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米国マーケティングトレンド研究会 2021.08.10

新型コロナウィルスに対する規制の行方とアメリカの小売店。場所によっては再びマスクが必要に

新型コロナウィルスの規制がCDC(アメリカ疾病予防管理センター)によって再び推奨され、一部の小売業者が不安を感じています。しかし、2021年のトレンドを見ると、米国市場は好調で、年末までに高いGDPを達成すると予測されています。小売業者はビジネスを継続させるためには、マスクや規制による買い物の可否にかかわらず、顧客に提供できるサービスについてしっかり考えるべきでしょう。

2021年7月下旬の時点で、米国CDCは、新型コロナウィルスの感染者が増加している場所では、マスク規制を復活するよう推奨しています。この規制には、すでにワクチン接種を完了している人も含まれます。

アメリカの小売店や屋内の公共スペースでのマスク着用推奨が再開される理由

ここ最近各州では、公共の場でのマスク着用義務を徐々に緩めていました。カリフォルニア州では、6月15日に公共の屋内空間でのマスク規制がすべて解除されています。その時点では新型コロナウィルスの新規感染者数は1日平均約500人でしたが、7月15日には、1日あたりの感染者数は3,100人にまで増加しました。

CDCは、新型コロナウィルスの感染率が高くなっている約3分の2の郡で、再び屋内でのマスク着用を義務付けるべきだとするガイドラインを発表しました。しかし、すべての州がこの新しいガイドラインに従っているわけではありません。テキサス州のグレッグ・アボット知事は、マスクの義務化には反対で、新型コロナウィルスの安全対策を推奨する企業や職員に罰金を科す方針を表明しています。[1] アメリカでは、政治的な対立はマスクやマスク着用と密接に関係していますが、ショッピングのトレンドはまた違ってくるかもしれません。

新型コロナウィルスの第2波で、米国小売業はどのような影響を受けるのか

2021年のほとんどの期間、ポストコロナの世界における米国経済の回復に期待が寄せられていました。特に、ワクチン接種の普及と成功に伴い、多くの専門家が「狂騒の20年代」の10年間を予測し、期待していました。これは、1920年代に欧米で起こった巨大な経済成長を指しています。[2]実際、2021年6月には、全米小売業協会が、「2021年の小売売上高は10.5%から13.5%の間で跳ね上がる可能性がある」と予測していました。しかし、これらの予測は、新型コロナウィルスのデルタ株の威力と普及率が判明する前に行われたものです。[3]

小売業の従業員は、組合からCDCの新しいガイドラインに関する指導を受けているため、一部の店舗ではこのルールに基づいて従業員に再びマスクの着用を義務付けています。Walmart(ウォルマート)のような大規模な店舗では、自分たちのやり方を明確にしています。[4]オレゴン州ポートランドでは、CDCのガイドラインに最大限従うよう店舗に勧告しています。[5]

Nordstrom(ノードストローム)のような小売店の株価は、この新しい規制の影響を早くも受けています。8月初旬には大型店の株価が下落しましたが、これはデルタ株が人々の自由な外出に与える影響が不透明であるためだと思われます。しかし、専門家は消費者の動きを心配していないようです。Walter Loeb(ウォルター・ローブ)氏は、「ウォール街は慎重になってはいるものの、消費者が買い物を躊躇しているという考えを裏付ける証拠はまだない」と話しています。消費者の中には、外に出ることに不安を感じている人や、会社に戻るために仕事着などを購入する必要がなくなった人もいるかもしれませんが、それでも物を買っています。[6]傾向としては、以前に比べると、物よりもサービスにお金が使われるようになってきています。[7]

今のところ、アメリカの小売経済は正常に戻りつつある

このような新しい規制や勧告にもかかわらず、専門家は特に不安視していません。経済学者の中には、「本格的なロックダウン対策が行われなければ、アメリカの小売経済は、2020年初頭のような危険な状態にはならないだろう」と確信している人もいます。実際、彼らは、コロナウィルスの感染者が急増し、防護策が強化されたとしても、2021年後半のGDPは高いと予測しています 。[8]

各州の生活がどれだけ「普通」に戻っているかを示す「Back-to-Normal Index」を見ると、生活のほとんどの部分が回復モードに入っていることがわかります。しかし、求人数の増加や解雇数の減少などが見られる一方で、中小企業が依然として苦しんでいることもわかります。ニューヨーク州では30%の中小企業が閉鎖され、ほとんどの州で20〜29%の中小企業が閉鎖されています。[9]

新型コロナウィルスの新しい変種が登場するにつれ、小売店は商品だけでなく、顧客にどのようなサービスを提供できるかを考えることが重要になってきました。1年間の閉鎖期間を経て、多くの人々は特定の商品がなくても生活できるようになった一方、それでもサービスや体験にはお金を払います。パーソナルショッピングツアー、店舗での特別なイベント、メイクアップなどのサービスは、ロックダウンが発生しても小売店を存続させるために不可欠です。特に、バーチャルでできるサービスであればなおさら重要度が増しているのです。

 


参照元:

[1] https://www.cnbc.com/2021/07/29/texas-gov-abbott-doubles-down-against-covid-health-limits.html

[2] https://en.wikipedia.org/wiki/Roaring_Twenties

[3] https://www.wsj.com/articles/u-s-retail-sales-forecast-rises-sharply-as-covid-19-restrictions-ease-11623267345

[4] https://www.cnbc.com/2021/07/30/walmart-to-require-workers-wear-masks-in-stores-in-high-risk-counties.html

[5] https://www.pdxmonthly.com/news-and-city-life/2021/07/portland-stores-mask-policy-covid-cdc-recommendations

[6] https://wwd.com/business-news/retail/retail-stocks-covid-1234893126/

[7] https://www.reuters.com/world/us/us-retail-sales-fall-may-producer-prices-increase-2021-06-15/

[8] https://www.newyorker.com/news/our-columnists/what-does-the-delta-variant-mean-for-the-us-economy

[9] https://www.cnn.com/business/us-economic-recovery-coronavirus

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