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ブランドキャラクターであるカーネル・サンダースを現代のポップカルチャーの「アイコン」にするために、米国のケンタッキーフライドチキンは、「カーネルとデートする」という設定でさまざまなキャンペーンを展開し、大きな注目を集めました。2017年のことですが、少し振り返ってみましょう。
ケンタッキーフライドチキン(以下、ケンタッキー)は、世界で最も人気のあるファストフードチェーンのひとつです。そのキャラクターであるカーネル・サンダースは、創業者であるカーネル・ハーランド・サンダースがモデルになっています。創業から約70年の時を経て、ケンタッキーとそのキャラクターは、世界中の人々の生活に根付いています。
2010年代後半、ケンタッキーのマーケティングチームは、カーネル・サンダースをより現代的に見せていきたいと考えていました。ケンタッキーやカーネル・サンダースが、より人々の話題にのぼるようにしたかったのです。そこで、当時話題になっていたミレニアル世代のユーモアを取り入れたキャンペーンを実施しました。
若年層からの支持を獲得するためにどんなキャンペーンを行ったのか、見てみましょう。共通しているのは、「カーネル・サンダースとデートする」という設定です。
ケンタッキーの恋愛小説
2017年5月、ケンタッキーは、母の日キャンペーンの一環として、96ページにも及ぶプロモーション小説を発表しました。母の日は、一年中でケンタッキーが最も売れる日のため、この日に合わせたキャンペーンに力を入れるのは自然な流れだったと言えます。表紙には、カーネル・サンダースが女性を抱きかかえる姿がとても魅力的に描かれており、女性を意識して書かれた小説であることがうかがえました。
この小説には過激な描写はありませんでしたが、そのような読み物を好む女性を意識して書かれたことは間違いないでしょう。この小説はアマゾンのキンドルサービス(定期購読)では無料で読むことができたので、定期購読者には大変好評だったようです[1]。
オンラインゲームを開発
2019年、ケンタッキーは、アニメーションスタジオのPsyopと提携し、オンラインゲームストアSteamでダウンロードできるデートシミュレーションゲーム「I Love You, Colonel Sanders! A Finger Lickin’ Good Dating Simulator」を制作しました。
このゲームのターゲット層はアニメや恋愛シミュレーションゲームのファンで、年代としては10代後半から20代後半。当時、同社のマーケティング担当であったAndrea Zahumensky氏は、このキャンペーンについて、「我々は、斬新かつ面白い方法でカーネルをポップカルチャーとして見せていきたい」と語っています。
このビデオゲームが登場する約2年前、「Doki Doki Literature Club」と「Dream Daddy」という2種類のシミュレーションゲームが、ネット上で相次いで流行したことがありました。それにより、このジャンルは欧米のゲーマーの中に根づいていきました。また、テレビを見なくなった若者の目に留まるよう、ゲームソフトを使ったマーケティングを行うことで、従来の広告の枠にとらわれない広告展開を目指しました。ゲーム自体の評価はさまざまでしたが、ソーシャルメディア上で話題になりました。
有名俳優を起用したラブコメを制作
実はこの時期、ケンタッキーでは、カーネル・サンダースとのロマンチックな出会いをテーマにした、別のマーケティングキャンペーンも行われていました。
中年女性向けのドラマで有名なテレビ局「Lifetime TV」と組んで、ケンタッキーショートニムービーを制作したのです。その名も「A Recipe for Seduction」。主演は名優Mario Lopez氏で、カーネル・サンダース役を演じました[2]。
この映画は15分のもので、Twitterで発表されました。一部の人には好評でしたが、大きな話題にはならずにフェードアウトしました[3]。
結論
これらのプロモーションのうち、売上に貢献したものはあったのか? という純粋な質問に対し、簡単には答えられません。しかし、この3つのキャンペーンは、多くの人がケンタッキーに注目するきっかけになったのは事実です。キャンペーンでカーネルのことを心から(恋愛対象として)魅力的だと思った人はレアかもしれませんが、カーネルをポップカルチャーのアイコンにすることには成功したのです。
今日、人々はネット上の話題の拡散によって、一斉に「いいね!」を押したり、製品に興味を持ったり、実際に購入したりするのですが、その威力は計り知れません。カーネル・サンダースとデートするという気をてらったアプローチではありましたが、それはインターネットユーザーにアピールするための有益なコンテンツだったと言えるでしょう。
一見バカバカしいと思えるようなコンテンツを作ることは、ときにギャンブルと言えます。ケンタッキーのような大企業がこの種のキャンペーンに挑戦できるのは、しっかり宣伝できる資金があるからですが、計画通りにいかなかった場合の打撃も大きいものです。とはいえ、これらのキャンペーンが注目を集めることに成功したのは、単に多額の資金に支えられていたからではありません。ジョークに徹したからなのです。
もしアメリカで、このようなキャンペーンをして、話題拡散を狙おうとするなら、キャンペーンに全力を尽くす覚悟が必要です。ちょっとバカバカしくも印象に残る、楽しいキャンペーンアイデアを考えてみましょう!
Ys and Partnersのクリエイティブチームと仕事をするのは、すなわち世界中のクリエイターとプロジェクトを進めるということと同じです。なにか面白いキャンペーンアイデアをお探しの際には、ぜひお気軽にご相談ください。
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