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近年、アメリカの飲食業界のトレンドでは、おまかせ(OMAKASE)」スタイルのレストランが人気を集めています。これは、シェフの腕にまかせて、その日に仕入れた新鮮な食材を使った料理を提供するスタイルです。この特別感のある体験は、アメリカ人にどうして好まれているのでしょうか。市場動向を知ることは、海外進出したい飲食店オーナーやアメリカ人観光客を招き入れたい日本のお店にとって、大きなヒントになるかもしれません。
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アメリカの飲食業界で「おまかせ(OMAKASE)」が流行したのはいつから?
そもそもアメリカ人はこだわりが強く、特にレストランで食事をするときも例外ではありません。オリジナルレシピがどんな料理だったかわからなくなるくらい、自分好みにカスタマイズをする人も大勢います。しかしここ数年、おまかせコースやメニューを提供するレストランが人気を集めています。特に高級寿司店の間でブームとなっており、日本人経営者や日本人の寿司職人がいなくても、おまかせ(OMAKASE)スタイルにするお店がどんどん一般化してきているのです。
参考:(Google Trendsより)米国における過去5年間の「omakase」の検索数の推移。
おまかせ(OMAKASE)スタイルの高級寿司店ブームは2020年代に入ってからより拍車がかかりました。現在、Googleで「omakase」を検索すると、右肩上がりで伸びているのがわかります。特にニューヨーク、マイアミ、サンフランシスコ、ワシントンDC、ハワイ、その他多くのアメリカの主要都市で検索されています。
広がる「おまかせ(OMAKASE)」食文化
高級かどうかに限らず一般的なレストランでは、“シェフズスペシャル”のようなシェフ自らが作ったものを注文できるオプションがあることは珍しくありません。ただ、これらの意味合いは、メニューの中で最もメインとなる、もしくは最上位のオプションであり、シェフのおまかせというよりも、メニューとして用意されたスペシャルな料理といったものです。それに対して、おまかせ(OMAKASE)はまだ新しい概念です。アメリカ人の大半はこの言葉や概念を知らず、ともすれば正しく発音することもできないでしょう。
アメリカでは主に寿司屋でこのスタイルを取り入れているところがほとんどですが、最近ではヴィーガンとおまかせ(OMAKASE)スタイルを取り入れたレストラン「Omakaseed」がニューヨークにオープンし、話題になりました。ここではミシュランの星付きシェフ、ロベルト・ロメロが店長を務め、日本料理からインスピレーションを受けたヴィーガン料理を提供しています[1]。
他にも、「omakase」という言葉から連想されるフードに、アメリカでも人気が高い「Oishii」ブランドのイチゴがあります。“Omakase Berry”と称したこのイチゴは、最高の栽培方法と品質へのこだわりを組み合わせて、最もおいしいベリーだけを確実に届ける、がコンセプトです。1箱20ドルで販売される高級品ですが、これまで何度もTikTokで拡散されています[2]。
基本的にはカスタマイズするのがアメリカ人
このように、おまかせ(OMAKASE)スタイルは人気もバリエーションも増えていますが、まだまだアメリカ人にとって一般的な概念とは言い難いものです。先にも述べたように、アメリカ人はこだわりが強く、注文した料理が気に入らなかったり、何かを変えたいと思ったりしたら、例外なく声を上げます。
その代表的な例が、スターバックスです。スターバックスは顧客の要望に応じてメニューにないドリンクを作るなど、すべての要望に忠実に応えることを誇りとしています。さまざまな仕様の商品が何千種類もあるのです。
このようなカスタマイズへの欲求は、アメリカの平均的な個人主義的価値観を反映しています[3]。また、アメリカにはさまざまな文化や宗教があり、食事制限も異なるため、自分の好みに合わせて注文をカスタマイズしやすいことは重要なことでもあります。
このような背景を考えると、食事のすべてをシェフに任せるという発想がなかったアメリカで、おまかせ(OMAKASE)が受け入れられるという現象が起きているのが不思議に感じます。
成功の鍵はそれが「特別な体験」かどうか。
アメリカ人からカスタマイズするチャンスを奪うことは大きなクレームを招きかねない中、食事の全てをシェフに任せるという発想が評価され始めているのはなぜでしょうか。
それは「特別感があるかどうか」が関わっています。たとえ自分好みに料理をカスタマイズできなくても、そもそもシェフが自分の好みに合わせて特別な料理を作っているということが感じられれば、それはとても貴重で特別なものに変わります。カスタマイズが盛んな文化を持つアメリカにおいて、顧客の満足を考えて完全にパーソナライズ化されたおまかせ(OMAKASE)スタイルは、期待が大きく、支持されているのです。
まとめ:訪日観光客の心をつかむ鍵!
“自分にとって何がベストかは分かっている”というのが、多くのアメリカ人の中にある考えですが、それでもおまかせ(OMAKASE)のようなスタイルがファンを増やしているというのは、興味深い現象です。
つまり本当のインサイトは、自分でカスタマイズする手間をかけずに、自分の好みに合わせてくれることを望んでいるということだからです。
アメリカの消費者に、顧客満足を徹底的に考え抜いた特別な体験を提供できるブランドやサービスだと感じてもらえることこそが、心をつかむ重要な鍵なのでしょう。
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