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BeRealは、日常のリアルを見せるSNSアプリです。2020年のリリース以降、アメリカでは主にZ世代に支持されています。新時代このSNSアプリは、なぜ若者に受け入れられているのか、その理由を知ることで、この世代のインサイトを分析してみましょう。
Z世代はソーシャルメディアを1日に4時間以上利用
1997年から2012年の間に生まれたZ世代は、完全にデジタルネイティブな最初の世代です。Morning Consultが最近行ったZ世代のソーシャルメディア利用に関する調査によると、アメリカのZ世代のほとんどが毎日4時間以上、ソーシャルメディアに時間を費やしていることがわかりました。これは、アメリカの成人全体のほぼ2倍の時間となっており、いかにこの世代がソーシャルネイティブなのかがわかります[1]。
そんなZ世代にとってBeRealは、今もっとも注目を集めているソーシャルメディアアプリです。リリースから約2年で4,300万回以上ダウンロードされており、2022年には月間アクティブユーザーが315%増加しています[2]。
BeRealは他のSNSアプリと何が違うのか?
BeRealは、その名の通り、リアルな日常の風景を投稿する仕組みのアプリです。InstagramやTikTokとは異なり、フィルターやエフェクトを使って“映える”加工画像をあげることはできません。
また、その投稿方法も独特です。1日1回、ランダムな時間にアプリからの通知がくる、かつ、通知から投稿までは2分という制限時間が設けられています。それをすぎてしまうと「○○分遅れで投稿」と表示されてしまいます。そして、この通知がくる時間をあらかじめ知ることはできません。夜中に突然くることもあります。
さらに、BeRealは、ユーザーにフロントカメラとバックカメラで同時に写真を撮ることを要求します。このような仕組みで、ユーザーはその瞬間のリアルなことしか投稿できないようになっているのです。
他のSNSと同様、BeRealを友人と共有したり、誰でも見られるように公開したりすることもできます。他の投稿に対して、”Realmojis “と呼ばれる「いいね!」や「お気に入り」のようなリアクションをすることができます。ただし、BeRealで他者の投稿を見ることができるのは、自分も投稿したユーザーだけになっています。
BeRealが好まれている3つのポイント
例えばInstagramの投稿は、常に整ったキュレーションが良いという価値観が主流です。多くのインスタグラマーたちは、自分の生活の良いところだけを切り取り、画像を加工し、美しいフィードを作成することに力を注いでいます。
実はこの点において、アメリカのZ世代は、Instagramは実現不可能な“ニセモノ”だと感じてしまうというのです。
また、SnapchatやTikTokでさえも、何度も撮影をし直し、エフェクトをかけ、より良いものを追求して投稿することがあたりまえになっています。この“常にベストなパフォーマンスで投稿しなければならない”ということに、プレッシャーを感じる人も少なくないといいます。
一方で、BeRealの目標は、「現実」を見せることです。このアプリでは、ユーザーが自分の人生のランダムな部分、それがたとえ退屈なものであっても、その瞬間のリアルを共有することが、信憑性につながっています。
つまり、ダメな状況も含めて、その時のリアルをみんなが投稿していること、そして誰しもが考え過ぎずに気軽にできること、この2つが、BeRealがZ世代に受け入れられている重要なポイントとなっています。
また、もう一つの重要な点として、他のソーシャルメディアアプリとは異なり、BeRealには、まだアプリ内広告がないことがあげられます。他のSNSのように、つながりや興味、行動を利用したターゲティングが行われていると感じずに、ユーザー同士の交流や他人とのつながりだけを楽しめる、真のソーシャルメディアネットワークであることが、Z世代にとっては重要なのです [3]。
BeReal が示すZ世代のインサイトとは?
ある調査によると、アメリカのZ世代の5人に4人が、ソーシャルメディア上のライフスタイルのほとんどはニセモノもしくは、嘘みたいに完璧すぎると考えていることがわかりました[4]。ミレニアル世代が好むインフルエンサーのようなライフスタイルはあまり好んでいない様子がうかがえます。
Z世代は物心ついた時からあたりまえにSNSがあったので、見栄えのするコンテンツに簡単に影響されることがなく、お金を払ったスポンサーシップや、実際には興味のない商品を宣伝しているインフルエンサーを見抜くことに長けているため、好まないのでしょう。むしろフォロワー数や美しいだけの投稿ではなく、自分ごととしてリアルに捉えられる本物の情報であるかどうかが重要のことであり、たとえ有名ではないクリエイターのコンテンツでも、その条件が満たされていれば、十分に信頼すべき価値のある情報だと考えるのです。
そしてこの考え方はSNS投稿に限ったことではありません。
まとめ:Z世代の消費者を相手にするということ
BeRealの仕組みと何が評価されているのかを知ると、Z世代のインサイトが見えてきます。消費に対しても「リアル」が重要であり、ブランドを信頼し、ブランドの意味を理解し、安売りされていないことを確信したいと考えています。
つまり、企業がこの世代とつながるための鍵は、自分たちの商品やサービスについて正直に表現・訴求しているかどうかが、非常に重要なポイントになってきます。[5]。
現在、BeRealで広告を出すことはできません。一部の企業はBeRealのアカウントを開始しているものの、それらの投稿から売上へのコンバージョンがあるかどうかは、まだまだ未知の世界でしょう。
今大切なのは、このアプリを使ってマーケティングを仕掛けたり、コミュニケーションを取ろうとしすぎたりすることではなく、このアプリを通じてZ世代のインサイトを知り、近い将来、消費の中心となる彼ら・彼女らに対してどうコミュニケーションをとっていくべきかについて、考えることなのかもしれません。
消費者インサイトを理解することは、アメリカ進出において非常に重要なことです。
マーケティング調査にお悩みの方は、ぜひワイズアンドパートナーズにご相談ください。
参照元
- https://morningconsult.com/2022/12/12/gen-z-social-media-usage/
- https://blog.apptopia.com/social-app-of-the-moment-bereal-grows-users-315-ytd
- https://digiday.com/marketing/could-bereal-be-the-first-successful-social-media-channel-to-grow-without-ad-support/
- https://orthodonticproductsonline.com/practice-management/marketing-promotion/study-shows-how-social-media-shapes-gen-z-values/
- https://www.forbes.com/sites/paultalbot/2021/03/23/best-practices-for-marketing-to-gen-z/?sh=850f0274319c
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