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米国マーケティングトレンド研究会 2020.12.16

2021年の美容市場:新年に注目すべき4つのトレンド

2020年が終わりを迎えようとしている今、この大変な年に始まったトレンドの中には、2021年に必ず花開くであろうものがいくつかあります。2020年は、2021年に成功を収めたい美容業界のプレイヤーに、eコマースが一人勝ちしていること、美容とテクノロジーが急速にタッグを組み始めていること、スキンケアがみんなの関心事になっていること、インフルエンサーの力はこれからもっと大きくなっていくことを教えてくれています。

新型コロナウィルスの流行により、多くの人がより質素に生きるため、お気に入りのセルフケア製品を使わなくなりました。新型コロナウィルス下での生活の不確実性は、多くの消費者がお金の使い方を見直すきっかけをつくり、美容業界の製品はまさにその影響を直接的に被るカテゴリーにあたります。2020年4月に行われたKline(世界中で展開するコンサルティング会社)の調査によると、美容業界は60年以上で最大の減少率を記録しています。[1]多くの企業がオンラインでの戦略に転換していますが、パンデミックによる新しい習慣が業界全体の方向性を変えたのは間違いありません。では、2021年はどうなるのでしょうか?

Eコマースの一人勝ち

美容業界を含むほとんどの業界にとって、今年の最たる変化は、国を挙げての感染予防策から生ずるオンラインショッピング需要の急増でした。

これに伴うUIの見直し、特に購入プロセスの簡素化は、大きく報われる可能性が高い改修だと言えます。専門家は、一度対面での買い物の出足が再び安全になれば、店舗で買い物する人の数も戻ってくるのではないかとの見方をしていますが、今ではすべてがオンラインで利用可能であり、多くの消費者はバーチャル上での買い物に慣れてしまったため、店舗への回帰を促すのは困難になることが予想されます。また、オンラインでは各ユーザーのためにパーソナライズされたショッピング体験を実現させることができ、多くの人々はこの種のユニークな機能に好意的な反応を示しています。実店舗では店頭のスタッフが顧客の注意を引くことが難しいですが、バーチャルでは、押しつけがましくない方法でパーソナライズされた商品のレコメンデーションを提示したり、専門的なサポートを受けているような感覚を顧客に与えたりすることができます。しかし、販売員が目の前にいるわけではないため、商品決定までに時間がかかりすぎたとしても、彼女たちに配慮する必要がありません。

美容とハイテクのベストマッチ

eコマースがスタンダードになった今、美容業界の企業は、対面でのショッピングの醍醐味をリビングルームに直接持ち込むことができるチャンスに飛びついています。AR(拡張現実)、人工知能、VR(バーチャルリアリティ)はハイテク業界の概念のように聞こえるかもしれませんが、美容業界でもますます重要な存在になりつつあります。2021年には、パンデミックなどの影響で店舗が閉鎖されたり、実際に店舗に足を運ぶことができなかったりして、実際に商品を体験することができない消費者のために、これらのテクノロジーが重要な役割を果たすようになると、専門家は予測しています。

AR技術企業の一つであるRevieveは今年、ノータッチ・スキントーン分析ソリューションと呼ばれる技術を発表しました。これは、見込み客が店頭で商品を試したり、従業員に助けを求めたりすることなく、自分の肌色を見つけられるようにするもので、購入するファンデーションの完璧な色合いを見つけることができる技術です。[2]

また、今では、あなたの肌を分析し、どのように肌が老化しているか、どのような製品が、若々しく健康的な見た目を維持するために最善であるかを助けてくれるアプリが数多くあります。これまで美容業界は、顧客とのつながりを作るためにテクノロジーの役割を優先してきたわけではありませんでしたが、2020年にはそのテクノロジーが大きな成果をもたらしてくれました。2021年には、2020年にデビューしたこのようなテクノロジーが花開き、さらに注目を集めることになりそうです。

スキンケアが浸透する

2020年には、実際にスキンケア製品の売上高が、初めてメイクアップ製品の売上高を上回りました。新型コロナウィルスの流行を受けて、今年起こった健康とウェルネスブームの一環であることは間違いなく、消費者は今まで以上に、外見だけでなく内面から美しくなるために時間と努力を惜しまないようになっています。ニールセン(米国の大手リサーチ会社)のデータによると、2020年上半期のスキンケア商品の売上高は、前年比で18%増となり、オンラインでの売上高も42%と急増しています。

また、超人気ソーシャルメディア・アプリ「TikTok」の登場により、「スキンフルエンサー」の台頭も起きています。今年の初め、500万人以上のフォロワーを持つ@skincarebyhyramというハンドルネームを持つTikTokerが、あるスキンケアブランドCeraVe(セラヴィ)を絶賛し始めたました。CeraVeは業界大手のL’Oréal(ロレアル)の15年の歴史を持つブランドですが、その手頃な価格と、派手さがないことから、Z世代の間で人気を博していました。インフルエンサーはしばらくの間、自身のスキンケアチャンネルでCeraVe製品の効果を宣伝していましたが、最終的には2020年にL’Oréalから有償のパートナーシップをオファーされました。CeraVeが突然いつもの店舗で売り切れてしまったことについて、多くの長年のファンがソーシャルメディアに取り上げ、L’Oréalは2020年の第1四半期に売上が40%増加したことを発表しました。[3]

Picture1

[4]

画像: 「CeraVe(セラヴィー)」のサイトより、全商品のラインナップ

止まらぬインフルエンサーパワー

CeraVeのストーリーが示すように、インフルエンサーの力は留まるところを知りません。British Beauty Council(英国のNGO団体)の「2020 Value of Beauty」レポートによると、インフルエンサーマーケティングは、美容企業にとって驚異的なROIの源泉でした。インフルエンサーに1ドル支出するごとに、企業は11.45ドルの見返りを得たと推定されています。[5] ある調査によると、回答者の67%が製品を購入するかどうかを検討する際に、まずソーシャルメディアのインフルエンサーに目を向けた一方で, 企業が発信する広告には44%の人しか目を向けませんでした。[6]

インフルエンサーマーケティングは、2022年までに世界で150億ドルの市場になると予測されており、大企業でさえもマーケティング予算の大部分をインフルエンサーに割り当てています。大規模なインフルエンサーとマイクロインフルエンサーの両方を獲得することに成功したブランドは、当分の間、ビジネスの明るい未来を確保することができるでしょう。

 

—————————————————

[1] COVID-19: Beauty and Personal Care Sales to Decline by Steepest Rate in 60+ Years

[2] Revieve develops new beauty AI tools to drive customer engagement

[3] TikTok is making this budget skincare brand sell out everywhere

[4] cerave.com

[5] 8 Beauty eCommerce Trends That Will Define the Industry In 2021

[6] Lipstick Tips: How Influencers Are Making Over Beauty Marketing

 

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