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2020年、パンデミックの規制で家に閉じこもり、娯楽を求めている人々が増えるなか、TikTok(ティックトック)は特に人気を集めています。清涼飲料メーカー2社は、ダンス好きの若者を惹きつけるため、この人気アプリを利用したキャンペーンを展開しました。ペプシコはインドで映画のプロモーションのためにTikTokを利用し、ダンスや特別なフィルターを作成してユーザー生成コンテンツの記録を更新し、レッドブルは年に一度の国際ダンス大会を完全にTikTokに移行させました。
おそらく自主隔離期間の前は、TikTok(ティックトック)は娯楽の面において若者世代、特にジェネレーションZ世代(1990年代後半から2010年の間に生まれた世代。 生まれたときからインターネットが当たり前のように存在する「デジタルネイティブ」な世代)の間で人気がありましたが、大人にとっては日常生活の中で触れる機会がないものでした。しかし、新型コロナウイルスの大流行とそれに続くロックダウンにより、TikTokは大人世代でさえも無視できないソーシャルメディアであることを証明しました。
TikTokは、2016年9月にリリースされ、すでに大変人気のある中国限定アプリDouyin(ドウイン)の国際版でした。TikTokがアメリカで利用できるようになったのは、2018年8月に、アメリカの口パク音楽動画アプリであるMusical.ly(ミュージカリー)と合併した後でした。Musical.lyはすでにジェネレーションZ世代に人気のプラットフォームでしたが、両者が合併すると、すでにMusical.lyでフォロワーを抱えていたユーザーは、そのままTikTokのアカウントに移行されました。そのため、彼らはフォロワー数を維持しながら、全く新しいアプリに移行することができました。1
記事によると、TikTokはリリース以来20億回以上ダウンロードされ、月間アクティブユーザー数は8億人を超えており2、これはTwitterやSnapchatという、未だに強い影響力を持つSNSプラットフォームよりも多く見られていることになります。比較のために言及すると、Instagramの月間アクティブユーザーは11.6億人で、これはTikTokのアクティブユーザー数と大きくギャップがあるように見えますが、これについてはInstagramが2010年からappストアに存在していること、SNSの本家Facebook(ほぼ30億人の月間アクティブユーザーがいる)によって買収され、運営されていることを考慮する必要があるでしょう。TikTokはFacebookのサポートなしで、しかもFacebookの約半分の時間で信じられないほどの人気を集めているのです。3
TikTokはユーザーが積極的にトレンドを探すプラットフォームです。アルゴリズムは最も注目を集めている動画だけを表示するように調整されているので、自身の動画にも注目を集めたいのであれば、アプリ上ですでに人気のある動画に注目する必要があります。人気のある動画のほとんどはダンスとリップシンクで、後者はMusical.lyがZ世代の間で人気を獲得するためのものでした。いくつかのブランドは、販売促進のためにこのダンスの流行を利用しようとしており、それらの多くはほとんどダンスとは関係がありません。以下にペプシとレッドブルという2社の大手ソフトドリンク会社の事例を紹介します。
ペプシスワッグキャンペーン:
ソーダと清涼飲料水はすでに若い世代と強い相関関係を持っているので、ペプシがTickTokのプラットフォーム上でオーディエンスに向けたキャンペーンを無駄なく作成したのも不思議ではありません。2019年、ペプシはTikTok上で「Pepsi Swag Step Challenge」と呼ばれる記録的なキャンペーンを開始しました。
このキャンペーンは、人気映画シリーズの最新作「Dabangg(ダバング:インドのアクションコメディ映画) 3」の公開に合わせてインドで実施されました。有名俳優サルマン・カーンをスポークスマンに迎えたこのキャンペーンは、複数のフェーズに分かれており、フェーズごとに異なるテーマが設定されていました。インドの有名なミレニアル世代のインフルエンサーたちもキャンペーンの様々な段階で参加し、ハリウッドスタイルのダンスナンバーを使ってプロモーション用の広告を作成しました。
各フェーズでは、ビデオに貼ることができるフィルターがあり、正しい動きをすれば、ビデオに目に見える効果が起こります。 第三段階は「スワッグ・ステップ・チャレンジ」です。このキャンペーンでは、ユーザーがカメラに向かってあるジェスチャーをする動画を撮影すると、ペプシのロゴが入ったサングラスが顔の上に表示される、というフィルターを使っていました。
このキャンペーンは、最も多くのユーザーが生成したコンテンツ(UGC)の記録を更新し、4日間で#PepsiStepChallengeのタグが付けられた新しい動画は100万件を超え、再生回数は54億回を超えました。4
レッドブルダンスユアスタイルキャンペーン:
2018年、RedBullは「Dance Your Styleキャンペーン」を開始しました。RedBullが選んだ曲に合わせて、ストリートダンスにインスパイアされた自分のスタイルで踊る、というキャンペーンです。コンテスト参加者は自分が踊っている動画を投稿することができ、最優秀に選ばれたダンサーは各国の決勝ラウンドに進み、その後、世界選手権に出場することになります。過去には世界30カ国で開催され、パリで行われた世界決勝大会では、参加者の投票により優勝者が決定されました。
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画像:2020年のRed Bull Dance Your Style USAのオリジナルイベントのスクリーンショット
本来であれば、この大会は2020年初頭に予選があるはずで、3月中旬から4月下旬までの春の大会となる予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で政府からの規制がかかり、イベントは延期せざるを得なくなりました。
しかし、2020年後半になると、レッドブルはすべてのチャレンジをTikTokアプリで開催するという動きを見せています。TikTokは、ジェネレーションZ世代がダンスを習い、動画をアップロードして「いいね!」をもらうことで世界にその名を知らしめたプラットフォームであり、今回のようなチャレンジには最適でした。キャンペーンは2020年11月5日に正式に開始され、エントリーは11月15日まで受け付けられました。Black-Eyed Peas(ブラック・アイド・ピーズ)の楽曲「Get Loose Now」に合わせてダンスをしている自分をアップロードし、ハッシュタグ「#redbulldanceyourstyle」を使用し、キャプションに@RedBullDanceをタグ付けしたユーザーなら誰でもエントリーすることができ、審査員がお気に入りのエントリー作品を選び、コンテスト参加者の中から複数の候補者を発表します。また、11月25日から12月13日までの期間、TikTokの投票機能を利用して、お気に入りの作品に投票することができ、今年の優勝者は2021年レッドブル・ダンス・ユア・スタイル・ワールド・ファイナルへの出場権を獲得します。 6
世界各地でさらに規制が強化され、新型コロナウィルスの最新の波をコントロールするためにロックダウンに逆戻りする社会が増えている中、このコンペティションのメインメディアとしてTikTokを採用したことは、時代に合っているだけではなく、これらの新しい規制がすべての対面イベントにもたらす混乱に対して効果を発揮することを示しています。エントリー期間中、#redbulldanceyourstyleはTikTokで連日トップトレンドのハッシュタグの一つとなっていました。
結論:
TikTokは、どれだけ多くのユーザーに、どれだけ早くリーチできるかだけではなく、適切に行われれば、ユーザーが生成したコンテンツ(UGC:ユーザージェネレ-テッドコンテンツ)のおかげで、ブランンド側が何年もかけて制作したものよりも多くのコンテンツを生み出すことができるということを証明しました。他のソーシャルメディアプラットフォームと同様に、TikTokはアイデア、課題、製品が拡散していくための完璧な繁殖地であり、ほとんどの作業はエンゲージする消費者によって行われています。
そして、ここでの最大の収穫は、潜在的な消費者をエンゲージさせるための、これまで以上にインタラクティブな新しい方法があるということです。2020年第1四半期のTikTokの新規ダウンロード数は3億1500万件で、前四半期比58%増となっています。7プラットフォームが異質で、自社ブランドとは相容れないものであったとしても、TikTokのアルゴリズムからFor Youページへと抜け出す方法を見つけることは、マーケティング目標の達成に大変役立つものになるに違いありません。
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