SNSマーケティング戦略の一環としてのライブコマース

ライブコマースは、アメリカに徐々に浸透しつつある最新のトレンドです。アメリカでは中小企業や大企業の間で着実に人気が高まっています。ユーザーはTikTok、Instagram、そしてAmazon Liveなど、お気に入りのソーシャルメディア・アプリでライブストリーミングフィードを視聴し、セール情報や新商品の紹介をリアルタイムに利用することができます。この新しいトレンドをソーシャルメディアマーケティング戦略に加えることを検討してみてはどうでしょう。

ライブコマースとは？

アメリカでは、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)パンデミックが起きてから、eコマースは急速に発展し、その勢いはとどまるところを知りません。特にライブショッピングは企業と消費者を繋ぐために重要な役割をはたしています。

ライブコマースとは、ライブショッピングとも呼ばれ、ライブ配信とEC（ネット通販）を組み合わせた新しい販売形態です。主に個人がライブイベントを開催し、視聴者はリアルタイムで商品を購入することができます。一見シンプルに見えますが、照明や台本、実演などを駆使していて、非常に演出性の高いショッピングイベントとなっていてテレビのQVCに似ています。

ライブコマースは 2010 年代半ばに中国で始まったと言われています。すでに一般的なショッピング方法のひとつになっているようです。中国版TikTokとも呼ばれているDouyinや2016年にスタートしたアリババのTaobao Liveがそれを支えています。中国では最も人気のあるライブ ショッピングホストは、「KOL」またはオピニオンリーダーと呼ばれ、ちょっとした有名人となっています[1]。例えば、あるイベントでは人気販売インフルエンサーのオースティン・リーが、5分間で15,000ドル相当の口紅を販売しています [2]。

中国のユーザーと比較すると、米国のユーザーにはまだ成長の余地があるといえるでしょう。アメリカのリサーチ会社Coresightの調査によると、中国人の74％がライブコマースイベントで何かを購入したことがあるのに対し、アメリカ人の78％はライブコマースイベントを見たことがないと答えています。
ただ、アメリカでも2019年以降ソーシャルコマースが右肩上がりになっています。予測によると、2025年までにFacebookには69万人、Instagramには500万人、TikTokには3780万人のバイヤーが誕生すると言われています[3] 。また、あるレポートによると、米国ライブコマースの市場は、2022年末までに200億ドルに達すると予想されています[4]。

インフルエンサーマーケティングの重要性をおさらい

インフルエンサーマーケティングは、あらゆるソーシャルメディアマーケティング戦略の主要な手法のひとつです。影響力のあるインフルエンサーとつながることは、ターゲットとなるオーディエンスに商品をPRすることに大きく貢献してくれます。
実際、企業がインフルエンサーマーケティングに1ドル費やすごとに、平均して6.50ドルの収益が得られることが判明しています。

アメリカでは、2023年、インフルエンサーマーケティングの価値は211億ドルにまで成長すると予想されています。中でも最も人気のあるインフルエンサーマーケティングチャネルはTikTokで、インフルエンサー マーケティングを使用しているブランドの 56% が利用しています[1]。

実際、アメリカのマーケターの多くは、コストを抑えてプロモーションをするために、マイクロインフルエンサーと連携したプランを活用しています。例えばミレニアル世代の場合、50％がインフルエンサーPRを信頼しているというデータがあるからです。実は、有名になればなるほどこの信頼性は低下傾向にあり、ビックインフルエンサーだと38％となっています[2]。有名なインフルエンサーは炎上を恐れ良いことしか言わないことが多い一方で、マイクロインフルエンサーは、スポンサーシップを多く持っていないから、正直に話したり多少間違ったことを話したりしてもリスクが少なく、率直な意見を自由にいっているからかもしれません。

アメリカでライブコマースに使うべきプラットフォームは？

ライブコマースは成長市場です。今のところ、ライブコマース専用のアプリやプラットフォームはありませんが、急速に変化する可能性も秘めています。

アメリカで今、人気のあるライブコマースのソーシャルメディアプラットフォームは、Instagram Live、TikTok Live、Facebook Live、そしてAmazon Liveです。CommentSoldのように、顧客が直接買い物できる独自のアプリを作成できるソフトウェアサービスもありますが、中小企業にとっては、確立されたソーシャルメディアプラットフォームのいずれかを使用する方が手軽でコスパが良くなっています。これらのプラットフォームには、すでに数百万人（時には数十億人）のユーザーがいるため、新たなリードを獲得することが容易になるのです。

大企業もライブコマースに参入

もちろんライブコマースは、中小企業やクリエイターのためだけのものではありません。大手ブランドも売り上げを伸ばすために、挑戦しています。

例えばウォルマートはTikTokを通じていくつかのキャンペーンを実施しています。2020年に初めて開催したライブコマースイベントでは、フォロワー数が25％アップし、通常の動画の7倍の再生回数を獲得しました[5]。このことがきっかけで、より多くのライブコマースイベントを開催し、より多くのセレブリティを参加させるようになりました。これらのイベントは「shop-alongs」と呼ばれることもあり、顧客は商品に関する質問に答えてくれる情報通のガイドやインフルエンサーの助けを借りて買い物をすることができると人気です。

ライブコマースイベントを成功させるヒント

ライブイベントを成功させるためには、ただカメラを回して商品を紹介すればいいという単純なものではありません。ライブストリームはテレビの生放送と同じように扱い、最終的な成果物には多くのプロダクションバリューが必要です。

ここでは、ライブコマースイベントに挑戦しようと考えている企業のためのヒントをリストアップします。

・1回限りのイベントか、継続的なイベントかを決める。

ライブのスケジュールを明確にすることで、視聴者が事前に見るかどうかを検討しやすくします。１回限りでイベントを行うことは目新しさを感じさせ、一貫したイベントを行うことは、より頻繁に顧客とつながり彼らの意見を聞くことにつなげられます。

ウォルマートは継続的にイベントを行う戦略をとっています。季節ごとにイベントを行い、その季節にぴったりの新商品を紹介しています。この手法は、ホリデーシーズンのショッピングに特に有効です。

・インフルエンサーを活用する

このようなライブコマースイベントの運営には、可能な限りインフルエンサーやセレブリティを起用することが不可欠です。可能であれば、ライブストリームでサプライズゲストをアサインして参加させましょう。これは、より多くの視聴者を引き込むことにつながります。

ウォルマートはビューティーコレクションの広告を出すために、350万人以上のTikTokフォロワーを持つビューティーインフルエンサーのGabby Morrisonをイベントのホストに起用しました。Gabbyは、ウォルマートの美容製品のラインナップを確認し、ライブストリームでお気に入りのオプションについて話し、大盛況でした。

・ライブコマースはインタラクティブであることを忘れない

ライブコマースの最も重要な部分かつ最大の特徴は「視聴者参加型」であるということです。
ライブ配信中、多くの人が商品について質問することがあります。ホストは、製品の良いところをアピールしつつ、これらの質問に積極的に応えることが重要です。さらに質問を促し、それに答えることで、ストリームへの参加を促しましょう。

・期間限定のお得なキャンペーンを実施する

ライブでストリームを見る人には、何らかの割引コードを与えたり、すぐに注文する人のために数分間続くセールを用意したりします。これにより新しい視聴者を引き込み、ストリームに留まらせることができるのです。

また、イベント期間中にしか手に入らない限定商品を配信中に提供することも有効な手段です。ライブショッピングに見逃すことのできない価値を付与し、さまざまなチャンネルの中でもユニークな体験にすることで、視聴者を引き込みましょう。

まとめ：ライブコマースをうまく活用しよう

ライブコマースイベントを開催することで、お客様との距離を縮めることができます。お客様の生の声を聞き、商品や価格に対する感想を聞くことは、今後の意思決定のための貴重な情報となります。もちろん、イベントの様子を友人にシェアしてもらうことができれば、口コミでブランドの認知度を広める絶好の機会となります。

イベントを成功させるには、インフルエンサーへの働きかけやマネジメントはもちろん、巧みなソーシャルメディアマーケティングプランや調整されたキャンペーンが必要です。経験豊富なソーシャルメディアマーケティングチームなしで、このようなイベントを行うのは非常に困難です。しかしうまくいけば、その結果は驚くほど面白いものになるでしょう。

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