2020年のブラックフライデー。新型コロナウィルス渦におけるプロモーションと注意事項。

アメリカでは第二次、場合によっては第三次のロックダウンがすでに始まっていますが、例年のようなホリデーシーズンやバーゲンの活気が今年は見られません。一部の人々は例年、ブラックフライデーの費用対効果の高い情報を利用するため、特定の時間に異なる店舗をハシゴしクリスマスショッピングを行いますが、今年のブラックフライデーは感謝祭のずっと以前から開始され長期間に及ぶため、消費者がお金を節約する時間がたっぷりありました。

多くの屋内店舗では、パンデミック規制の影響で営業が制限されているため、人気店の外には行列ができることも珍しくありません。入店が制限されているため、販売数が減少し、それに伴いバーゲン価格で買い物をする人も減少することが予測されています。これらの事象や、オンラインショッピングに移行する可能性のある人々に対応するため、多くの大手チェーンでは、ブラックフライデーをブラックノーベンバー（11月）に変更しました。場合によっては、ブラックフオクトーバー（10月）とブラックディッセンバー（12月）を行う店もあります。

この戦略を採用している大手小売業者には、ウォルマート、ベスト・バイ、ターゲットなどがあります。¹

ウォルマートでは、ブラックフライデーの週末を1回だけにするのではなく、3回の週末に渡ってお得な情報を提供することにしました。このキャンペーンは、”Black Friday Deals for Days（ブラックフライデーのお得期間） “と呼ばれ、11月の第一、第二、第四週末に行われます。週末に登場するお得な情報は、前週の水曜日に発表されます。また、ウォルマートは、店頭での買い物ではなく、カーブスサイドピックアップ（店舗脇に車を停めて準備された商品を運び込み、店舗には入らない）を選択することで、人々に安全なショッピングを促しています。例年のグリーティング担当者（店頭に立って呼び込みをするスタッフ）も、現在はマスク・ポリシーを守り、店頭での買い物客に、ソーシャルディスタンスを呼びかけています。

Best Buy（ベスト・バイ：アメリカ最大の家電量販店）は10月からブラックフライデーのお買い得情報を提供しています。ベスト・バイの担当者は声明の中で、「今年のブラックフライデーは一日のみではなく、数ヶ月に渡って開催されています」と述べています。お買い得品の中には、店頭での販売が始まる前に、まずオンラインで販売されるものもあります。特定の日には、買い物客はベスト・バイのウェブサイト上で早い時期に掲載される広告からさらにお得な情報を得ることができます。また、ブラックフライデー当日には、ベスト・バイの店舗は午前5時にオープンすると発表しており、感染リスクを軽減するためにカーブスサイドピックアップサービスを利用することを奨励しています。

Target（ターゲット：ウォルマートと並ぶ、アメリカの人気大手スーパーマーケット）は、11月1日から11月全体を対象としたブラックフライデーのお得な情報を提供しています。提供されるお得な情報のほとんどは、一度に一週間分の情報となっており、毎週木曜日にターゲットの広告を通じて発表され、そのお得情報は日曜日まで有効になります。さらに、ターゲットは11月1日から12月24日までの間に購入された商品については、購入後2週間まで最安値保証の対象期間を延長しています。もちろん、他の多くの小売業者と同様に、Targetもカーブスサイドピックアップサービスを提供しており、Shipt（シプト：モバイルアプリでローカルの小売店と顧客間の配送を行う）のようなサービスを利用して商品を発送することで、場所によっては最短1時間で商品を受け取ることができます。店頭での購入も非接触型になりつつあり、ターゲットは店内での支払い方法を確立し、顧客が支払いをする番になるとテキストが送られてきて支払いができる、ライン予約システムというものも準備しています。ターゲットはまた、レジではなく、レジを通さずに支払うことができる新しいデバイスを店内に設置しました。²

これらのブラックフライデーのお得な情報は店頭でも利用できますが、今年は特に郵便配送サービスに打撃を与える程のオンライン注文の急増が予想されています。2020年、電子商取引は、配送会社が5年後に到達を計画していた成長に到達する勢いですが、残念ながら現在のインフラと配送システムは、このホリデーシーズンの配送数をタイムリーに処理することができない可能性があり、出荷が遅れることが予想されます。時間通りに配送される保証はされておらず、オンタイムでの配送を希望する人々にとっては心配の種になっています。³

ブラックフライデーを取り巻くこの騒動は、実は何も新しいものではありません。「ブラックフライデー」という名前の由来は、1960年代にフィラデルフィア警察が毎年感謝祭の後の金曜日を「ブラックフライデー」と呼んで商店街の混乱を表現したことにあります。2020年という前代未聞の社会混乱の中、小売業者は混沌と不確実性を抑えるために全力を尽くしています。