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アメリカにも昔からコンビニエンスストア(以下、コンビニ)はありますが、売っているものやその存在は日本のものとは異なります。そして多くのアメリカ人にとって、コンビニのイメージは決してポジティブなものではありませんでした。しかし最近、特に若者の間で、それが変わりつつあります。コンビニは販路として価値があるのか、現在のコンビニ事情を踏まえて考えてみましょう。
アメリカ人にとって日本のコンビニは、楽しい場所。
コンビニはアメリカ発祥のものですが、日本はコンビニを新しい体験ができる場所に昇華させました。イベントのチケット購入や支払い、食事など、生活のあらゆる場面でコンビニは重宝されています。
日本を訪れた時、セブンイレブンやファミリーマートに行きたいと考えるアメリカ人はたくさんいます。なぜなら日本のコンビニはアメリカのコンビニとはまったく違う体験ができる、刺激的で楽しい場所だからです。
アメリカのコンビニのステレオタイプ
長年、アメリカのコンビニはあまり評判がよくありませんでした。多くのアメリカ人にとってコンビニはガソリンスタンドと結びついています。そしてこのガソリンスタンドはコンビニと同様、あまり評判が良くないのです。「ガソリンスタンドにスナックを買いに行く」と言う人がいますが、それはガソリンスタンドに併設されているコンビニのことを指しています。
なぜ評判が良くないのか、それは大きく2つの理由が考えられます[1]。
・清潔感がないイメージ
アメリカのガソリンスタンドにコンビニが併設されていることが多いのは、人々が車の給油に立ち寄った際に、衝動的に買い物をする可能性が高いからです。しかもアメリカのガソリンスタンドは、実はガソリンを売るよりもコンビニでの売上げでほとんどの利益を得ています[2]。
一昔前までガソリンスタンドやコンビニは、人々がちょっとした休憩に利用できる清潔な場所でした。しかし、多くの人が車を持ち、高速道路によってスムーズに移動ができるようになると、ガソリンの需要が高まりガソリンスタンドの競争が激化したため、必然的にガソリンの価格が下がりました。その結果、コストを節約するために多くの経営者はガソリンスタンドを清潔に保つための投資をしなくなったようです[3]。
そして現在では、ガソリンスタンドは汚いというイメージが定着しており、その延長線上でコンビニもそう思われるようになりました。
・食品の品質が良くないイメージ
これは、コンビニ=清潔ではないというイメージの延長線にあるのかもしれませんが 、アメリカでは、コンビニで作られた物を食べることはほとんど推奨されていません。アメリカのメディアでは、コンビニの食品の品質について数え切れないほどのジョークが飛び交っています。特に、ホットスナックですら食中毒になることがあると知られているので、ほとんどの人は何かを食べることを避けています。
さらに、売っているものもファストフードの定番であるハンバーガー、ホットドッグ、フライドチキンなどが中心であるため、健康的な食事というイメージもなく、健康志向が高まっている今、余計に興味を持たれなくなっています。
日本のコンビニと違うところは?
日本のコンビニとアメリカのコンビニの大きな違いのひとつは、購入される商品の種類です。以下、アメリカのコンビニエンスストアでよく購入される10種類の商品を紹介しましょう[4]。
- タバコ
- ビール・ワイン
- 宝くじ
- ノンアルコール飲料
- ガス・自動車用品
- キャンディ、パッケージスナック
- 薬(タイレノール、アレルギーの薬など)
- 温かい食べ物
- 洗面用具(石鹸、シャンプー、リンス、オムツ、ティッシュ、トイレットペーパーなど)
- アイスクリーム、乳製品
日本だとコンビニ=お弁当を買うという人も多くいると思いますが、アメリカでは食品はリストの前半には入っていません。アメリカ人はコンビニの食品は品揃えが悪く、購入する際の選択肢も少ないと思っている様子がうかがえます。
またもう一つ興味深いのは、アメリカのコンビニは高速道路沿いのガソリンスタンドに併設されていることが多く、車でどこかへ急ぐ人をターゲットにしているため、その人たち向けの自動車用品が売れている点です。車の芳香剤、エアポンプ、タイヤ空気圧計など、様々なものがコンビニで手に入るのです。
しかし最近では、より良い食品を販売することに力を入れる店舗もあり、コンビニに対する考え方は変わってきています。
変わるコンビニのイメージ
マーケティング会社NCSolutionsが主体となっておこなった 2000人以上を対象にしたオンライン世論調査によると、コンビニに対する評価が変わりつつあることがわかりました。特に興味深いデータとして、回答者の10人に7人が、コンビニは新しい商品やブランドを見つけられると答え、また、10人に4人近くが週に2回以上コンビニで買い物をすることがわかりました[5]。また、特にZ世代はコンビニに対してポジティブな態度を示しており、回答者の91%がコンビニは良い買い物体験ができると答えています。
これほどまでに肯定的に評価されたことは、ここ数年でコンビニに対する意識が大きく変化しているあらわれといえるでしょう。実際、アメリカ人の中には、可能な限りコンビニで買い物をすることを選択する人もいるほどです[6]。
まとめ:アメリカのコンビニは販路の選択肢になり得るのか?
例えばスーパーマーケットではじっくりと時間をかけて複数の商品を比べ、それから買うかどうかを決めることが多いのですが、ガソリンスタンドに併設されていることが多いコンビニでは、急いで棚にあるものを手に取るだけ、という購買行動がよく見られます。つまり、実はアメリカでもコンビニは新商品や目新しい商品をパッと手に取って直感的に買いやすい場となっているのです。
日本からアメリカに進出するときに、販路として有名スーパーだけでなくコンビニでの展開を検討するのも面白いかもしれません。知名度がなくてもお客さまに商品を知ってもらったり、手に取ってもらったりするチャンスが広がっているからです。
今、アメリカのコンビニは若者を中心にポジティブイメージになりつつあるからこそ、新商品を販売する場としても注目が集まってきています。近い将来、清潔感や食品の充実度がアップし、豊富な商品やサービスを取り扱う日本のコンビニのようになるのかもしれませんね。
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参照元
- Top 5 Concerns of Gas Station Users
- Economics of a Gas Station
- The Hidden History of Gas Station Bathrooms, By a Man Who Cleans Them
- The 10 Most Popular Convenience Store Items You Should Be Selling To Increase Profit & Business Value
- American Shoppers Are Loving Convenience Stores
- Convenience Stores in the US - Statistics & Facts
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