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米国マーケティングトレンド研究会 2021.05.13

【デジタルマーケティング】iOSアップデートがフェイスブック広告に与える影響とマーケターが注意すべき理由。

アップル社の最新iOSアップデートにより、ユーザーは自分のデータをこれまで以上にコントロールできるようになりました。新機能である「ATT(App Tracking Transparency)」は、ユーザーが自分の行動を外部の企業に監視されたり、自分のデータがマーケティング担当者に容易に提供されたりすることを拒否できます。フェイスブックのように収益の大半を広告収入で得ている企業は、これが自社のビジネスモデルに影響を与えることを懸念しています。マーケティング担当者は、この新機能についてどう考えるべきでしょうか。

はじめに 

近年、フェイスブックは様々な問題を抱えています。アメリカの選挙期間中に虚偽の情報を共有していたと非難されているだけでなく、ケンブリッジ・アナリティカ(かつて存在したデータマイニングとデータ分析を手法とする選挙コンサルティング会社)のスキャンダルでユーザーのデータを無断で販売したことにより、フェイスブックの評判は悪化しています。

フェイスブックは常に人々のデータを収集しており、そのデータを利用してターゲット広告を作成したり、他の事業体に売却したりして収益を上げています。しかし、アップルの最新アップデートであるiOS 14.5は、フェイスブックのビジネスモデルを揺るがす可能性があります。

</=h2>アップルのアップデートによる新機能とは?

最新のiOSアップデートでは、データ追跡を許可するか否かをユーザー自身が選択できるようになります。この機能は「App Tracking Transparency」、略して「ATT」と呼ばれています。iOS 14.5にアップデートすると、さまざまなアプリケーションでダイアログウィンドウが表示され、他社のウェブサイトやアプリケーションによる行動追跡を許可するかどうかを尋ねられます。1

これにより、ユーザーは、広告主が閲覧履歴を追跡するために使用するIDFA(identifier for advertisers)と呼ばれるコードを管理できるようになります。このコードがなければ、広告主はユーザーとそのニーズを効果的に追跡することができません。2

画像:アップデートされたiOS 14.5からは、「プライバシー」の「トラッキング」タブで、アプリのデータトラッキングの可否を切り替えられるようになりました。

フェイスブックのように効果的な広告キャンペーンをビジネスモデルとしている企業にとって、これは大きな問題です。

アップルがこの機能を作った理由のひとつは、フェイスブックの過去のプライバシー問題への対応です。2018年、ケンブリッジ・アナリティカによって8,700万人のユーザーのデータが採取されていたことが明らかになり、フェイスブックの評判が悪化しました 。3このデータはその後、政治キャンペーンに利用され、有権者への戦略に影響を与えました。有権者の情報にアクセスできたことで、ドナルド・トランプ氏の2016年の大統領選での勝利をはじめ、さまざまな政治論争をサポートしたと考えられています 。4

まとめ:マーケターへの影響とは?

一般的には、将来的にフェイスブック広告はかつてほどの効果を発揮しなくなる可能性が考えられます。フェイスブックはインスタグラムを所有しているので、これは画像共有プラットフォームにも当てはまります。ユーザーがどのようにインターネットを閲覧し、何をきっかけにクリックしたり、購入したりするのかという情報がなければフェイスブック広告のアルゴリズムの精度が下がるかもしれません。

しかし、ソーシャルメディアサイトでの広告がなくなったわけではありません。一部の人々は依然として追跡されることに同意しており、その情報は収集されます。これは、ウィンドウをよく読まずにとりあえずオプトインしてしまう人も同様です。さらに、iPhone上のすべての情報を保持することで、アップルは個人データに最もアクセスできるようになります。この情報を利用して、自社のショッピングプラットフォームでより効果的な広告を出すことも考えられます。

実際、ATTの説明では、次のように明言されています。「アプリ開発者が、アプリ内でターゲット広告や広告測定の目的で情報を利用したとしても、個々のデバイス上でその行為が完結していれば規約違反にならず、デバイスからアプリ開発会社や第三者に個人を特定できる情報を送らなければトラッキングとはみなされません。

画像:プライバシー設定の「トラッキング」タブにある「詳細情報」の項目より

今後、マーケティング担当者にとっては、ターゲット広告をどこにどのように掲載するかを計画する際に、この変更を念頭に置くことが重要です。フェイスブックのターゲティング広告の強固な精度が今、危うくなっているのです。しかし、「精度が高い」から「精度が低い」への変化は、一夜にして、あるいはすぐに起こるものではないでしょう。マーケターは、フェイスブックやインスタグラムの広告をすぐに引き上げるのではなく、今後数年間のインプレッション数やクリック数に目を配ることが必要になります。もし反応が一貫して落ち込んでいるようであれば、それはフェイスブックやインスタグラムのターゲット広告がかつてのようには機能していないという兆候かもしれません。

しかし、それまでの間は、フェイスブックとインスタグラムがターゲット広告を出すのに最適なタッチポイントであることは、すでに収集された長年のデータの成果で、変わりはありません。というわけで、やはりここしばらくはフェイスブックやインスタグラムの広告を検討する必要がありそうです。

                                                         

参照元:

[1] https://www.forbes.com/sites/kateoflahertyuk/2021/04/27/apples-issues-stunning-new-blow-to-facebook-with-ios-145-privacy-move/?sh=4ce5eb371c5e

[2] https://www.forbes.com/sites/kateoflahertyuk/2021/04/24/ios-145-how-this-outstanding-new-feature-will-change-your-iphone-forever/?sh=22561ce711bf

[3] https://www.cnet.com/news/facebook-says-iphone-users-will-start-seeing-new-privacy-prompt-today/

[4] https://en.wikipedia.org/wiki/Facebook%E2%80%93Cambridge_Analytica_data_scandal

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