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TikTokの親会社のByteDance(バイトダンス)社が運営する新しいソーシャルアプリ「Leomon8(レモンエイト)」をご存知でしょうか。Lemon8は、Pinterest、Instagram、TikTokの良いところを組み合わせて、とても身近に感じられる全く新しいソーシャルメディア体験を提供しており、アメリカではApple App StoreとGoogle Play Storeでここ数週間、人気が急上昇しているのです。今回は、Lemon8とは何か、なぜ今トレンドになっているのか、そして今後アメリカのソーシャルメディアマーケティング戦略に加えることを検討すべきなのかについて解説します。
新SNS「Lemon8」のダウンロードがアメリカで急上昇中
Lemon8は、2020年にローンチされたソーシャルメディア・アプリです。アジアのいくつかの国で成功を収めたものの、最近までアメリカ国内で注目されることはほとんどありませんでした。現在、このアプリの最大の市場は日本で、アプリの総ダウンロード数の38%を占めています[1]。ところがここにきて、アメリカのApp Storeでダウンロードされたアプリのトップ10に躍り出たのです。
今、アメリカでは良くも悪くもTikTokが話題になっています。(参照:TikTokに最新機能が追加!TikTok Seriesで何が変わる?)そしてそのTikTokを運営すバイトダンス社のLemon8の人気急上昇は、ちょうどこのアメリカ政府がTikTokを禁止するかどうかを議論しているタイミングで起きているのです。
Lemon8(レモンエイト)はなぜ人気が出たのか?
まず、理由として考えられることとして、TikTokerからの口コミが挙げられます。バイトダンス社はApp StoreでもGoogle Playでも有料検索を利用するのではなく、人気のTikTokクリエイターにお金を払ってLemon8を宣伝・利用してもらっているのです。現在、#Lemon8 はTikTokで20億回以上再生されています[2]。
また、ビューティー、トラベル、フィットネスなど、ライフスタイルの写真や動画を発信できる、ライフスタイルメディアとしての性質を併せ持つことから、20代〜30代の女性を中心に大きな人気を集めているのが特徴です。Lemon8という名称は「Lemonade(レモネード)」に由来しており、爽やかなレモネードをイメージした新鮮な価値観を届けるアプリをコンセプトとしています。
Instagram、Pinterest、TikTokの優れた機能を組み合わせて、非常に美的感覚に優れた1つのフィードにまとめています。投稿のトップページはPinterestのようで、投稿スタイルはInstagramを彷彿とさせます。Lemon8のTrendingページは、TikTokとほぼ同じで、単発のトレンド動画やコンテンツではなく、トレンドのハッシュタグやトピックを掲載しています。
ただ、TikTokやInstagram Reelsと比べると編集オプションが多くないため、動画の人気はあまりなさそうです。
Lemon8が他のSNSと違うところ
Lemon8はまだ広告配信には対応していないため、SNSマーケティングで活用するとすれば、公式アカウントを開設して他媒体に誘導する使い方が中心となりそうです。現在のところ、Lemon8と他の人気SNSアプリとの間には、いくつかの大きな違いがあります。
まず、Instagram StoriesやSnapchatのように短時間で消えてしまうコンテンツはないようです。Lemon8は明らかに、ユーザーに永続的なコンテンツに集中してもらいたいと考えている様子がうかがえます。
第二に、Lemon8は、写真にテキストを追加する場合、カスタマイズ可能なオプションがたくさんあります。画像を調整するフィルターもありますが、テキストを素早くアーティスティックに追加できるという機能は、完全にユニークなものです。
第三に、キャプションにテキストリンクを挿入できる点があります。各投稿に長いキャプションや説明文を書くことをユーザーに推奨しているようです。また、InstagramではキャプションにURLを挿入しても、ハイパーリンクを設定できずタップしてもリンク先には遷移できませんでしたが、URLを貼り付けることでタップして遷移できるリンクを設定できるほか、任意のテキストに対してURLを設定できるという特徴を持ちます。
そして、Lemon8の大きな魅力は、アプリ内で直接Pinterestスタイルの写真コンテンツを簡単にカスタマイズして作成できることだと思います。グラフィックデザインやPhotoshopの使い方を学ぶ時間やお金がない人でも、数分でPinterestのお気に入りの投稿スタイルを再現できるようになるのです。
Lemon8がアメリカで人気SNSアプリになる可能性
2023年4月現在、Lemon8はApp Storeのアプリランキングでトップ10からトップ100の上位から中位に落ちています。
実はLemon8は、利用やダウンロードが可能ですが、今のところアメリカでは正式なローンチではありません。ただし、今後、より多くのコンテンツクリエイターがこのプラットフォームに参加し、広告や場合によっては有料検索を推進する計画があります。
まだ完全にローンチしていないため、例えばダークモードのようないくつかの基本的な機能が、このアプリにはまだ欠けています。これは、今後数ヶ月の間にアプリをより普及させるためのプッシュとして、より機能の多いアップデートが行われるかもしれないことを示すもう一つのサインかもしれません。例えばLemon8がアプリ内で作成した投稿コンテンツを他のソーシャルメディアサイトで簡単に共有できるようなれば、人気が高まるでしょう。
いずれにせよByteDance社が5月から本格的な啓発キャンペーンを実施すると発表しており、これから再び人気が出るか注目が集まっています。
なぜ今、バイトダンス社はアメリカでLemon8を推すのか?
Lemon8は、2020年3月から存在しています。ところが今になってバイトダンス社は、アメリカのSNSのメインストリーム市場にあがるために猛プッシュを行っているのです。
なぜ今なのでしょうか?
それはやはりアメリカ政府がTikTokを禁止しようとしているからだと思われます。
もちろん、TikTokを禁止することは、アメリカ憲法修正第1条(言論の自由の権利)に直接違反すると見なされる可能性があるため、法案が成立する可能性は低いことが予想されています。TikTokへのアクセスを制限することは、言論の自由を制限しているとみなされ、違憲となる可能性があるからです[3]。
TikTokはアメリカだけで1億5000万人以上のユーザーを抱えるプラットフォームです。もしアメリカのTikTok禁止令が通れば、広告収入の損失だけでも天文学的な金額でしょう。TikTok以外で人気アプリを運用することは、アメリカでお金を稼ぐ術を保護するための方法なのです。
まとめ:Lemon8のマーケティング的な価値
アメリカでプロモーションを考える企業が、ソーシャルメディアマーケティングの柱としてLemon8戦略に予算を割くことはまだ時期尚早といえます。
ただ、今から公式アカウントを作成して先行者利益を獲得することで、将来的に大きな集客効果を見込めるかもしれません。
また、このアプリをダウンロードして、ユーザーがどのような美意識に惹かれるのかを探ってみる価値はあるでしょう。少なくとも、PinterestやInstagramのコンテンツ戦略において、Lemon8のコンテンツは有益なインスピレーションとなるはずです。
アメリカのソーシャルメディアマーケティングについて
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