【SNSマーケティング】ファン・トークン：ファンが決定権を持つことで、マーケティングはどう変わるのか？

Socios（ソシオス社）は、「ファン・トークン」の購入に使用できる暗号通貨のシステムを生み出した企業です。これは、様々なスポーツチームに付随した小規模な暗号通貨で、チームの決定に対する投票通貨として機能します。例えば、あるチームが新しいジャージを必要としている場合、ファンはファン・トークンを使って投票（支払い）を行い、その決定に影響を与えることができます。これは、ファンがお気に入りのスポーツチームの運営に参加するための明確で直接的な方法であるだけでなく、自分が買っているブランドと純粋につながっていたいという顧客のニーズの高まりを反映したものでもあります。

世界がますますデジタル化されていく中で、オンラインショッピングやオンライン交流といった利便性へのシフトは、パンデミック化でますます顕著となり、人々が予防接種を受け終わった後もずっと残ると考えられています。そうした世界の変化の中の一つが、日常生活における暗号通貨の使用だと考えられています。

暗号通貨を使えば、オンラインでの支払いは、銀行からお金を借りるよりも簡単でプライベートなものになります。また、一部の企業は、顧客を暗号通貨の世界に引き入れ、重要な意思決定において顧客に発言権を与えることで、暗号通貨利用の動機づけが可能であると感じています。ソシオス社は、ユーザーが暗号通貨を支払うことで、お気に入りのスポーツチームの意思決定に投票できるようにしています。このモデルがどのように機能するのか、さっそく見てみましょう。¹

暗号通貨の概要

ビットコイン以外の暗号通貨がわからない人のために、簡単に説明します。暗号通貨は、デジタルファイルから「作られた」お金です。暗号通貨は政府機関に帰属するのではなく、分散化されており、その価値はブロックチェーンと呼ばれる世界中の人々によって管理される、複数の取引台帳のようなものです。

これは非常に分かりにくいのですが、最も重要なことは、政府が通貨を管理していないため、いつ、どれだけの量を作るか、どこにあるかさえ、誰にも決められないということです。ブロックチェーンを介して人々はこのシステムを維持することができるため、多くの人々がオンラインでの商品やサービスの支払いに好んで暗号通貨を利用するようになっています。

ビットコインはもちろん最も人気のある暗号通貨ですが、現在では、暗号通貨の本家に対抗するため、多くの競争相手が生まれています。²

画像：英語スピーカー向けのソシオス社のPC用ホームページ

Socios（ソシオス）とファン・トークン。

ソシオスは、無料でダウンロードできるアプリで、そこでは、Chiliz（以下、$CHZ）を購入することができます。$CHZはデジタル通貨で、ファン・トークンという代用貨幣を購入することができます。ファン・トークンは、アプリに登録されている各スポーツチームやクラブに固有のもので、サッカー、ゲーム、バスケットボール、そして総合格闘技（MMA）の通貨もあります。

ユーザーはこのファン・トークンを使って、アプリ上に掲載されているチームの決定に関する選択肢に、「投票」することができるのです。ファン・トークンが多ければ多いほど、その選択肢の人気が高まり、チームにとってベストな決定になるという考え方に基づいています。これらの決定は、新しいチームグッズや、スタジアムで流すべき音楽などに関連するものもあります。

ソシオス社のCEOであり、$CHZの生みの親によると、このアプリとファン・トークン全体にはいくつかの目標があります。1つ目は、暗号通貨の概念を主流化させることです。ビットコインのような現在の強力な暗号通貨は、平均的なインターネットユーザーにはなかなか挑戦しにくいと思われますが、ソシオスは初心者にも理解しやすい暗号通貨です。もうひとつの目標は、ファンがチームの決定事項を簡単かつ信頼性の高い方法で見守ることができるようにすることです。暗号通貨はブロックチェーンで運用されているので、台帳をたどっていつ誰が誰に何を支払ったのかを誰でも確認することができます。つまり、それぞれの決定には、チームがその選択の責任が負えるよう、足跡が残されているのです³。

なぜこれが重要なのか？

パンデミックが始まる前から、複数の市場調査で、ミレニアル世代の消費者は、企業の透明性がブランド体験に不可欠であると感じていることが明らかになっていました。多くのミレニアル世代の消費者は、製品がどのように作られているのか、なぜ決定が下されるのか、そしてすべての製品がどこから来ているのかを知りたがっているのです。これは、ミレニアル世代（そして現在のZ世代）にとって、自分たちの価値観に合ったブランドや企業からの商品購入が大切であるからだと考えられます。 実際、彼らは自分の価値観に合致したブランドには、より高い金額を払ってでもスイッチしたいと考えています。⁴

大好きなチームが試合で使用するジャージの種類や音楽に投票することは、ミレニアル世代にとって、とても重要なことのようです。たとえば、チームがスタジアムで演奏させたいと思っている音楽アーティストがスキャンダルを起こしていたり、選手のユニフォームが非倫理的な労働状態を放置している工場から発注されていたりしたらどうでしょう。このような問題は、多くの成人したスポーツファンが気にしていることです。こうしたスポーツファンに発言力を与えることで、好きなチームや選手、ファン仲間との距離をぐっと縮めることができるのです。

このような意思決定は小さいことのように思われますが、このプラットフォームの人気は今日のマーケティングの大きな変化を物語っています。お客さまやファンが何を求めているかを予測するために膨大な時間と人手を費やす代わりに、彼らに決断を委ねてみてはいかがでしょうか。インターネットの普及により、DTC（ディトゥシー）マーケティングはかつてないほど容易になり、お客様の要望は、インスタグラムやツイッターに投票ポストを投稿するだけで簡単に聞くことができるようになりました。

ファン（ひいては消費者）が商品の製造や決定により関与することができるようにすることで、ウェブサイトやショップだけでなく、企業のソーシャルメディアアカウントにもアクセスしてもらえるようになります。ファンが製品に関与することができるようになると、そのブランドや企業への関心が高まり、投資を維持してもらえる可能性も高くなるのです。

[1] https://www.socios.com/

[2] https://en.wikipedia.org/wiki/Bitcoin

[3] https://southeusummit.com/europe/malta/the-tokenisation-of-sports-teams-we-are-helping-fans-have-a-voice-globally/

[4] https://www.prdaily.com/report-83-of-millennials-want-brands-to-align-with-them-on-values/