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最近、アメリカではスニッカーズに関するジョークが大きく話題になり、同社は公式コメントまで出すことになりました。じつは投稿されたジョークの多くは、下品な画像やキャンディーを男性器的なものに例える等、ネガティブなものだったのですが、結果として公式キャンペーンよりもはるかに話題にのぼり、ソーシャルメディアのフォロワー数が増加。日本でもSNSでは時にネガティブに見える状況から、ポジティブな結果をもたらすことがあります。どういったフローでこれは起こるのでしょうか。
“There’s no such thing as bad press “ という英語表現があります。これは「人々があなたやあなたのブランドについて肯定的に語ろうが、否定的に語ろうが、それは問題ではなく、重要なのは、人々の注目を浴びているかどうかなのだ」という意味です。
誰もが皆このような考え方をするわけではありませんが、今回スニッカーズに起こった出来事は、一見ネガティブに見える状況でも、結果としては製品の評判をあげることにつながった例です。
始まりはユーザーの些細なジョークから。
アメリカでのツイッターは「ユーザーはさほど多くはないが、話題になるような出来事やジョークの多くはツイッターから生まれる」という傾向があります。特にトランプ前大統領時代には、アメリカ国民とのコミュニケーションの場として活発に使われました。現在、トランプ前大統領のツイッターアカウントは凍結されてしまっていますが、ツイッターでは今も日々、そのスキャンダルや 衆目を集めるような面白い話題が生まれています。
2022年4月16日、@JUNIPERというツイッターユーザーが、アメリカのキャンセル文化について、冗談めいた投稿をしました(キャンセル文化とは特定の対象の発言や行動をSNSなどで糾弾し、不買運動を起こしたり放送中の番組を中止させたりすること)。アメリカでは、キャンセル文化はどちらかというとネガティブに捉えられ多くの人が怒る社会的な話題です。そしてそのツイートに続けて、表面がすっかり滑らかになってしまっているスニッカーズの画像が投稿されました。
スニッカーズは、ヌガー(砂糖と水飴を煮詰めたソフトキャンディーの一種)、キャラメル、ピーナッツをチョコレートでコーティングしたキャンディーバーで、バーの上部に人間の太い血管のように盛り上がっている部分があることが特徴です。残念ながら、これを男性器の血管に例える人もいます。
Twitterユーザーの@JUNIPERは、「スニッカーズを男性器に例えることは不適切なので、スニッカーズはバー上部の盛り上がっている部分を取り除くつもりでいる」とジョークを飛ばしました。このツイートが一気に拡散し、「スニッカーズは、長く親しまれている商品デザインを変更してしまうのではないか」と噂になっていきます。
スニッカーズ公式が行った「一発逆転」のムーブメントとは?
これに関する話題は、スニッカーズバーを男性器の静脈に例えているものがほとんどでした。様々な画像が出回り、下品なジョークも数多く共有されました。
数日間、スニッカーズは話題に登り続けました。元の投稿が行われたのは4月16日のことでしたが、スニッカーズは4月20日、話題になっているジョークと製品デザインが変更になるという噂に対して、公式ツイートを発表したのです。
スニッカーズは、「血管」部分があるスニッカーズの製品画像とともに、「みなさん、朗報です!ツイッターの話題に反して、スニッカーズの「血管」は残ったままです!」と発信したのです。
親会社であるマース社の他の公式Twitterアカウントもこの話題に乗りました。その中には、スニッカーズの「血管」をネタにしたジョークを扱うものもありました。
このように多くの反響があり、スニッカーズのソーシャルメディア上の注目度は一気に上がりました。なんとこの件で、過去4年間のどのマーケティングキャンペーンよりもトラフィックを稼ぎ、多くのフォロワーを獲得したのです。
スニッカーズ 月別フォロワー増減数
スニッカーズのフォロワー数は、話題となったジョークの後、20000人も増加。これは、4月4日から5月4日の間の30日間で、フォロワーが約200%増加したことになります。[1] (出典 :ソーシャル・ブレイド)
結論:マーケターの知見が、ネガティブな話題を効果的なPRへ変える。
自社製品が否定的にコメントされ、それが拡散した場合、ダメージを抑えたいと思うのは当然のことです。自分の会社や製品が、下品なものや評判がよくないものと関連づけられることを望む人はいません。
しかし、米国では最近「被害」を食い止めようとはせずに、むしろ積極的にそのムーブメントに乗る企業が増えているのです。ネガティブな要素をうまく利用して、それをポジティブなものに変えていこうという発想ですね。
しかも、アメリカではその方が好意的に受け取られる傾向があります。消費者はその行為を「企業側が自社ブランドに対する評判を過度に気にしていない」と捉えるからです。企業側が遊び心を持っていたり、消費者からの様々な声を受け入れていたりする印象がプラスに働く市場なんですね。
もちろん、どんな評判も受け入れれば良いということではありません。マーケティングやブランディングの知見が豊富な人材がいれば、ネガティブな報道をポジティブな話題に転換する方法をよりスムーズに見出せるでしょう。もちろん、適切な方法で行うためには、アメリカのインターネット文化に対する深い理解が必要で、簡単なことではありません。そのような時は、アメリカでの経験が豊富なマーケティング代理店に相談をオススメします。
Ys and Partnersはアメリカと日本の両国で、消費者調査に基づくブランド戦略構築を得意とする統合型マーケティングエージェンシーです。ぜひ、お気軽にご相談ください。
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