ブログ
新型コロナウィルスによるパンデミックにより、より多くの人が健康を重視するようになったことで、フィットネス機器の売上が急増しました。一方アスリートたちは、通常利用していた運動場を失いました。このような状況から、フィットネスアプリ「Strava(ストラバ)」は、そういった人々のコミュニティとのつながりをサポートを強化。フィットネスに真剣に取り組むユーザーのための機能を重視した結果、ストラバは、8,600万人以上のユーザーを抱える、世界最大級のエクササイズコミュニティとなりました。
パンデミックの間、自宅で過ごす時間が増えたことがきっかけとなり、多くの人が自宅で運動を始めました。ジムなどの公共の施設が閉鎖されていたため、家庭用運動器具の販売が大幅に増加し、また、多くの人がフィットネスアプリをダウンロードし、自分の成長を記録するようになったのです。今回のパンデミックで、プロのアスリートやコアなエクササイズ愛好家から最も人気を集めたフィットネスアプリの一つが「ストラバ」です。
この記事を書いている時点(2021年7月時点)で、世界中に8,600万人のユーザーがいるストラバのユーザーベースは、世界最大のスポーツコミュニティの1つと考えられています。[1]
サイクリングやランニングなどのフィットネスを中心としたソーシャルメディアアプリ、「ストラバ」
2009年にリリースされたストラバは、運動する人の地理的な動きを追跡するフィットネスアプリです。サイクリングやランニングなど、距離のあるスポーツを楽しむ人々に人気があります。エクササイズバイクやトレッドミルなど、静止した状態で運動する人に便利な新機能もありますが、アプリの主なユーザー層は屋外で運動しています。
他のフィットネストラッキングアプリとストラバの違いとして、運動に関する多くの詳細情報や統計とともに本人のワークアウトや進み具合を追跡できることが挙げられます。ストラバは長年にわたり、統計やデータのためのプレミアムサブスクリプションサービスを提供し、基本的にあらゆるレベルのアスリートに対応してきました。無料ユーザーが楽しめる機能もたくさんありますが、最近は、本格的なアスリートに特別機能を提供することで、コミュニティの会員数を大幅に伸ばしています。
ストラバは、2020年時点で、「毎月200万人の新規ユーザーを獲得し、195カ国にユーザーがいる」と報告しています。
フィットネスのソーシャル化。リーダーボードとローカルレジェンド機能が競争心とコミュニティを刺激する
ストラバのユーザーにとっての大きな特長は、他のユーザーのパフォーマンスレポートを見たり、交流したりできることです。運動を終えたユーザーは、自分のパフォーマンスを同じ地域の他のアスリートやお気に入りのプロと比較することができるのです。また、ユーザーが登録できるチャレンジカップでは、仮想トロフィーを獲得して、プロフィールのトロフィーケースに入れることができます。
もう一つの機能(プレミアムユーザーのみ)は、「Segments(セグメント)」です。ストラバでは、ユーザーは事前にルートを計画し、提案されたルートを自分の好みに合わせてカスタマイズすることができます。このセグメント機能では、ユーザーは他のユーザーがデザインしたルートにアクセスしたり、あるセグメントでの自分のパフォーマンスを他の参加者と比較することができます。セグメントルートの閲覧・利用は無料版でも可能ですが、スコアボードにアクセスするには、プレミアム版を購入する必要があります。[2]
2020年のパンデミック時にリリースされた、もう一つの大きなソーシャル機能が「Local Legends(ローカルレジェンド)」機能です。ローカルレジェンドはサイクリングを対象に開始され、与えられた90日の期間中1人に「ローカルレジェンド賞」が授与されます。この期間中、特定のセグメントを最も多くの回数こなした人が「ローカルレジェンド」となります。[3]中には90日間で86回も走ったという記録を持つローカルレジェンドもいて、こういった記録を破るのは至難の業です。この機能により、地元のアスリート仲間から刺激を受けるだけでなく、コミュニティとのつながりも感じられるようになるのでです。
さらにストラバでは、アプリに参加しているプロアスリートのルートや統計データを見ることができます。これによりトレーニング中にトップ選手と自分を比較することができ、自分が取り組むスポーツ種目のトップに立つためにどれだけのことをしなければならないかを、正確に知ることができます。[4]
フィットネスのトレンドの人気が高まり続ける中、人々をつなぐことが重要になってくる
ストラバの特徴は、サイクリングやランニングなどの孤独なスポーツをコミュニティスポーツに変えたことです。運動をする人の多くは、運動中に仲間を求めているわけではなく、自分の成果を共有したり、他の人を祝福したり、公に競い合ったりすることで、自分のモチベーションを高めたいと考えています。インスタグラムなどのソーシャルプラットフォームでは、「#Fitness」が世界のトップハッシュタグの一つであり続けていることからも、人々は、自分のフィットネスの目標や成果を共有したいと思っていることが分かります。ストラバは、同じ運動の目標を持つ人々のコミュニティから、直接フィードバックを得られる場所を提供しているのです。[5]
最も重要なことは、ストラバが熱心なアスリートを念頭に置いてアプリを開発し続けていることです。2020年にはサブスクリプションサービスを変更し、セグメントスコアボード(以前は無料で提供されていたもの)、パフォーマンスのより高度な分析、より多くのルート、その他の機能を追加しました。これらのサービスを有料化することで、熱心なアスリートだけが有料?アプリに関わることを保証できるようになりました。フィットネスに対して熱心な人々をターゲットにし、競技を通じて彼らを互いに結びつけることで、ストラバはこれまで以上に多くの認知度・売上・ユーザー数を獲得することになりました。[6]
ストラバの成功から学ぶべき最も重要な教訓は、サイクリングやランニングのような孤独な活動であっても、コミュニティは構築できるということです。新規のカジュアルなメンバーを集めるより「コミュニティの最も熱心なメンバーがコミュニティを存続させる」ということを理解し、熱心な層の集客に力を注いだ方が良いのかもしれません。
参照元:
[1] https://www.prnewswire.com/news-releases/ストラバ-appoints-rise-ceo-to-board-of-directors-301321714.html
[2] https://mashable.com/review/strava-app-review
[3] https://www.cyclingnews.com/news/how-local-legends-are-made-on-strava/
[4] https://www.news24.com/ride24/skillsandtips/how-strava-changed-cycling-20201201
[5] https://influencermarketinghub.com/most-popular-instagram-hashtags/
プロジェクトのご相談やご依頼につきましては、以下のフォームに必須項目をご入力ください。
24時間以内に回答いたします。