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米国マーケティングトレンド研究会 2021.02.04

【海外進出支援】アメリカ進出を検討する美容ブランドのマーケティングは、この世代に注目!

米国で社会問題となっているAgeism(エイジズム)。これは様々なシーンで目にする年齢差別のことを指します。美容業界においては、ミレニアルなどの若い世代に向けた商品が溢れる中、40歳以上の女性に対するニーズに適切に応え、マーケティングしているブランドは少ないのが現状です。しかし、最近、この見過ごされている世代から共感を得る美容ブランドが現れました。

米国で経済力を持つベビーブーマーとジェネレーションX

ベビーブーマーとは1946年〜1964年の間に生まれ、2021年現在で57歳〜75歳に当たる人々のことを指します。ジェネレーションXは1965年から1980年の間に生まれた世代のことを指し、2021年現在で41歳〜56歳にあたる人々です。米国人口で最も多いミレニアル世代と、2番目に多いベビーブーマーの間で「忘れられた世代」と呼ばれることもあります。

アメリカでは、どうしても人口が多いミレニアル世代に注目が集まりがちです。以下は2019年のアメリカの世代別人口データです1

・ミレニアル世代(1980年〜1996年生まれ):7,210万人

・ジェネレーションX(1965年〜1980年生まれ):6,520万人

・ベビーブーマー(1946年〜1964年生まれ):7,160万人

しかし、実は一人当たりの平均所得と平均消費額で見ると、ジェネレーションXとベビーブーマーはミレニアル世代を上回っています。

2018年の平均所得(税引後)2

・ミレニアル世代:$58,628

・ジェネレーションX:$88,794

・ベビーブーマー:$67,950

同年の平均消費額2

・ミレニアル世代:$52,874 /年

・ジェネレーションX:$74,683 /年

・ベビーブーマー:$63,325 /年

このように、ジェネレーションXとベビーブーマーは最も経済力がある世代であるにも関わらず、企業のマーケティングからは見過ごされているのです。

アメリカの美容業界:40歳以上の女性が感じている年齢差別

年齢差別を感じる瞬間は人によって様々ですが、美容業界で代表する例としては、企業のウェブサイト、SNS、広告などで描かれる消費者像です。起用されているモデルや、発信されているメッセージがステレオタイプに基づいているケースは少なくありません。

米国で40歳以上の女性を対象とした調査では以下のようなデータが発表されています3

・対象者の64%が企業から「自分の消費力を過小評価されている」と感じている

・対象者の84%が企業から「外見を過剰に意識していると先入観を抱かれている」と感じている

彼女たちのインサイトを適切に捉えられず、まったく共感されないマーケティングを続けている企業が多いということが垣間見られます。

40歳以上の女性に向けたアメリカの美容ブランド

Better Not Younger(ベター・ノット・ヤンガー)は、40歳以上の女性のためのヘアケアブランド。年齢に伴い、変化する髪質を考えてつくられた商品展開で人気を集めています。人気の理由はその商品ラインアップのみではなく、このブランドが発信するメッセージにあります。

参照元:Better Not Younger

ブランド名のBetter Not Youngerは「より若く」ではなく「より良く」と言う意味を持ちます。創業者のSonsoles Gonzalez(サンソルズ・ゴンザレズ)さんは、2019年にBetter Not Youngerを起業。当時52歳だった彼女が起業を決意した理由は、「エイジング」に対する世間の偏見を変えたかったからだと言います。

多くの美容ブランドは、「若さ」を過剰に追求しすぎ、前述の通り消費者のインサイトをまったく捉えられていません。Better Not Youngerは、「若さがなくても、美しく年齢を重ねたい」と願う女性たちを応援しています。

Better Not Youngerのインスタグラムの投稿は、ステレオタイプにとらわれないリアルな女性たちの姿が描かれています。とある日の投稿では、「Age is not just a number」と題したキャンペーン動画がフィーチャーされています。

キャンペーン動画はこちらからご覧いただけます:

https://www.instagram.com/p/CJyPQNUH0Av/

有名な格言で「Age is just a number」(年齢は単なる数字である)がありますが、このキャンペーンでは反対に「年齢はただの数字ではない」と言っています。年齢をただの数字として片付けず、多くを経験し、人生を謳歌している証として肯定しているのです。

Better Not Youngerのように40代以上の女性に向けたビジネスを展開している美容ブランドは、まだ決して多くはありません。アメリカ進出を検討されている日本企業にとっては、今後、期待できる分野となりそうです。

 


参照元:

1 Millennials overtake Baby Boomers as America’s largest generation

2 How Different Generations Spend Money

3 Women over 40 are widely ignored by advertisers, survey shows

 

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