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米国マーケティングトレンド研究会 2025.10.18

鬼滅の刃がアメリカで大ヒットした理由|現地で効くアニメマーケティング施策まとめ

『「鬼滅の刃」無限城編』第一章「猗窩座再来」が、アメリカでも2週連続で週末興行収入第1位を記録しました!世界興行収入は6億5,450万ドルを突破し、日本映画としても歴代トップという驚異的な数字に。これは「鬼滅の刃」が日本だけでなく、アメリカでも確実に大きな人気を獲得していることを示しています。

カリフォルニア在住の私もレイトショーで鑑賞してきたのですが、平日の21時上映にも関わらず席は3分の2ほど埋まっていて、上映後は観客が一斉に感想を語り合う光景が印象的でした。単なる映画鑑賞にとどまらず「体験」として楽しんでいる様子からも、アメリカにおけるアニメ人気の熱量を感じました。

今回はそんなアメリカで実際に目にした、日本アニメのマーケティング施策をご紹介します!

1. ラッピングバス・電車広告

毎年7月にサンディエゴで開催される「コミコン」に合わせて、街中を走る電車に『鬼滅の刃』のラッピングが登場しました。映画公開は9月でしたが、約2か月前からすでに走っていて、見かけるたびに「早く観たい!」とワクワクしたのを覚えています。

最近では『ガチアクタ』のラッピング電車も登場し、サンディエゴ内を走っています。ラッピング電車は日本でもよく見られる手法ですが、アメリカでも定番化してきており、アニメが一般層にまで浸透していることを象徴していると感じます。

また、ラスベガスの巨大LED球体施設「Sphere」に『ワンピース』の映像が流れたことも大きな話題に。こうした大規模な屋外広告にアニメ作品が起用されるのは、アニメが“サブカルチャー”から“メインカルチャー”へと位置づけられている証拠です。[2]

2. スポーツコラボレーションの盛り上がり

『鬼滅の刃』がMLBロサンゼルス・ドジャースと、『ワンピース』がボストン・レッドソックスとコラボするなど、スポーツとのタイアップも活発です。

私自身、NBAロサンゼルス・レイカーズと『ワンピース』のコラボ試合を観戦しました。来場者全員に限定Tシャツが配布され、ハーフタイムには特別アニメーションが上映。会場は大歓声に包まれ、ルフィのコスプレや麦わら帽子姿のファンが目立ち、「本当にバスケの試合なの?」と思ってしまうほどアニメ色が強いイベントでした。

一見すると「純粋にスポーツを楽しみたい人にとってどうなのだろう?」という疑問もありますが、メリットも大きいです。アニメをきっかけに普段は会場に足を運ばない層が来場し、新しいファン層の開拓やチケット販売拡大につながります。また、特別演出や限定グッズによって「いつもと違う特別な体験」が得られるため、既存のスポーツファンにとっても価値あるイベントになるのです。

アメリカでは「コミュニティ」を重視する文化があるため、こうしたオフラインでファンが集まり楽しめるイベント型の施策は非常に効果的です。アニメエキスポでもファン同士の交流イベント(ファンパネル)が大人気で、異なるコミュニティ同士をつなげる取り組みは、日本とアメリカのマーケティングの大きな違いだといえます。

3. SNSでのコミュニティ形成

この「コミュニティ重視」の考え方はSNSマーケティングにも通じています。アニメ業界はファンの情熱によって支えられており、ファンアートや二次創作、名場面の切り抜き動画など、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が作品を盛り上げる大きな原動力になっています。

アメリカのアニメに特化した配信サービス「Crunchyroll」のSNSでは、日本人の声優や監督インタビューに英訳をつけて投稿したり、アニメの名シーンの切り抜き、声優によるアフレコシーン、コスプレイヤーとのコラボレーションなどを積極的に発信し、こうした取り組みがファンからの厚い信頼につながっています。[3]

まとめ

コロナ禍以降、世界的におうち時間が増えたこともあり、日本のアニメ人気は一気に高まりました。アメリカではアニメが単なる娯楽コンテンツではなく「日本文化の一部」として受け止められており、アニメを入り口に日本食や日本旅行に興味を持つ人も少なくありません。実際に日本の観光でも「聖地巡礼」が流行していたり、アニメに出てきた食事を食べる方も多くいらっしゃいます。

アニメのマーケティングは作品の拡散だけでなく、日本文化そのものを広める力を持っています。これからもアメリカでのアニメ人気の動向を注視しながら、「次に何が流行るのか」を探っていきたいと思います。

“体験”で広げ、“購買”で回収する — アニメIP×Foodの収益導線設計

ワイズアンドパートナーズでは、2002年から「日本のブランドを世界で有名にする」を使命に、日米双方から主にB2Cのマーケティング支援を行ってきました。食品・外食ブランドに加え、アニメ/マンガ等のIP×フード施策(イベント・コラボメニュー・限定グッズ・EC/小売)までを企画・設計。戦略〜実装を一気通貫で支援します。

参照元

  1. 「鬼滅」アメリカで2週連続の1位。これは日本映画では異例の達成。世界興収でも日本映画歴代トップに
  2. ONE PIECE Takes Over the Exterior of Sphere in Las Vegas For 25th Anniversary
  3. @crunchyroll / tiktok

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