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米国マーケティングトレンド研究会 2023.09.23

【TikTokトレンド事例】トマト・ガール・サマーって?

2023年夏、「Tomato Girl Summer」(トマト・ガール・サマー)と言うファッショントレンドがTikTokで話題を呼びました。このトレンドに乗っかってきたのは、トマトソースで有名なHunt’s(ハンツ)と、エシカルファッションブランドのLisa Says Gah(リサ・セイズ・ガー)。この2つのブランドはどのような形でこのTikTokトレンドの波に乗ったのでしょう?


TikTokトレンド: トマト・ガール・サマーって?

遡ると、2019年にリリースされたメーガン・ジー・スタリオンの曲「Hot Girl Summer」(ホット・ガール・サマー)が流行ったことがこのトレンドの発端です。以来、4年間にわたり○○ガールサマーという形で、曲にちなんださまざまなファッショントレンドが注目されました。

その一環で生まれたトマト・ガール・サマーは、イタリアやギリシャなど、トマト料理を用いる、地中海の国々からインスパイアされたファッションのことを指します。イメージとしては、リゾート地でのバカンスで着るような、涼しげでエレガントなスタイルです。名前から想像する通り、トマトの赤がモチーフカラーとなっています。

そして、このトレンドによって、思いもよらない2つのブランドがコラボすることになりました。

TikTokトレンドによって引き寄せられた2つのブランド

Hunt’s(ハンツ)はアメリカで100年以上続く、トマト製品の老舗ブランドです。トマトソースやケチャップなどがアメリカで長年愛されてきました。一方、Lisa Says Gah(リサ・セイズ・ガー)はL.A.コミュニティの間でニッチなファンを抱えるエシカルファッションブランドです。

これまでなんの接点もなかったこの2つのブランドが、トマト・ガール・サマーのトレンドをきっかけに、ハンツのトマトソースやトマトをモチーフにしたコラボ商品を発売することになりました。2023年の8月に「ハンツ・セイズ・ガー」と言うコレクション名のもと、イヤリング、トートバッグ、Tシャツの3つのコラボ商品を発表しました。

注目すべきはこの2つのブランドのスピード感です。トマト・ガール・サマーのトレンドが始まったのは、2023年7月です。わずか数週間でコラボ企画、製品発売が実現しています。

コラボが成功した3つの理由

理由その①ブランドとの親和性が高かった

両ブランドにとって、このトレンドは親和性が高いものでした。トマト製品を販売しているハンツは言うまでもありませんが、リサ・セイズ・ガーも元々「食べもの」をモチーフにしたかわいいデザインの商品展開で有名でした。そのため、両社ともに無理にトレンドに乗ってる感はなく、自然な形で消費者に受け入れられました。

理由その②ターゲットの一致

両ブランドとも、アプローチしたいターゲットはZ世代で一致していました。リサ・セイズ・ガーは、環境破壊や労働者の搾取など、あらゆる環境・社会問題に向き合うブランドとして、Z世代から支持されています。ハンツはZ世代が子供の頃から親しみのあるブランドです。トマトソースを使った手頃なレシピを日常的に活用する若者は多く、今後も彼ら・彼女たちと強い関係性を保ちたいと考えたのでしょう。両ブランドのターゲットが同じであったため、お互いのファンが盛り上がり、相乗効果を生んだと言えるでしょう。

理由その③持続性のあるトレンドに乗っかれた

TikTokにはほんの数日で消えゆくトレンドもあれば、数ヶ月間続くトレンドもあります。今回のものは、トレンド名から夏の数ヶ月間続くことが見込めました。なおかつ、2019年にリリースされた曲から、4年間続いている骨太なトレンドの背景もあります。ヘイリー・ビーバーが火付け役となったメイクトレンドのストロベリー・ガール・サマーなど、今年の夏は果物をテーマにした似たようなトレンドが盛り上がりを見せていました。今回、両ブランドが迅速な決断をし、トレンドの波に乗れたのは、慎重なモニタリングがあったからに違いありません。

SNSトレンドへ投資する上で重要なこと

もちろん、トレンドによっては不発に終わることもありますし、一歩間違えれば、炎上する可能性もあります。しかし、だからと言っておとなしくしていても、ブランドにファンは着きません。多少のリスクがあったとしても、SNSトレンドに投資することで、ブランドは顧客とユニークなつながりを生み出すことが期待できます。その積み重ねが、いずれ強固なファンコミュニティーを構築するのです。

ブランドとして関わるトレンドを検討する際に、それがブランド戦略に沿っているかを考えることがとても重要です。トレンドに限らず、あらゆるマーケティング施策を実行する前に、ブランドの核となるメッセージを体現できる施策かどうかを見極めなければなりません。そうすることによって、一貫した強いメッセージを発信することができます。


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