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米国マーケティングトレンド研究会 2021.07.06

TikTokを利用した、新しいソーシャルメディア戦略。ケイト・スペードが、ダンスで高級品を販売。

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ラグジュアリーブランドのケイト・スペードは、そのマーケティング戦略をTikTokにまで拡大しました。彼らの最初のTikTokキャンペーンは、優れたタイミング、関連性のあるトピック、すでに人気のあるクリエイターの才能を活用するという巧みな戦略のおかげで、30億回以上の再生回数を獲得しました。TikTokの貪欲な消費者層と相まって、ケイト・スペードは今後のTikTokに最適な戦略を見出したのかもしれません。

TikTok キャンペーンのパワー。

TikTokのパワーは計り知れないものがあります。ますます多くのブランドがこのプラットフォームに移行し、素晴らしい成功を収めています。

高級ブランドのケイト・スペードは、パンデミックの後、TikTokのおかげで新たな顧客を獲得しました。2021年1月、あるTikTokユーザーが、ケイト・スペードの店舗でハート型のバッグを見つけたという動画を投稿したところ、その動画が大反響を呼びました。このバッグは1月4日に発売され、動画は1月9日に投稿されましたが、その数日後、米国内のエバー・ストアで完売しました。¹2021年3月の時点で、ケイト・スペードは第2四半期だけで50万人以上の新規顧客を獲得しました。²

2021年の夏、彼らは新たなバイラル・モーメントを生み出そうとしました。そして今のところ、それはうまくいっています。

ケイト・スペードの#KateSpadeNYHappyDanceチャレンジ

³画像：YouTubeチャンネルにアップロードされた動画を見ると、ジュディ・ガーランドの「Get Happy」という曲でケイト・スペードのサマーコレクションが宣伝されていました。この曲は、TikTokで展開している「#KateSpadeNYCGetHappy」キャンペーンのテーマソングとして使われています。

これまでの成功はオーガニックなユーザー生成コンテンツ（UGC）によるものでしたが、ケイト・スペードはこのキャンペーンを、ニューヨークとLGBTQ+のコミュニティのために、そして夏のために特別にデザインしました。

ニューヨークは、2020年のパンデミックに際して、最も被害の大きかったアメリカの都市のひとつです。ロックダウンや安全対策により、ニューヨークの文化を支えているアートや音楽、クリエイティブなスペースのほとんどが閉鎖されました。しかし、規制が解除され、ブロードウェイも年内にオープンする予定となった今、多くのニューヨーカーは文字通り踊りたいほど幸せな気分になっています。

ケイト・スペードは、このキャンペーンのために、TikTokの人気クリエイターであるトドリック・ホール、ディラン・ピアース、ケリー・アードマンを起用しました。それぞれのクリエイターには振付師としての才能があり、キャンペーンの曲に合わせてダンスを作ってくれました。

さらに、このキャンペーンでは、（他のブランドよりも）さりげなくLGBTQ+を称えています。トドリック・ホールはLGBTQ+のオンラインコミュニティの著名なメンバーであり、キャンペーンソングの「Get Happy」は、LGBTQ+のコミュニティで何十年も愛されている女優、ジュディ・ガーランドの曲です。

オリジナルのキャンペーンビデオを投稿してから24時間以内に、ハッシュタグ「#KateSpadeNYHappyDance」の再生回数は9億5000万回に達しました。6月の1ヶ月間で30億回以上の再生回数を記録しています。

好まれるTikTokキャンペーンとは？

ケイト・スペードがTikTokキャンペーンを開始するのは初めての大きな試みですが、彼らはこのキャンペーンをバイラルヒットさせるための素晴らしい戦略を持っていました。⁴

まず、タイミングです。1年ぶりにニューヨークがオープンし、多くの人々が久しぶりに幸せを感じています。通常の生活に戻るという期待で、人々は踊りたくなるような気分になっています。

ケイト・スペードはその気持ちをビデオに込めました。さらに、他の企業のように虹を投稿するのではなく、LGBTQ+コミュニティへのさりげない配慮として、6月をプライド月間として祝うユニークな方法を取りました。

次に、フレーミングです。「Get Happy」は、多くの人の共感を呼ぶシンプルなメッセージですが、特に今はそうだと言えるでしょう。

パンデミックの影響で、薬物乱用やうつ病の割合が急激に増加している今、⁵これまで以上に、人々は自分の心の健康や、どうすれば前向きになれるかを気にかけています。「Get Happy」は、ケイト・スペードというブランドを、そのようなポジティブな感情と結びつける完璧な方法のようにみえます。

これは、創業者のケイト・スペードが2018年に自殺したことが大きく報道された後、特に重要なこととなりました。⁶そのような考えから距離を置きたい人々のためにも、「Get Happy」はポジティブさを広めるための素晴らしいキャンペーンです。

3つ目は、TikTokのクリエイターを起用することです。ケイト・スペードのチームは、アプリで流行るダンスを自分たちで研究して作るのではなく、すでに活躍しているクリエイターに振り付けを作ってもらい、パフォーマンスをしてもらいました。そうすることで、TikTokに定着しているスターのオーディエンスとつながり、そのオーディエンスに特化したコンテンツを作ることができました。

限りなく広がる、TikTokの影響力。

TikTokは、「若い」アプリという評判があります。TikTokのアクティブユーザーは、米国だけでも、1億3000万人を超え、そのうちの約60％が10～29歳です。⁷ユーザーの60％が普段は高級品を購入していないため、高級ブランドがマーケティングを行うのは奇妙に聞こえるかもしれません。

しかし、TikTokの力は、あなどれません。TikTokでバイラルになることで、ブランドはこれまでにない注目と認知を得ることができます。

今では、「TikTok ○○」と呼ばれる商品も珍しくありません。例えば、Seasum（シーサム）の女性用ハイウエストヨガパンツは、「#amazonleggings」というハッシュタグでTikTokで話題になりました。しかし、報道機関がこの現象を報じる頃には、「TikTok Leggings」と呼ばれるようになっていました。現在でも、「TikTok leggings」とグーグルで検索すると、SeasumのAmazonのページが表示されます。⁸

TikTokの影響力は計り知れないものがあります。ケイト・スペードは、この強力な戦略を利用し、新しいファン層の獲得に成功しました。

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