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久々にロサンゼルスに向かった。OCオフィスから車で1時間ほど下ったところにサンタモニカがあり、そこで友人のレストランオーナーと打ち合わせをした。案内されたアウトドアシーティングは、店頭にある道端のパーキングロットをつぶすかたちでつくられていた。その臨時スペースは、シティが無料で貸してくれているらしい。なんとも粋な計らいである。加えて、隣のお店は物販だから席がいらないのだと、そこの軒先まで余分に使わせてもらえている。寛容な隣人にも恵まれ、ラッキーである。
座席のすぐ横を車がエンジンをふかして通り過ぎてゆく。が、特に気にならない。道ゆく常連客が懐かしそうにオーナーに声をかけ、話が時折中断する。しかし、むしろこの雑然とした状況は、今っぽさすら感じてうれしいくらいだ。皆が喜んでいる。お茶を頼んだら、紙パックに入った水と包装された緑茶のパウダー、そしてカップが出てきた。これらもコロナ禍に生まれたクリーンなスタイルなんだな。
サンタモニカまでの道中には、アボットケニーというホットなショッピングストリートがあり、夏の陽射しとあいまって街がきらきらと輝いてみえた。しばらく冬眠をしていた熊が寝過ごしてしまい、夏の訪れと共に起きてくる、そんな気分なのかも知れない。ズーム越しではない、リアルに人と会う喜びを感じる。ライブ感といえば良いのだろうか。
アメリカで過ごしたコロナ禍には、メリハリがあった。特に今年1月にあった大統領選後は、マスク着用も義務付けられ、たまに外出するのも、コンフォタブルな状態になった。マスクを付けるのがルール化されれば、多くの人々は海岸を散歩する時でさえマスクを着けた。坂道を登る息がマスクのなかでまわって、ぜーぜー言った。市にも街にも店にもクリアなルールがあって、皆がそれに従って行動をしているようにみえた。
レストラン予約サイトでも、人々はその店がいかにクリーンか、いかにマスクルールを守っているかを評価した。私たちも、その店のマスクポリシーや、アウトドア席があるか、もしくはテイクアウトOKかをみて予約を判断した。つまり、レストランオーナーは、インドアシーティングができないそんなビジネス的に大変な時でさえ、臨機応変さや真摯さを客に要求された試練の時だったのだと言えよう。
デジタル化もそのなかで起きた。若いオーナーの店はすぐにデジタル化に着手し、そのスピード感はまさにそれがレストランの生存戦略だと伝えているようにさえ思えた。それに成功した店は、コロナ前のように長蛇の列が戻り、パーキングロットに広がったアウトドア席も埋まっている。
ポストコロナに向け、良いスタートを切ったレストランオーナーの友人たちに感謝したい。彼らは頑なにルールを守り、我慢に我慢を重ね、それでも攻めの姿勢を忘れず、その結果、大事な自分のミッションや店を守り抜いた。同じくアメリカで商売をしている私たちに勇気を与えてくれたのである。
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