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米国マーケティングトレンド研究会 2021.01.13

米国ファッション業界の最大のマーケティング課題とは?

2021年、植物由来のレザーがあらゆるファッションラインに最も必要不可欠な素材になると言われています。ファッションブランドの持続可能性を高めるために、クリエイティブディレクターやデザイナーは、最新コレクションに環境に配慮したエシカルな素材を取り入れるようになってきています。Bolt Threads(ボルトスレッズ)という会社は、マッシュルームからレザーを作り出すことに成功し、すでにファッション業界のビッグネームとのパートナーシップを実現しています。

使用されている素材の種類、製品の製造方法、従業員の倫理的基準など、ブランドの透明性を求める顧客が増えているため、ファッション業界ではサステナビリティが業界全体の関心事となっています。特に、ブランドが環境に与える影響の度合いが全体的にネガティブなものであれば、メディアやインフルエンサーの間で悪い意味で大きな話題になる可能性があります。

だからこそ、2021年以降、環境への取り組みをアピールするために、サステナブルな素材にシフトしようとするブランドが増えています。

フェイクレザーの歴史。

社会的な問題や価値観を反映するために素材を変えるという考え方は、決して新しいものではありません。プラスチックと革の組み合わせである人工皮革は19世紀に発明され、第二次世界大戦中に本物の革の使用が制限されるようになってから人気が出始めました。[1]その後、動物愛好家がファッションのためだけに動物を殺し、その毛や皮膚を使うことの残酷さを訴えるようになり、再び人工皮革の人気が再燃しました。ファッション業界は、こうした人工皮革の流行により、自分たちのビジネスからスキャンダルを遠ざけることができるだろうと考えました。しかし、動物愛護活動家たちからの攻撃が落ち着いた後、環境保護活動家たちが声を上げたため、残念ながら人工皮革はファッション業界のブランドイメージを守るための救世主とはなり得ませんでした。

人工皮革を作るためには、石油や塩素などの有害物質が必要になります。これらはポリ塩化ビニールという生分解性のない物質を作るために使われています。本革に比べて耐久性に劣るだけでなく、時間が経つと自然に分解されにくくなるため、そもそも人工皮革を作るために使用された有害化学物質が環境や水道、野生動物の体内にまで浸透してしまうのです。

リアルレザーもフェイクレザーも、その製造過程で有害な毒素を発生させ、アニマルレザーの場合は水や土など多くの資源を消費することで知られています。[2]では、どのような選択肢がベストなのでしょうか。

次の代替案、「ビーガン」レザー?

ビーガンレザー。これは動物性のものを一切使用していない革のことですが、人工皮革やその応用製品よりも持続可能な革のことを指します。人工皮革は、理論的には、動物性製品を使用していないためビーガンとして分類することができますが、ビーガンレザーという用語は現在、非プラスチック、非動物性製品から作られた革を指すために使用されています。

まだ不完全ではありますが(ビーガンレザーはその製造にプラスチックの使用を必要とする場合もあるため)、ビーガンレザーには複数の種類があります。 シリコンベースのものもあれば、人工的に育てられたものもあり、植物ベースであることでファッション業界に大きな影響を与えているものもあります。[3]

特に植物由来のレザーは、ビーガンレザーの中ではまだ小さなサブカテゴリーですが、ここ数年で人気が高まってきています。リンゴ、パイナップル、穀類、キノコからレザーを作る方法を取り入れるブランドが増えてきています。最近では、靴メーカーの大手、アディダスが、植物由来のレザーを普及させるために、ブランド理念を世界に向けて発信しています。

アディダスは2020年末に、キノコを原料とした独自の植物性レザーを作る計画があることを発表しました。このレザーは、一般の人にはハロウィンのクモの巣の飾りのように見えるかもしれない菌糸体の植物性部分から作られるそうです。アディダスが製品への皮の使用を禁止しただけでなく、最も人気のある靴の一つであるスタン・スミスのビーガンレザーバージョンを発売したのは2020年の初めのことでした。これらの取り組みに加え、アディダスは、2020年には、リサイクルプラスチック廃棄物などの持続可能な材料から靴を1500万足以上を作ったこと、今後数年でその数を増やすための計画があることを発表しました。[4]

きのこを最大限に活用する、ボルトスレッズ。

アディダスがこれらの持続可能な夢を実現するために提携しているのが「Bolt Threads(ボルト・スレッズ)」という会社です。彼らのウェブサイトでは、市場に出回っている革と比較し環境に優しく、無期限に再生可能な菌糸体から作られた革であるMylo™という素材を宣伝しています。Mylo™は、過去に好まれていた動物の革に酷似しており、ほぼすべての色に対応可能で、「実質的で、しなやかで、柔らかい」と宣伝しています。

画像: 菌糸から生えているキノコ。菌糸はキノコを発芽させる地下組織を育てるための根。菌糸が木の枝のようなもの、キノコは果物のようなものだと考えてください。

ボルト・スレッズはまた、「unleather(アンレザー)」の力を宣言し、より多くのブランドが製品の「アンレザー化」を選択すべきであるとしています。彼らのウェブサイトによると、アンレザーの定義は、「動物や合成素材ではなく、無限に再生可能な菌糸を使って持続可能に作られた製品を選ぶという急進的な行為」とされています。[5]

アディダスだけがボルト・スレッズを取り入れているわけではありません。ボルト・スレッズのウェブサイトによると、2021 年に lululemon(ルルレモン)、Stella McCartney(ステラ・マッカーシー)、Kering(カーリング) のコレクションで Mylo™ をリリースする計画を立てています。

画像: Mylo™の簡単な説明とその外観(ボルトスレッズのウェブサイトより)

 

2020年はCOVID-19の混乱の中にありながら、世界中の大手ブランドが、環境への影響を考えなければ消費者の怒りを買う、ということを認識してきています。調査の結果、ミレニアル世代やZ世代の若い世代は、サステナビリティにもっとお金を払いたいと考えており、それが地球環境により良い影響を与えるのであれば、買い物習慣を変えることさえ厭わないと思っていることがわかりました。2021年、各ブランドが、「最も環境に配慮したブランド」の座を奪い合おうとしていることから、ファッション業界はこの需要に応えることがマーケティングの第一の課題になっているようにみえます。

 

[1] https://en.wikipedia.org/wiki/Artificial_leather

[2] https://www.ethicalgallery.com.au/blogs/ethical-gallery-blog/the-environmental-impact-of-animal-leather-vs-faux-leather

[3] https://www.adimay.com/2019/07/the-rise-of-non-plastic-non-animal-leather/

[4] https://www.businessinsider.com/adidas-developing-plant-based-leather-shoes-2020-12

[5] https://www.mylo-unleather.com/

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