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GETTR(ゲッター)は、サイト上での言論の自由を約束することで保守的なアメリカ人を惹きつける、最新のソーシャルメディアプラットフォームです。サービス開始後1週間で100万回以上のダウンロードを記録していますが、すでに大規模なセキュリティ違反が発生しており、一部のユーザーが不適切な画像で正常な言論を妨害しています。
大統領就任中、ドナルド・トランプ氏とツイッターは密接な関係にありました。トランプ氏は、ツイッターでスタッフの人事異動や解雇を発表したり、夜中に攻撃的なツイートや間違ったツイート、奇妙なツイートをしてニュースになったりすることがよくありました。しかし、それも1月6日に起きた米国連邦議会議事堂襲撃事件で終わりを告げ、その事件の後、ツイッターはドナルド・トランプ氏をツイッター上から追放しました。
ソーシャルメディアにアクセスできなくなったことで、ドナルド・トランプ氏の人気と米国内のメインストリームでの影響力は低下しました。グーグルトレンドを見ると、ドナルド・トランプ氏への関心はツイッターを禁止される前のレベルにはまだ戻っていません。
画像:グーグルトレンドより。トランプ氏はソーシャルメディアから追放されて以来、ほとんど新聞の見出しを飾っていません。広く一般に公開されているコミュニケーションツールにアクセスできないため、トランプ氏の活動に対する一般的な関心は低下しています。
ドナルド・トランプ氏と彼のチームは、支持者とつながるため、新しい本格的なソーシャルメディアプラットフォームを立ち上げました。それが「GETTR(ゲッター)」です。
トランプ氏の支持者をターゲットにするゲッターのブランディング戦略。
ゲッターはツイッターと同じような外観と機能を持ち、「言論の自由」を約束することで、主流のソーシャルメディアプラットフォームに拒絶反応を示すトランプ氏の支持者に直接アピールしています。
ゲッターのCEOは、トランプ前大統領の元上級顧問であるジェイソン・ミラー氏です。このアプリは、トランプ氏の個人アカウントが禁止された後、多くのトランプ支持者がツイッターを離れたことから、アメリカにおけるツイッターの代替ソーシャルメディアとしてデザインされ、独立記念日である7月4日に正式にスタートしました。
画像:自由の女神のトーチとゲッターのロゴ。
ロゴマークは、自由の象徴である自由の女神をイメージしたトーチです。名前の「GETTR」は、「get」と「together」を組み合わせたもので、ジェイソン・ミラー氏は、このプラットフォームを説明する際に、Fox Newsに対し「一緒に集まって、コミュニティの意味について語りましょう」と話しています。[2]
ゲッターは、「言論の自由を擁護するプラットフォーム」として宣伝されており、ユーザーが望むあらゆるコンテンツを投稿できるようにすると主張しています。ジェイソン・ミラー氏によると、「誰もが政治的に検閲を受けたり、プラットフォームから外されたりしない場所を持てる」ことがゲッターの目的とされています。[3]
ネット上での保守派の最大の不満は、民主的に選出された大統領が、ソーシャルメディアでのアカウント保持を禁止されている点で、企業が言論の自由を制限していると考えられています。保守派はよく、キャンセルカルチャー(特定の対象の発言や行動を糾弾し、その対象を排除しようとする動き)」のおかげで、言論や思想の自由が制限されていると口にします。
トランプ氏自身はゲッターを利用していませんが、彼の支持者の多くはこのプラットフォームに集まってきており、ゲッターは、グーグルプレイとアップストアで公開されてから、1週間で100万ダウンロードを突破しました。[4]
ブランディングに問題があるわけではないが、困難な状況にあるゲッター。
発売から1週間足らずで100万ダウンロードを突破し、複数の大物保守党員が参加するなど、ゲッターは明らかにターゲット層に到達していますが、すでに多くの問題も発生しています。
初期にダウンロードした人からは、電子メール認証が機能していないため、アプリを正しく使用できないという苦情が寄せられました。正式なローンチから約1週間後、ゲッターはハッキングされ、データベースから8万5000人以上のユーザーの電子メールが流出しました。サイバーセキュリティ企業Hudson Rock(ハドソンロック)社の創業者の一人であるAlon Gal氏は、API(Application Programming Interface)からこれらの情報にアクセスすることがいかに簡単であるかを認識した上で、ゲッターのローンチから1週間以内にこのような事態が起こることを予測していました。[6]
さらに、情報の流れを乱すためだけにゲッターに参加しているユーザーもいるようです。ゲッターはユーザーやコンテンツを検閲するつもりはないと主張しているため、限界に挑戦する人も存在し、情報の流出に加担したハッカーたちは、さまざまなアダルトアニメの画像や、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」などのキャラクターの性的な画像をプラットフォームに氾濫させました。[7]
ゲッターはツイッターのような人気ソーシャルメディアになれるか?
保守的なアメリカ人は少数派であることを忘れてはいけません。Gallup(ギャラップ)社の最近の世論調査によると、アメリカ人の30%が自分は社会的に保守的であると考えている一方で、リベラルだと考えるアメリカ人は34%であり、35%は自らを穏健派と考えています。[8]
つまり、ゲッターのようなプラットフォームがメインストリームに食い込み、人気を維持することができれば、マーケティング時の潜在顧客として興味深い対象となり得るでしょう。
保守的なアメリカ人は、ホームと呼ぶことができるような新しいソーシャルメディアのプラットフォームを必死に探しています。彼らは、ハッキングや不具合を経験したParler(パーラー)やGab(ギャブ)、そして今回のゲッターといったプラットフォームを試すことで、ホームを探し続けています。
しかし、この3つのサイトに共通しているのは、コンテンツのほとんどが保守的な政治にまつわるものだということです。
ツイッター、フェイスブック、インスタグラムといった主流のソーシャルメディアとは異なり、ゲッターには多様なコンテンツがありません。ゲッターは、アメリカの保守的な人々のためのサイトであり、彼らの政治に関するフォーラムとしてのみ利用されています。それ以外の用途(買い物、生活情報の共有、中立的な立場の友人との交流、娯楽)では、ユーザーは他のサイトを利用しています。
このような多様性を持たない場合、ゲッターがどのようにしてユーザーを維持していくのかは不明です。保守系の大きなニュースが流れたときにはたくさんのトラフィックがあるかもしれませんが、政治分野の状況が落ち着いているときには、このサイトを訪れる理由はほとんどないからです。
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参照元:
[1] Google Trends:Donald Trump
[2] Trump adviser Jason Miller to launch GETTR, a ‘cancel-free’ social media platform
[3] GETTR CEO Jason Miller: ‘Nobody’s ever gonna be censored or deplatformed’ by new Twitter rival
[6] Gettr, the latest pro-Trump social network, is already a mess
[7] Gettr: Tens of thousands of email addresses hacked on Team Trump social media site after it is flooded with explicit images
[8] More Americans Now Socially Liberal Than Conservative For First Time, Poll Finds
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