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65歳以上の人々の消費が米国で急速に伸びています。新型コロナウィルスのパンデミックにより従来通りの生活が難しくなり、医療関係者から外出を避けるよう推奨されていることから、多くの高齢者がインターネットを利用し、オンラインショッピンングにシフトしています。アメリカでマーケティング戦略を立案する際は、65歳以上の層のオンライン消費が増え続けていることを考慮し、いくつかのポイントを押さえる必要があることが、現地の市場調査から明らかになりました。
今まで、65歳以上の高齢者とインターネットの親和性を見つけることは難しいことでした。この年齢層のほとんどは、一般家庭にパソコンが普及し、インターネットに気軽にアクセスできるようになった頃には、すでに自分の生活習慣が確立されていたため、その後インターネットが進化した後の過去20年ほどにおいて、オンラインショッピングを習慣化することができませんでした。しかし、パンデミックの影響により、2020年からはより多くのシニア層がオンラインショッピングにシフトしてきています。
新型コロナウィルスへの感染リスクが最も高いのが高齢者であることを考えると、この動きは理にかなっており、オンラインショッピングへのシフトについての聞き取り調査では、16歳から24歳の層で新型コロナウィルスへの感染を心配していたのが40%であったのに対し、高齢者においては、56%が感染を心配していると答えました。[1]
2019年からの米国国勢調査データによると、65歳以上のアメリカ人の数は、過去10年間で1300万人以上増加しており、減速する兆しはありません。[2]この年齢層のEコマースへの移行は着実に進んでおり、今ではオンライン消費の割合がかなり増えてきています。2018年の時点でも既に、オンライン支出の56%が50歳以上の人々で占められていました[3]が、今日現在では、魅力的なEコマース・マーケティングのターゲットとして65歳以上の人々が注目されています。
高齢のインターネット利用者層をターゲットにしようとしているビジネスにみられる固有の課題の一つは、現行の若いターゲット層と、新たなシニアのターゲット層とのバランスをとることです。非常に多くの高齢者がオンラインにシフトする中、オンラインに親しんできた若い世代に向けて発信していたコンテンツや広告は果たして効果的なのかということです。
ここでは、高齢者向けの市場に進出する際の、特に念頭に置いておくべき3つのポイントについて紹介します。
1. 視認性を上げる
当たり前のことかもしれませんが、高齢者は、通常オンライン市場でターゲットとされる若い世代と視認力が全く異なります。高齢者用に、明るい色と読みやすいフォントを採用する必要があります。テキストは短く、読みやすく、年配の方の目に触れやすい場所に配置するようにしましょう。2019年現在、シニア世代に最も人気のあるソーシャルメディアプラットフォームは、Facebook、YouTube、Pinterestの順となっています。[4]
2. シンプルさを保つ
年齢を重ねるごとに、自立生活に必要な活動能力がとても重要になってきます[5]。若い頃に好きだった運転や長時間の作業、あるいは単純な作業でさえ、徐々に難しくなってくるため、シニア層に向けてマーケティング戦略を設計する際には、製品を注文するまでのプロセス(およびその使用方法や組み立て)をできるだけシンプルにしましょう。複雑すぎると、シニア層はイライラし、製品を試すことなく、自身が慣れ親しんでいるブランド、製品、買物パターンに戻ってしまうかもしれません。
3. シニアは可処分所得が多い
ワシントン・ポスト紙によると、ベビーブーマー(1946年から1964年生まれの層)は今でもアメリカの富の70%を支配しており[6]、2018年には、50歳以上の人々が米国での支出の56%を占めていることがわかっています[7]。
彼らはまた、パンデミック禍では、ミレニアル世代やZ世代と比較した場合、必需品以外のものに支出する可能性が高いことが証明されています。これは、この人口層が、若い人たちが直面するような失業、飢餓、ホームレスのようなパンデミックの影響を受ける可能性が低いということを意味します。一般的に、2020年の1月から10月までの間に、65歳以上の人は平均で1500ドル以上をオンラインで使っており、これは前年比で50%近くの増加となります。
高齢者のオンラインショッピングが増えているだけでなく、冒険心を持ったお金の使い方をする可能性も高まっているため、予算が厳しい若い世代向けに自社製品やブランドを必要必需品としてポジショニングするのではなく、その商品の特別さ、ユニークさを年配の世代向けに発信し、惹きつけましょう。
まとめ
インターネットがますます普及する中、長年にわたり、高齢者はインターネットの使用についてしばしば冗談の種にされてきました。タイピングの遅さからメール送信の基本的操作を理解していないことまで、多くの若者は、年配の人々はむしろインターネットを絶対に避けたいと思っているであろう、という固定観念を持ってきました。しかし、新型コロナウィルスの予測不可能な事態により、否が応でもEコマースを利用する必要が出てきた現在、高齢者の多くはオンラインに移行しています。この傾向は、EC事業者にとっては耳寄りな話です。金銭的に余裕があり、購買意欲があるベビーブーマーをもはや無視することはできないと言えるでしょう。
参照元:
[1] https://www.essentialretail.com/news/elderly-consumers-drive-ecommerce/
[2] https://www.census.gov/newsroom/press-releases/2020/65-older-population-grows.html
[5] https://vantageaging.org/blog/independence-is-important-for-seniors/
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