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多くのブランドがロゴやパッケージのデザインを一新し、よりミニマルな印象を与えるようになりました。しかし、ミニマルなロゴやブランディングが、必ずしも顧客にアピールできるとは限りません。Tropicanaの失敗例から、リブランディングをする際の注意点について考えてみましょう。
Tropicanaのリブランディング
2009年、Tropicanaは定番のオレンジジュースのパッケージデザインをリニューアルしました。元のデザインはパッケージの正面にストローが刺さったオレンジの果実が描かれ、その上に大きく「TROPICANA」のブランド名が配置されていました。
新しいデザインでは、定番だったオレンジの果実がなくなり、グラスに入ったオレンジジュースに変更され、ロゴは従来のクラシックなフォントから、よりミニマルなフォントへ変更されました。
オリジナルデザイン(左)と新しいデザイン(右)[1]
Tropicanaはブランドの外観をより現代的にすることを目的に、5,000万ドル以上の費用をかけてこのリブランディングを行いました。しかし、その勝敗は即座にわかりました。新デザイン発売後2カ月で、Tropicanaの売上は20%減少したのです。約3000万ドルの売上減となり、わずか2ヶ月と言う期間で、Tropicanaは従来のデザインに戻すことを発表しました。
Tropicanaのリブランディングが失敗した理由
最近行われた消費者調査によると、多くの消費者がミニマルなロゴを持つ企業を信頼していないことがわかりました。2この調査では、ある企業の事業内容を説明した上で、その企業のミニマルなロゴを対象者に見せていますが、結果そのブランドに「好ましい印象を抱けない」と回答しています。ただ、この結果は、まだ認知されていない小規模のブランドにのみ当てはまるものでした。
反対に、マクドナルド、ナイキ、ターゲットなどの有名ブランドには、すでに認知されているため、余計なデザインや文言は必要なく、ミニマルなロゴが通用することがわかりました。
Tropicanaは1947年から続く老舗ブランドであり、アメリカ人にとって「オレンジジュース」の代名詞とも言えるブランドです。前述した調査結果が示したように、メジャーなブランドである以上、理論的にはミニマルなロゴとデザインはうまくいくはずでした。
しかし、Tropicanaは、従来のクラシックなデザインを過小評価していたようです。長年、多くの家庭のキッチンで愛用され、そのクラシックなデザインは慣れ親しまれていました。そのため、いきなりデザインがガラッと変わったことによって、消費者に「勝手に変えられた」という印象を与えてしまったのです。
このリブランディングは、Tropicanaが「モダン」であると思われたいという願望から始まったものでしたが、消費者は決してそれを望んでいませんでした。
ブランディングにおいて、消費者調査の重要性
ブランディングで最も重要なことは、消費者を置き去りにしないことです。企業の中だけで議論し、つくられた戦略は、結果的に消費者に受け入れがたいものになってしまう可能性があります。今回の事例のようなリブランディングを行う際も、ゼロからブランド戦略を構築する際も、思い込みに左右されず、しっかり消費者の声を取り込みながら慎重に進めることが大切です。
Ys and Partnersでは、ブランド戦略構築を目的としたワークショップ型サービス「Brand Camp®」を提供しています。調査で得られた消費者のインサイトを基に、ブランド戦略の基礎となる、「ターゲティング」「ポジショニング」「メッセージング」を企業様と一緒に構築していくセッションになります。サービスの詳細については、以下のBrand Camp®特設ページをご覧ください。
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