アメリカのホリデーショッピング最新情報。ターゲット社が後払い決済BNPLを取り入れる。

アメリカでは、Buy-now-pay-laterと呼ばれる後払い決済サービスが人気を集めています。大手小売企業のTarget（ターゲット）は、2021年のホリデーシーズンに向けて、この支払い方法を取り入れました。後払い決済サービスが大手小売企業の利益にどのような影響を与えるかは今のところ不明ですが、多くの顧客はこの支払いスタイルを好んでいます。

2021年の消費者動向として、Affirm（アファーム）、Sezle（セズル）、Afterpay（アフターペイ）、Klarna（クラーナ）などの「buy now pay later（BNPL：後払い決済）」サービスの利用が注目されています。BNPLサービスは、「point-of-sale loans（ポイント・オブ・セール・ローン）」とも呼ばれ、これらのサービスでは、商品を購入・受けとりし、4回に分けて支払いをすることができます。現在、BNPLの市場規模は910億ドルに達しています。[1]

Credit Karma（クレジット・カルマ）社の調査によると、回答者の44％が過去にBNPLサービスを利用したことがあると答えています。BNPLを利用したことがある人の75％は、少なくとも2回利用したことがあると回答しています。最も多く購入されているのは、家庭用品、電子機器、アパレルです。[2]

ターゲット社、ホリデーシーズンに向けてBNPL決済を取り入れる。

大手小売企業がBNPL決済を取り入れたのはターゲットが初めてではありませんが、一番最近取り入れた企業と言えるでしょう。Walmart（ウォルマート）が2019年に4,000カ所の店舗で、支払い方法としてアファームを追加したことで、他の小売企業にBNPLが注目すべきサービスであることを示しました。[3]ターゲットも、ウォルマートと同様にオンラインと店舗の両方で、アファームとセズルのBNPL決済を提供する予定です。[4]

アメリカのホリデーシーズンの消費予測は、これまでになく高い水準にあります。専門家は、2020年と比較して9％の支出増を予測しています。2020年のホリデーシーズンには、アメリカ全体で約1.2兆ドルの支出が見込まれています。[5]

消費者はお金を使いたいと思っていますが、サプライチェーンの混乱により、今年は購入できる商品が少なくなります。ターゲットやウォルマートなどの大手小売企業は、自社で貨物船やコンテナを購入してこの問題を解決しようとしていますが、こういった大手企業の努力だけで店頭の在庫が確保できる保証はありません。[6]

BNPL決済を利用することで、消費者はお金が貯まるまで大きな買い物を我慢する必要がなくなります。これは、多くの小売企業が2021年の年末商戦に向けて推奨している戦略で、サプライチェーンの混乱による顧客の失望を避けるためだと言われています。

なぜBNPLが人気なのか？

BNPLの魅力は、その承認スピードと使いやすさにあります。顧客はその日のうちに商品を購入して帰宅することができるのです。

クレジットカード会社に申し込むのと比べて、BNPLはとても手軽です。携帯電話や店頭で予約するか、また、商品購入をする予定店舗でも申し込むことができます。通常のクレジットカードを申し込む際には、クレジットスコアチェックによってスコアが下がることがありますが、BNPLサービスのクレジットスコアチェックを受けても、スコアが下がることはありません。

BNPLは小売企業にとってのメリットは？

小売企業にとってBNPLサービスには長所と短所があります。

消費者が銀行口座に10ドルしか持っていない状態で店に入っても、その日のうちに40ドル分の商品を購入することができます。買い物客は、何度も大きな買い物をして、ゆっくりと支払いをすることができます。お金がなくても店で買い物ができれば、幸せな気分になるでしょう。

大きな買い物をするときには、顧客に安心感を持ってもらうことが大切です。高価な商品を欲しいと思っても、買うのを我慢したり、お金を貯め終える前に他の商品を購入したりすることもあるでしょう。分割払いにすることで、高額商品を購入してもらえる可能性が高くなります。

残念ながら、BNPLには重要な欠点があります。BNPLのサービスによるローンは、これまで多くの人に利用されたことはなかったため、何百万人もの人々が遅延決済サービスを利用することで、小売店の財務にどのような影響を与えるかは現段階では不明です。

顧客が期限内に支払いをすることができるかどうか？ その質問への明快な回答は未だありません。先に紹介したクレジット・カルマの調査で、回答者の44％が過去にBNPLサービスを利用したことがあると答えましたが、それらの回答者の34％が、少なくとも1回はBNPLの支払いを怠ったことがあると認めています。

BNPLサービスはホリデーショッピングをどのように変えるか？

小売企業は、ホリデーセールの時期を大幅に早めたり、BNPLの支払い方法を取り入れたりすることで、これまで以上に消費者がホリデーショッピングをしやすい環境を作り上げています。

BNPLサービスを利用する人が増えることで、ホリデーショッピングが変わるとしたら、その最大のポイントは、より早く買い物ができるようになることです。これは、クリスマスに向けて大きな問題となるサプライチェーンの問題を解決する最善の策となるでしょう。

さらに、2021年のホリデーシーズンには、アメリカ人がこれまで以上にお金を使うようになるという予測がある一方で、アメリカは失業の嵐の真っ只中にあります。多くの労働者が、より良い賃金を求めてストライキを起こしたり、劣悪な賃金に抗議して仕事を辞めたりしています。彼らの要求が通らなかったり、新しい仕事が見つからなかったりした場合でも、BNPLのサービスを利用すれば、家族へのプレゼントを確保することができます。

経済的に困難な状況に陥っている人に対しても、早めにプレゼントを購入する方法を提供できることで、BNPLはホリデーショッピングのあり方を恒久的に変える可能性を秘めています。

参照元：

[1] Buy now pay later firms spending millions on marketing

[2] Buy now pay later surges throughout pandemic consumers credit takes a hit

[3] Why buy now pay later is popping up everywhere

[4] Target announces buy now pay later payment plan ahead of Holiday

[5] Holiday sales spending 2021 covid 19

[6] Walmart target home depot and other large retailers are chartering ships to bypass supply chain