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米国マーケティングトレンド研究会 2020.12.05

アジア系アメリカ人が、アメリカの経済にもたらす影響力

過去十年間で700万人も人口が増えたと言われるアジア系アメリカ人ですが、今、さまざまな業界で注目すべき消費者ターゲットとなってきています。主な理由は、テクノロジーの最先端にいて、デジタルな世界で影響力があり、消費力もあるからです。既にデジタル業界、マーケティング業界やフード業界などでは彼らの活躍ぶりが話題になっています。

過去十年間で、アジア系アメリカ人の人口は700万人も増加し、アメリカで最も急増しているエスニックグループと言われています。十年前に比べると45%増で、アメリカの平均的な人口増加速度の8%を遥かに超えるペースで増えているということになります[1]。また、アメリカに住んでいるアジア系の住人は移民であることが多いため、平均年齢は35歳と意外に若いのです。そのうえ、アジア系アメリカ人は他の人種に比べて、学歴も、経歴も、世帯収入も高く、2019年には9860億ドルと言われていた購買力は、2022年には1.3兆ドルにも達すると予測されており、他の人種と比べ、群を抜いて急成長しているのです[2]

更に、アジア圏内でのテクノロジーの発展の影響もあってか、アジア系アメリカ人は最新のテクノロジーに興味がある人が多く、白人を含める他の人種に比べてもトレンドの最先端にいることが多いのです。この影響で、特にデジタルベースでマーケティングを行なっている企業にとってアジア系アメリカ人は重要なターゲットと言われるようになったのです。たとえば、アジア系アメリカ人がパソコンを所持している率、タブレットを所有している率、スマートTVの利用率、インターネット接続率は他のアメリカに住んでいる人種に比べて際立って高いという統計データがあります。そのためアジア系アメリカ人は、エンターテインメントやゲーム業界でも注目すべき消費者ターゲットとなってきているのです[3]

インターネットが普及している今、オンラインで商品を買うことが簡単な時代ですが、それでも未だに購買力のある人々は一定のエリアにかたまって住んでいることが多く、特にアジア系アメリカ人は(たとえば弊社米国オフィスがあるアーバイン市をはじめ)数か所のエリアに密集していることが多く、カリフォルニア州に集中している傾向にあります。実際、カリフォルニア州とその他アジア系アメリカ人が多く住んでいる大都市を含む10州に彼らの購買力の約75%が集まっていると言われています。

しかし、アジア系アメリカ人の影響力は購買面だけに留まっているわけではありません。前述したようにアジア系アメリカ人の多くは移民ということもあり、個々が生まれ育った環境で得たカルチャーを新しいアイデアとしてアメリカに持ち込み、トレンド化している傾向が見受けられます。

たとえば、コロナ以前はアメリカ中でアジア系のレストランが急増しており、フィリピン料理、インド料理、韓国料理などといったさまざまなアジア系のレストランが人気を呼んでいました。オンラインでもNomNom Pale (ノム・ノム・ペール)、My Korean Kitchen (マイ・コリアン・キッチン)、Damn Delicious (ダーム・デリシァス) いったアジア系アメリカンのフードブログがフード業界では影響力のあるプラットフォームとして知られているのです。現在はフードブログだけでなく、料理本やテレビ、フード雑誌でも活躍を広げているアジア系アメリカ人も少なくありません。これはアジア系アメリカ人が個々のタレントで人気を呼んでいるということはもちろんですが、アジアにルーツがあるアジア系アメリカ人だからこそ真のアジア料理や文化の良さを伝えられる、という武器があるからなのです。そんなの飾り気のないコンテンツが今、アメリカでは人気を呼んでいます。

アジア系アメリカ人の人口の増加、購買力の増加、そしてフード業界で新しいトレンドを巻き起こしている彼らは今、マーケティング業界にも影響を及ぼしています。現在、ユーザー生成コンテンツを広告のクリエイティブに活用する企業が増えてきましたが、ここでもアジア系アメリカ人の活躍が増えてきているといっても過言ではありません。ここ最近は白人に比べ、アジア系アメリカ人は平均して1投稿に付き51%以上の報酬を得ているのです[4]。またその報酬がここ数年で$135から $1,021と平均756%伸びた白人のインフルエンサーに比べ、アジア系のインフルエンサーは$101 から$1,542と平均1,526%も増加しているのです。今後もデジタル業界、マーケティング業界やフード業界でのアジア系アメリカ人の活躍が楽しみです。

 

[1] Asian Americans score highest in internet usage

[2] Asian Americans Digital Lives And Growing Influence (PDF)

[3] Asian Americans lead in internet-based TV use, study shows

[4] IZEA Releases The 2020 State of Influencer Equality

 

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