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米国マーケティングトレンド研究会 2021.04.02

【デジタルマーケティング】新型コロナウィルス禍にナイキの戦略が活きた理由。

ナイキは50年以上の歴史を持つブランドですが、その考え方は過去のままではありません。2017年に消費者に焦点を当てた戦略を採用して消費者への直接販売を取り入れたことで、図らずも新型コロナウィルスのロックダウンに完璧に備えることができました。ユニークな体験を提供する2つのパーソナライズされたアプリと、サードパーティの販売者ではなく、自分たちのブランドと消費者との関係をより重視することで、ナイキは勝利の方程式を見つけました。

はじめに

デジタルの力がかつてないほど重要になっています。ロックダウン令が出され、多くの店舗がフル稼働できない状況の中、ほとんどの小売業者にとって、パンデミック前の売上に戻すためには、オンライン販売を推進するしかありません。

すでにデジタルの世界に溶け込んでいたブランドは、オンライン化の問題を抱えていません。昨年、DTC(Direct to Consumer)ブランドは、顧客が自宅にいながら購入に必要なすべての行動を行えるようにすることで、実店舗のみでは叶えることができなかった、飛躍的な成功を収めることができるDTCの可能性に気づきました。

特にフィットネスブランドは、DTCモデルに移行することで大きな効果と利益を得ています。2020年の衣料品・小売業の売上は、外出禁止令が続く生活で、仕事や外出に必要な服が少なくなったこともあり、全体的に減少していますが、フィットネスウェアの売上はそれほど落ち込んでいません。新型コロナウィルス感染対策として、食事や外出先に気を配り、運動もするようになった人が多いはずです。

この流れに乗っている最大のフィットネスブランドのひとつが「ナイキ」です。パンデミック前からナイキがどのようにビジネスモデルをデジタル化してきたのか、そしてそのシフトがどのように成果を上げているのかを見てみましょう。

ナイキの最新の成功例

ギリシャ神話の勝利の女神にちなんで名付けられた靴メーカー「ナイキ」は、オンラインDTCモデルの採用という新たな勝利への道を見つけました。新型コロナが発生する前から、ナイキはデパートやアウトレットショップから撤退しようとしているという報道がありました。その代わりに、小規模なショップやビジネスを開拓しようとしていたのです。1つ目の戦略は「Nike Live」と呼ばれる小規模なショップで、「Nike Plus」と呼ばれるサービスにお金を払った顧客が、店舗にいながらナイキのアプリでデジタル機能を楽しめるほか、オンラインで購入した商品を受け取ることもできるというものです。これらの店舗は2019年から稼働しており、現在もオープンしています。最近オレゴン州にオープンしたばかりですが、ナイキは今後数年間に数百店舗のオープンを目指しています1。もう一つのコンセプトは「Nike Rise」で、顧客は店舗でNikeアプリを使って、地元のランニングクラブやイベントに申し込むことができます2

パンデミック前、ナイキは2023年までに売上の30%をオンラインでまかなうことを目標としていましたが、新型コロナウィルスのパンデミックにより、この目標の達成が早まりました。ナイキは2020年末までに目標を達成しただけでなく、今後数年間でオンライン販売が売上の50%を占めるようになると報告しています。

パンデミックの際、ロックダウンのためにナイキは900店舗の閉鎖を余儀なくされ、Foot Lockerなどの卸売りパートナーも閉鎖されたことを考えると、これはさらに驚くべきことです3

コンシューマー・ダイレクト・オフェンス 

ナイキは、実は2017年頃からこのデジタルな動きを計画していました。この頃、同社はアディダスのような他ブランドに徐々に負け、下落する株価の対応策を必要としていました4。 この年、彼らは「コンシューマー・ダイレクト・オフェンス」計画を発表し、その中で消費者の需要によって成長を促進することに重点を置くことを説明しました。これは、日本を含む10カ国、12の主要都市で行われ、「イノベーションを2倍に、成長スピードを2倍に、そして消費者との直接的なつながりを2倍にする」という、トリプルダブル戦略と呼ばれるものでした。

画像:「Nike SNKRS」アプリのウェブページより5

ナイキは、NIKEとSNKRSという2つのアプリを通じて、消費者と直接つながることに成功しました。NIKEはブランドが提供するすべての商品を網羅したアプリですが、ナイキはSNKRSでスニーカー愛好家の市場を開拓しました。このアプリでは、ユーザーが欲しい靴を追跡し、その靴がお気に入りの店でいつ展開されるかを知ることができます。1990年代以降、アメリカの若者の間で高品質なスニーカーが大流行したことを考えると、このアプリは、消費者が大切にしているものについて、企業が消費者と直接コミュニケーションをとることを学んだ見事な例と言えるでしょう。

2021年の今、利益を維持するためにますます小売業のデジタル化が不可欠になる中、ナイキは小売ビジネス商戦の一歩先を行っています。

結論 

ナイキは半世紀以上の歴史を持つブランドですが、まるで数年前にオープンしたブランドのような運営をしています。市場がどこに向かっているのか、どうやって顧客とつながるのか、そして急速に変化する小売の状況に合わせてどうやって進化していくのかをしっかりと把握しているナイキは、ポストコロナに向けて準備万端と言えます。

ナイキは小規模な小売店から撤退し、代わりに消費者基盤と製品への愛に焦点を当てることを選択した結果、かつてないほどの売上増を達成しました。フィットネス機器やシューズのようなパーソナルな商品は、自分が本当に好きな商品を見つけたときに、ブランドへのロイヤリティをかきたてられるものですが、ナイキも例外ではありません。ナイキは、すでに自社製品に注目している消費者に焦点を当てることで、他の小売業界が今から取り入れ始めようとしている、「消費者と直接つながる」方法を見つけたのです。

ナイキは、ナイキでのショッピング、彼らの製品を所有するという概念をすでにパーソナライズ化しています。この新しい小売の世界の中で、ナイキが勝利を収める可能性は非常に高いでしょう。

 

参照元:

[1] https://www.retaildive.com/news/nike-pushes-small-format-expansion-with-new-nike-live-store-in-oregon/593782/

[2] https://www.cnbc.com/2020/09/23/nikes-ceo-says-digital-is-here-to-stay-e-com-business-fuels-sales.html

[3] https://www.businessoffashion.com/case-studies/retail/inside-nikes-radical-direct-to-consumer-strategy-download-the-case-study

[4] https://www.fool.com/investing/2019/12/22/nikes-consumer-direct-offense-is-paying-off.aspx

[5] https://www.nike.com/snkrs-app

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