供達の送り迎えをしてもらおう!という企画を立ち上げました。残念ながらその企画は実現しませんでしたが、それがきっかけとなり「HopSkipDrive」というサービスが誕生したのです。
このサービスは7歳から17歳の子供達が対象となっており、お母さん達はウェブサイトまたはスマートフォンアプリからタクシーの配車と支払いをすることが出来ます。一回の乗車料は20ドル、50回パックで600ドルとなっています。5マイル以上の送迎距離、または30分以上の乗車の場合、追加料金が発生する仕組みです。現在はフルタイムのお手伝いさんがいない、二人以上子供がいる、両親が離婚している家庭で多く利用されているようです。
100名近いお母さんドライバーが登録をしていたり、元教師や元お手伝いさんの人たちもドライバーとして登録をしてくれています。またHopSkipDriveのウェブサイトからドライバー登録をすることも出来ます。子供の安全性に配慮し、ドライバーの審査や定期的なチェックを行っているのもこのサービスの特徴です。ドライバーに登録するには下記8の項目をクリアする必要があります。
1.子供が好きで、5年以上チャイルドケアの経験があり、23歳以上
2.犯罪歴なし、特に性犯罪
3.アメリカ政府が発行した運転免許も持っている
4.事故歴がなく、自動車保険を有している
5.年式が10年以内の車に乗っている
6.車が19の検査項目をクリアしている
7.運転講習への参加
8.1対1での面接
これらの審査によって、質の高いドライバーを確保しています。
そして安全面だけでなく、お母さんたちを安心させることにも配慮しています。
HopSkipDriveのアプリでは、子供が車に乗るとアラートが飛ぶようになっています。また子供が帰宅後にどんなルートで帰ってきたのか、車がスピードを出し過ぎていないかもチェック出来るようになっているのです。
ニューヨーク大学で情報工学を専攻するArun Sundararajan教授は、「事故や不誠実なドライバーはこのサービスにとって致命傷になるだろう、安心・安全という信頼がサービスを支えている」と述べています。しかし同時に、「この類のサービスは人口が密集しており、可処分所得が高い地域でもっと広がる可能性を秘めている」という見解も示しています。彼女らのサービスは、タクシーのシェアリングサービス、UberやLyftのコピーと思われがちですが、しっかりとしたポジショニングを取っています。子供向けタクシーという専門性と、ユーザのマインドを理解した「安全・安心」がこのサービスを特徴付けているのです。そして創業者たち自身もユーザの一人であり、その情熱がサービスを加速させています。
また昨年10月にロサンゼルスのAliso Canyonでガス漏洩が起きました。その被害に合った学校へは、2,000回近く無償でサービスを提供しています。こうした自分たちのコミュニティへの還元も積極的に行っているのです。CEOのMcFarland氏は、調達した資金でロンゼルス以外のエリアへ事業を拡大していくと発表しています。サービスの今後の成長に期待したいと思います。
このストーリーは、米国オフィスのYusukeがお届けしました。
参考記事:
http://www.builtinla.com/2016/01/26/hopskipdrive-nabs-102m-series
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