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TikTokで最もバズったキャンペーンのひとつ、#eyeslipsfaceチャレンジをご存知でしょうか?これは、ある化粧品ブランドがスポンサーとなり、60億回を超える再生数を生みだした、大ヒット企画です。このブレイクの裏には一体どんな企みがあったのでしょう?
ハッシュタグチャレンジで話題をつくる
ハッシュタッグチャレンジとは、特定のお題を動画で投稿する、ユーザー参加型企画のことを言います。音楽に合わせて、ダンスをしたり、顔の表情をつくったり、おもしろい技を披露したりと、TikTokユーザーがクリエイティブに発信できることで人気を集めています。
コスメブランドe.l.f. cosmetics(エルフ・コスメティックス)は、Z世代へ向けてブランド認知を高めるため、TikTokに本格的に乗り出しました。15秒のオリジナルソングをつくり、この曲に合う投稿を募ったところ、瞬く間にトレンド入り。500万件のUGC(ユーザー発信のコンテンツ)、そして67億回の再生数を獲得し、記録的なキャンペーンとなりました。1多くの芸能人も、スポンサーシップ契約ではなく、純粋に参加したいという理由でチャレンジに参加しています。
キャンペーン動画はこちらからご覧ください:
https://www.youtube.com/watch?v=bdL7Q-GmKPc
人気の理由は、オリジナルソング「Eyes. Lips. Face.」にありました。歌詞の中に「投げキッス」や「キメ顔」を促す内容が含まれ、ユーザーが気楽に参加しやすい構図になっていたことがポイントです。そして、通常のチャレンジは、既存の曲を使うことがほとんどですが、e.l.f. cosmeticsは、完全なるオリジナル曲にこだわったことも特徴の一つです。キャッチーなメロディと歌詞は、グラミー賞受賞プロデューサーがつくっただけあり、有名アーティストの曲と勘違いされてしまうほどのクオリティです。
化粧品ブランドからヒット曲誕生
さらに、このブームはTikTokを超えて、音楽シーンへと拡大していきました。e.l.f. cosmeticsは、15秒の曲を今度はフルバージョンとして音楽配信サービスのiTunesやSpotifyでリリース。このフルバージョンの曲は1,600万回ストリーミングされ、世界のトレンド曲としてSpotifyの4位にランクインしました。2あまりの人気ぶりに、ミュージックビデオまでつくってしまったのです。化粧品ブランドがキャンペーンのために生み出した曲が、このように世界的なヒット曲になることは、かつてない現象です。
このキャンペーンから派生した企画もいくつかあります。「Eyes. Lips. Face. Safe.」は、もともとの歌詞を「コロナ感染を防ぐためのアドバイス」に変更し、替え歌としてTikTokで拡散されました。また、TikTok史上初となるリアリティー番組「Eyes. Lips. Famous.」では、当選者が美容インフルエンサーたちにメイクテクニックを教わる企画を立ち上げ、ますます若者の支持を集めています。
効果的なSNSマーケティングに重要な考え方
ここまでの事例をご覧になり、「ただ派手なプロモーションをしているだけ」と思われたかもしれません。ところが、これらのキャンペーンはすべてブランド戦略に基づいているのです。ブランド名にある「e.l.f.」は曲のタイトルである、「Eyes. Lips. Face.」(目・唇・顔)の頭文字をとっています。様々な人種や容姿が存在する世の中で、その「多様な美しさを讃える」ブランドであることを意味しています。多様な人々を受け入れ、インクルーシブであることが、このブランドの根幹にあり、それが各プロモーションで表現されています。
しかし、ブランドが大事にしていることを、ただユーザーに押し付けてもうまくいきません。e.l.f. cosmeticsの一番の成功要因は、ブランドにとって大事なこと、そしてターゲットであるZ世代の興味関心の共通項をみつけ、プロモーションへ落とし込んだ点にあります
そしてもう一つ大事なことは、TikTokと言うプラットフォームを肌感覚で理解していたことです。TikTokはフェイスブックやインスタグラムなど他のSNSプラットフォームと異なり、即興性があり、自由度が高いコンテンツが求められます。つまり、インスタグラムと同じようなコンテンツをTikTokで発信していても、響かないということです。今後、SNSマーケティングが加速するなか、各SNSプラットフォームでどんなコンテンツが求められるのかを把握し「今この瞬間、何が熱いのか?」を鋭敏に感じとることが、ますます重要になっていくでしょう。
2 https://www.youtube.com/watch?v=yTf-dYttwn4
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“米国マーケティングトレンド研究会”
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