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米国マーケティングトレンド研究会 2020.12.01

美容ブランドのマーケティング秘策: セフォラのトップセラー4位「謎のマスカラ」

クリーンコスメブランドKosas(コサス)は、新商品ローンチの際に、あるマーケティング施策を行い、売上拡大に成功。美容専門店Sephora(セフォラ)の売れ筋商品としてもランクインしました。競争率が激しい米国のコスメ業界で頭一つ抜けるために、このブランドがとった行動とは?

Kosas(コサス)は2015年にカリフォルニアに誕生したクリーンコスメブランド。「Makeup For Skincare Freaks.」(スキンケアマニアのためのメイク)というキャッチコピーのもと、お肌をケアする要素を含むメイクを展開している点が特徴的です。そんなKosasが2020年の夏に、新しいマスカラをローンチ。その一風変わった告知方法が話題を呼びました。

Kosasは、マスカラの新発売のために、サブスクリプション・ボックスBoxy Charm(ボクシー・チャーム)とタッグを組みました。サブスクリプション・ボックスとは毎月定額で厳選された商品が届くサービスであり、米国のオンラインショッパーの半数以上が、最低でも一箱は登録していると言われています。

そんなサブスクリプション・ボックスの中でも人気が高いBoxy Charm が抱える100万人以上の登録者に対して、発売前のマスカラを抽選でプレゼントする企画を実行したのです。ただし、当選したお客さんのもとに届くのは、ブランド名が一切記載されていない「ミステリーマスカラ」。

この「謎のマスカラ」を受け取ったお客さんに課せられたミッションは、「どこのブランドから発売されるのか?」を予想すること。

インスタグラムでは、当選した2000人のユーザーから続々とブランド予想とマスカラの感想が投稿され、発売前から大きな反響を呼ぶことに成功しました。それだけでなく、発売当日はSephoraでマスカラ部門の売上トップ4にランクイン。クリーンビューティー専門店CREDO(クレド)では、マスカラ部門週間ランキング1位を獲得しました。1新商品の認知向上に止まらず、売上にも大きく貢献していることがわかります。

発売前の話題づくりとして、インフルエンサーに商品を無償でプレゼントし、SNSで感想が投稿されることは、良くあるケースです。しかし、Kosasが行ったマーケティングは、通常のギフティングとは異なります。ある種ゲーム感覚を取り入れた、「ユーザー参加型のイベント」をつくりあげたことが、功を奏しました。そして、新しい顧客を獲得するために、美容好きが集まるプラットフォームBoxy Charmとタッグを組んだところも、素晴らしいマーケティングセンスだなと感じました。

競争率が激しい美容業界で生き残るためには、現代の口コミとも言えるSNSマーケティングが必要不可欠です。しかし、他の企業がやっていることと同じような施策をしていても、意味がありません。そこに、新鮮さや面白み、クリエイティビティがなければ、根本的に人は動かないのだと、改めて気づかされる事例でした。

1 How Kosas and BoxyCharm used mystery boxes to promote a new mascara launch

 

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