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アメリカを語る上で避けて通れない「インクルージョン」。それは決して人種だけの話ではありません。年齢、ジェンダー、宗教、障がい、体型など、数え切れないほど多様な生き方を持つ人々を受け入れ、考慮した上でビジネス活動することが各業界で求められています。米国の美容業界でも、このインクルージョンをミッションに掲げるブランドが熱い支持を集めています。
Youth to the People (ユース・トゥ・ザ・ピープル)はエステティシャンの祖母を持つ従兄弟二人によって2015年に立ち上がったクリーンビューティーブランドです。ケールやほうれん草などのスーパーフードを成分に取り入れた化粧品は「肌のためのスムージー」と称されています。
そんなYouth to the Peopleの始まりはインスタグラムでした。地道なコンテンツ発信とインフルエンサーとの関係構築を積み上げ、「フォロワー6,000人に到達したところで、インスタグラムのDMを通して、美容専門店セフォラから直接声がかかった」1と語る創設者の一人ジョー・クロイスさん。今ではセフォラのベストセラーに入るほど、人気ブランドです。
注目すべきはこのブランドのタグライン、Skincare for all「すべての人のためのスキンケア」。一見、特徴がないブランドとも捉えかねないタグラインです。競合が多い化粧品市場で差別化を図るために、多くのブランドは、敏感肌の人のためや、年齢肌の女性のため、男性向けなどと、「特定の誰かのためのスキンケア」を謳います。そんな中、「すべての人のため」と打ち出すYouth to the Peopleは「インクルージョン」をブランドの根幹に置いているのです。
その姿勢は2020年に展開されたキャンペーンAll skin is normal「すべての肌は普通である」からも伝わります。このキャンペーンでは多種多様な5人のアンバサダーに光があてられました。ネイティブアメリカンアクティビストの男性、プラスサイズモデルのアジア系アメリカ人女性、60代になってモデルを始めた白人女性、尋常性白斑という、色素が失われ白い斑点ができる皮膚病を持つ男性など。彼ら、彼女たちの人生や、価値観がインタビューにてフィーチャーされました。外見や歩んできた人生は違えど、肌は皆同じであると訴え、Youth to the Peopleはすべての人のためにつくられていることを改めて宣言しました。
また、世界中で大きなムーブメントとなっている人種差別抗議運動Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)に対する積極的な支援も行っています。その活動内容は、黒人コミュニティー支援に向けた寄付に限らず、一般消費者が起こせる具体的なアクションを、SNSを通して提示しています。たとえば、抗議団体に関する情報発信、人種差別に関わる書籍やドキュメンタリーの紹介、そして黒人が経営する美容やウェルネスブランドの紹介まで幅広い発信活動を続けています。2
インクルージョンは決してトレンドではなく、アメリカでビジネスをしていく上で、今後すべてのブランドが真剣に向き合わなければならないことです。良質な商品やサービスがコモディティ化しているこの時代において、消費者にとって、ブランドの信念がますます重要になっています。
Ys and Partnersではアメリカと日本の両国で、ブランド戦略構築をはじめとする、統合的なマーケティングのご支援を行なっております。ぜひ、お気軽にご相談ください。
Victoria’s Secretの事例からは時代にあったブランディングの重要性を感じられます。
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