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アメリカでのアニメ人気はこの20年で劇的に高まっています。今やアメリカの大手企業がマーケティングキャンペーンに日本のアニメを利用するほどです。例えばタコベルは、2021年に限定商品であるナチョポテトのプロモーションのためにフェイクのアニメトレーラーを公開し、大きなソーシャルエンゲージメントを獲得しました。
はじめに
日本を訪れる外国人の多くは、日本のアニメを観た経験があるかもしれません。しかし、10年ほど前までは、欧米のほとんどの人はアニメに興味をもっていなかったのです。残念ながら「内向的な人たちの間で流行した、ニッチな趣味」と捉えられていたのです。欧米の主要メディアはほとんどアニメを取り上げず、取り上げても子供向けばかりでした。
しかし近年、この状況は一変。インターネットの普及により、欧米で日本のポップカルチャーがブームになっているのです。かつては非常にニッチだったものが、今では主流となり、一般人や著名人までもが社会の中でしばしば言及するようになりました。このような人気に着目し、アニメーションの広告を出すことで、消費者層と接点を持とうとする企業も出てきました。
タコベルがガンダムのアニメ広告を実施
2021年7月、タコベルはフラッグシップメニューであるナチョポテト復活の広告キャンペーンを実施しました。このキャンペーンでは、アメリカを拠点とするPsyopと日本を拠点とするYapiko Animationが制作した1分間の予告編が使用されました。内容は「新世紀エヴァンゲリオン」「機動戦士ガンダム」など、メカアニメのジャンルを意識したものになっています。
この広告は、多くの人によってネット上で共有され、実際のアニメの広告ではなく、ナチョポテトの広告だと知って少しがっかりするひとも居たとか(それくらいアニメのクオリティーは高かったとも言えます)。
なぜタコベルはアニメを広告に使ったのか?
最近のアメリカではアニメブームがきています。2000年代半ばには、ニッチと捉えられたアニメは、今では主流のコンテンツなのです。これは、ミレニアル世代が「セーラームーン」「ドラゴンボールZ」「ポケモン」「遊戯王」など、子供の頃にアニメに夢中になったことが要因の一つです。Z世代は、「NARUTO-ナルト-」「鬼滅の刃」「進撃の巨人」などのアニメに夢中になっています。ミレニアル世代は子供の頃からアニメに慣れ親しんでいるため、Z世代が好むような最近のアニメのファンも多いです。
また、ミレニアル世代が育った80年代、90年代は、アニメがアメリカに安定的に輸入され、テレビで放映され始めた時期であることも特筆されます。Dicや4kidsといった企業による強力なローカライズキャンペーンのおかげで、アニメは多くの家庭でテレビタイムの定番となったのです。
タコベルで食品を購入する世代を見れば、タコベルのマーケティングチームがその消費者層に「アニメ広告」を推したのも頷けます。タコベルを購入する人の80%近くは40歳以下であり[1]、ミレニアルの最年長は40歳となっています。
タコベルのアニメ広告の評判は?
現在YouTubeでは、この広告のリアクション動画が複数公開されており、再生回数は100万回を優に超えています。タコベルのYouTubeチャンネルに掲載されたオリジナルの広告は85万回以上再生されています。
[2]
このキャンペーンが実施されている間、タコベルはTikTok(ティックトック)アカウントで100万人以上のフォロワーを獲得し、この時点で間違いなくソーシャルメディアマーケティングに最適なアカウントとなりました。
Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)、Facebook(フェイスブック)などのソーシャルメディアでは、多くの投稿がタコベルの新CMがいかにワクワクするものだったかを語り、この番組が長編シリーズとして制作されないことを残念がる声もあがっていました。
メインストリームメディアの訴求力を測る、タコベルのナチョポテト広告
タコベルがナチョポテトを売るために大ヒット確実なスタイルで広告を打ったのは、今回が初めてではありません。タコベルのマーケティングチームは、限定メニューの復活のために広告キャンペーンを大々的に行う傾向があります。もともと2018年に発売された最初のナチョポテトキャンペーンは、同社史上最も成功した商品ローンチでした。
2018年のこのキャンペーンでは、数人の人気俳優や当時最も人気のあったテレビ番組の一つである「ストレンジャー・シングス」への言及など、非常に人気のあったハリウッドのアイコンに焦点を当てました。
2021年、マーケティングチームは、顧客に響く最も人気のあるメディアが「アニメ」だと判断したのです。
アメリカでのアニメの人気度を測るにあたって、これは大変大きな出来事です。メインストリームのブランドが、これまでニッチな存在だったアニメを全米規模のマーケティングキャンペーンに活用したことは、現在のアメリカにおけるアニメ、日本文化、そして日本のソフトパワーの普及について、多くのことを物語っているのです。
これは、アメリカ市場に参入する日本のブランドが、アメリカ人に向けてマーケティングを行う際に、日本らしさを残すことを検討するシグナルと言えるでしょう。これまでのキャンペーンでは、アメリカ人のニーズに合わせてアイテムやコンテンツをローカライズすることに重点が置かれてきましたが、日本らしさはそのままに、アメリカ人の生活にいかに溶け込むかを示すことが、より効果的なのではないでしょうか。
アニメだけでなく、マンガやカワイイ文化、お弁当など、日本の文化はアメリカの生活の中で当たり前のものになっています。今こそ、日本製品がアメリカですでに持っているアドバンテージを生かす時なのです。
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