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今年の1月に日本版を配信開始し、日本でも話題になっているBuzzFeed。本国米国ではすでに1つの巨大メディアとして若者を中心に絶大な支持を受けています。
それが証拠に2014年の総売上高は1億ドルにも達し、さらには2015年2月に投稿された「What Colors Are This Dress?」(このドレスは何色に見える?)という記事は、ネット上で話題を呼び、約3800万もの閲覧数を獲得しました。
もちろんこうした成功の背景には何もないわけではありません。そこには彼らの緻密に計算されたコンテンツストラテジーが存在し、そしてそれこそが最大の成功理由なのです。
1. コンテンツの制作プロセスの構築
BuzzFeedには「読み手が共感できるコンテンツを制作しよう」という哲学があります。彼らはこれを根幹に据えた上で、コンテンツ制作のプロセスを構築しています。こういったコンテンツ作成プロセスの構築は、共感できるコンテンツを絶えず供給することを可能にしています。
コンテンツの一貫性
コンテンツがブランドガイドラインにしっかり沿っているか、を常に精査しています。
コンテンツの形態
クイズ・リスト・動画・記事、BuzzFeedには様々な形態のコンテンツがありますが、彼らが形態を選ぶ際には常に「コンテンツの内容が最も伝わりやすい」ということを心がけています。
チャネルの選択
コンテンツの内容・形態が決まったならば、それをどこで配信していくかが次のステップとなります。彼らの場合、記事やクイズは自身のウェブサイト、動画コンテンツはYouTubeやFacebookで配信を行っています。適切な配信チャネルの設定はコンテンツの拡散性にもつながっていきます。
プロモーションの検討
オーガニック、シェア、広告等コンテンツが拡散されていくには様々な方法があります。コンテンツを配信するチャネルと合わせ検討していくことで拡散性が向上します。
コンテンツ効果測定の基準を設定
コンテンツが果たして真の効果を発揮したのか?ページ閲覧数と滞在時間だけではそれは測れません。BuzzFeedではその2点に加えさらに全世界を含んだコンテンツの拡散性、チャネルの分析など、様々な観点からコンテンツを分析しています。
BuzzFeedがこのコンテンツ制作プロセスを行ってきた結果、過去3年間のオーガニック検索でのプレゼンスが飛躍的に向上しました。
2. メディアの目的の明確化
多くの企業はコンテンツを配信する際に、今後オーディエンスがコンテンツをどのように扱かっていくかということを見落としがちです。しかしBuzzFeed創設者のジョナ・ペレッティはこのことをコンテンツを配信していく上で最も重要なことの一つと位置付けています。
例えば彼らの「Bored at Work」(仕事が退屈)というコンテンツカテゴリ―では、「退屈な仕事を楽しくする」ためのコンテンツが集められています。オーディエンスはこれらのコンテンツを見ることによって毎日の仕事がより楽しくなるという目的を明確にしているのです。
BuzzFeedでは常に新しいコンテンツ形態(クイズやリスト記事等)を試験的に利用し、それを様々なチャネルで展開しています。これには彼らが常に読み手がいったいどういった状況でコンテンツを閲覧し、その状況に応じてどのチャネル、形態が最適なのかを明確にするためでもあります。
3. 「感情」に訴えるコンテンツ制作
彼らはオンライン上のコンテンツには「感情」が一つのカギだと言います。「考えさせられる」「笑える」「悲しい」「感動する」などといった「感情」を揺さぶる記事は、読み手の心に響き、この「感情」を共有しようとシェアを促します。そしてソーシャルメディア上でシェアされたコンテンツは家族・友人・同僚・他人などと様々な人たちに広がり、「感情の共有」によりお互いの親密性を高めることが出来るのです。
BuzzFeed創設者のジョナ・ペレッティは「感情」を考慮したコンテンツについてこう語っています。
“例えば読み手に大変な日があったとしましょう。その日に’大変な日を乗り越えるための13のステップ‘という記事を読んでみてください。 そこには小さい帽子をかぶったハリネズミがいるのですが、これを見て「ハッピー」にならない人はいません。このような読み手「感情」を配慮した記事は読み手に「ハッピー」という感情を共有したいと思わせ、結果多くのシェアを獲得します。”
実際に多くのシェアを得た「大変な日を乗り越えるための13のステップ」のリアクションを見ていると、ほとんどが「♡」「LOL(大爆笑)」「Win」「CUTE」等のポジティブな反応が大半を占めています。彼らは「感情」こそがコンテンツにおける「シェアブル」のエッセンスであることを深く理解し、制作・読み手側の双方が「感情」で通じ合えるコンテンツを生み出していっているのです。
4. 限定コンテンツと多角的な配信モデルで飽きられないメディア構築
BuzzFeedでは各配信チャネルごとに限定コンテンツの配信を行っています。例えば「Things Everybody Does But Doesn’t Talk About」という、オバマ大統領が誰もが一度は絶対することをやってみる動画は、フェイスブック上のみの限定コンテンツとして配信されました。フェイスブック上での動画のプレゼンスの高さ、また拡散性を効果的に利用し、動画は6千万回再生、132万いいね、68万シェアを獲得しました。結果多くのオーディエンスのエンゲージメントをあげ、BuzzFeedへのウェブサイトへの流入を増やしました。
その他にもインスタグラム、タンブラー、バイン、スナップチャットなどでも各ソーシャルメディア限定のコンテンツを各チャネルに最適な形で、多角的に配信しています。
このように様々なチャネルで限定コンテンツを配信することは、どこでもBuzzFeedのコンテンツを目にできるだけでなく、どのチャネルでも違ったコンテンツが見れるため、オーディエンスを飽きさせないという利点もあります。
5. シェアビリティと感情の分析
BuzzFeedのコンテンツが常に高いエンゲージメントを獲得しているのは、決して偶然ではありません。エンゲージメントを常に維持、向上できている背景には彼らの分析に秘密があります。
彼らはまずどのコンテンツのタイトル、テーマが多くシェアされているか見ます。そしてシェアの高かったコンテンツの中からどういったチャネルからきたか、どのようにソーシャルメディアで拡散されていったかを見ていくのです。そしてなぜシェアビリティが高かったのかを「感情」で分析します。
BuzzFeedでは読み手が記事対し反応を残すことができます。「LOL」「Win」「OMG」等の反応は集計できるようになっていて、BuzzFeedでは大きな分析指標の一つとなっています。
またジョナ・ペレッティは「感情」の分析についてもこう語っています。
“沢山のトラフィックを獲得しSEO的な観点でも素晴らしいコンテンツに注目するのは悪くはありません。しかしそれが「成功したコンテンツ」と呼ぶには早計です。もし多くのトラフィックを獲得していても読み手に「悪い印象」を与えていたら? SEOがすべての時代ですが、それらすべての数値・結果をうのみにするのは危険です。いったいコンテンツが読み手の生活・人生にどのように影響してくるのかを考えてみてください。”
前述したように、BuzzFeedのコンテンツ内では「感情」がシェアを促す大きな要因になっています。いかに多くの人の感情に訴えかけられたか、またどのような印象を持たれたかを見ることで、よりシェアビリティの高い効果的なコンテンツを制作することを可能としているのです。
BuzzFeedでは常に「感情」に訴えかけた様々なコンテンツを多様なチャネルで配信しています。結果、オーディエンスとの繋がりを構築することに成功し、BuzzFeedの新たな可能性と潜在性を発見してきました。ソーシャルメディアの影響力がさらに強くなった現在、そこには際限ない可能性が秘めていると彼らは信じています。ただコンテンツを様々なチャネルで配信するわけではありません。新しい戦略、新しいコンテンツ、新しいチャネル、そしてオーディエンス、これらの様々な可能性に挑戦し続けること、BuzzFeedは飽きられないメディアとして常に進化を遂げています。
アメリカでビジネスを成功させる
Ys and Partners(本社カリフォルニア州)では、2002年から蓄積したマーケティング・コミュニケーションの知見、経験、技術を元に、最新のコンテンツマーケティング手法を用い、北米に進出される日系企業様をご支援しています。また、日本オフィス(東京都港区、横浜市中区元町)では、北米に進出される予定のお客さまはもとより、東京でビジネスをされている皆さまへ、米国の最新事例のご紹介をしています。詳しくは弊社ブログページをご覧ください。
参考記事
BuzzFeed
Content Marketing Strategy Lessons from Buzzfeed
Content marketing case study: Buzzfeed
How BuzzFeed Discovered the Secret to Success on Social Media
Content Marketing Success The Buzzfeed Way
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