ホーム ブログトップ 【ブランド再構築】ウォルマートはいかにして「低所得者向け店舗」のイメージを払拭したのか?

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米国マーケティングトレンド研究会 2022.03.29

【ブランド再構築】ウォルマートはいかにして「低所得者向け店舗」のイメージを払拭したのか?

ウォルマートは米国でとても人気のある小売店の一つです。しかしかつては、今ほど人気があったわけではありません。2000年代半ば、ウォルマートの評判は悪く、ブランド再構築を余儀なくされました。このブランド再構築の結果、ウォルマートブランドは大きな成長を遂げ、最終的にフォーチュン500の首位の座を勝ち取りました。このリブランディングが成功した理由は、「低価格」という設立当初からのポリシーに新たな視点を加えたことだったのです。

かつてはアメリカ中部の小さな町にしかなかったウォルマートは、創業60年で、フォーチュン500社の中で売上高No. 1の企業に成長しました[1]。ウォルマートは、何度もブランド再構築を行い、トップの座を維持してきましたが、中でも最も成功したのが2008年でした。ウォルマートのサクセスストーリーと、そこにどんな学びがあるのか、見ていきましょう。

ウォルマートの歴史

ウォルマートは、低価格であることで知られるアメリカで人気の小売店です。1962年にサム・ウォルトンがアーカンソー州で創業しました。ウォルマート(Walmart)という名前の由来は、創業者であるウォルトン(Walton)の店(mart)です。創業当初からのウォルトンの狙いは、市場価格よりも安く商品を販売する店をつくることでした。市場価格より5%安い値段で商品を売れば、販売量が増えて利益が出るという戦略でした。ターゲットは、人口5,000人以下の小さな町に住む人でした。

当時のウォルマートは1962年のオープン以来、各店舗でそれぞれ違ったロゴを使っていましたが、1981年に全店舗共通の「Wal」と「Mart」の間に星が入ったロゴを展開し始めました。同社は、当時はまだ新しかった会員制量販店「サムズクラブ」をオープンし、商品を安く提供するというサム・ウォルトンの戦略に沿った店舗展開を実施していました。

「強み」が「弱み」に変わってしまった2000年代

ウォルマートは長年にわたり、「毎日が安い」を謳い文句にしてきました。しかし、残念なことに、2000年代半ばになると、ウォルマートに対するイメージは悪化してしまったのです。

消費者はウォルマートの低価格に魅力を感じるのではなく、ウォルマートのような安い店でしか買い物ができない低所得者だけが行く場所だ、というイメージがついてしまったのです。低所得者だと思われるのが嫌で、消費者はウォルマートに行きたいと思わなくなってしまいました。ウォルマートは2009年にユーザーが画像を投稿できる「ウォルマートの人々」というサイトを立ち上げましたが、そこに登場する買い物客はいわゆるアメリカの低所得者のイメージそのものでした[2]。

2000年代、ウォルマートはもう一つ別の問題に直面していました。それは、労働環境にまつわる悪評。ウォルマートは多くの店舗スタッフに低賃金と過重労働を強いていると暴露する記事がたくさん出回ったのです[3]。

このような悪いイメージを払拭するため、ウォルマートはリブランディングに乗り出しました。

ウォルマートのブランド再構築戦略:「幸せのための低価格」

ウォルマートがまず行ったのは、ブランドメッセージの見直しです。長い間、ウォルマートは、「いつも低価格」というブランドメッセージを掲げていましたが、2007年にそれを「より良い生活のために、節約をしよう」へ変更しました。

ウォルマートは、低価格であるという点ではなく、お金を節約することを通じてお客様がより幸せな生活を送れるように応援する、ということをメッセージの根幹に据えました。また、価格が安いからではなく、商品が良いからこそ、お客様の生活がより良くなるのだから、購入することに喜びを感じられるような店づくりを行いました。2008年にはロゴデザインも、6本の黄色い線が火花のような形をした、よりモダンで洗練されたものへよみがえりました[4]。

そこからウォルマートのイメージは徐々に良くなり、2010年には上場企業の中で最大の売上を誇る企業となりました[5] 。

リブランディングに必要な着眼点

創業者のサム・ウォルトンは、1960年代の設立以来ずっと、低価格の商品を提供し、顧客が節約のメリットを享受できるようにしたいと考えていました。

ブランドメッセージを「いつも低価格」から「より良い生活のために、節約をしよう」に変更することで、かねてからのメッセージを効果的に伝えることに成功しました。

店舗の見た目やロゴを変更する中でも、ウォルマートは設立当初からのポリシーを貫き通していたのです。

リブランディングを検討する際には、初心を忘れないことが大切です。これまでのポリシーを大きく変えてしまうと、消費者に不誠実な印象を与えてしまう可能性があります。そのため、これまでとは違う角度から、自社のポリシーを見直すことが大切です。

そして、実際顧客がブランドに何を求めているかを理解することも、リブランディングにおいて、重要な第一歩となります。

Ys and Partnersはアメリカと日本の両国で、消費者調査に基づくブランド戦略構築を得意とする統合型マーケティングエージェンシーです。ぜひ、お気軽にご相談ください。

失敗例から得られるヒントもあります。
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参照元

  1. https://fortune.com/company/walmart/fortune500/
  2. https://en.wikipedia.org/wiki/People_of_Walmart
  3. https://genprogress.org/ten-things-walmart-doesnt-want-you-to-know/
  4. https://www.designrush.com/best-designs/logo/walmart
  5. https://www.businessinsider.com/10-most-successful-rebranding-campaigns-2011-2#walmart-was-considered-cheap-now-its-the-first-option-for-many-americans-7

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