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米国マーケティングトレンド研究会 2017.07.27

ラーメンの米国進出成功から学ぶ、米国で成功するブランドづくりとは?

近年アメリカではラーメンブームの波が、都市部を中心に押し寄せています。
米国における店舗数は300以上にのぼり、未だ店舗数拡大の勢いは止まりません。Ys and Partnersの米国オフィスが位置する南カリフォルニアでもそのブームは巻き起こっており、オフィスの半径10キロ以内に8店舗ものラーメン屋が乱立するほどです。オーナーは日本人だけでなく、地元のアメリカ人が経営している店も多く、客層も日系を含むアジア系のみならず、白人、黒人、ヒスパニック系などと、現地の様々な人種に親しまれています。
さらに、アメリカのレストランやショップのレビューサイト「Yelp」のキーワードトレンドでも、「Ramen」というキーワードは上昇傾向にあり、今ではレストランカテゴリーとしてよく使われる「Japanese」というキーワードを上回るまでに成長しました。食に対して意識の高い「Foodie」が多く集まるサンフランシスコでは、「Ramen」は「Sushi」というキーワードに迫る勢いで成長しているのも事実です。

貧乏食という価値の打破

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もともと一般のアメリカ人の中では「ラーメン」=「インスタントヌードル」という認識がありました。日清やマルちゃんなどの大手企業は1950年代にアメリカでインスタントヌードルの販売を開始。その安さや調理の速さからアメリカ国内で人気を得ました。
授業の合間やテスト前夜に簡単に作れるインスタント食として多くの学生に受け入られる一方で、通常の食事として低所得者層にも受け入れられて行きました。そのような経緯からラーメンは「貧乏食」として認知されるようになり、そのイメージは次第に定着して行くとになりました。
2006年以降、日本のラーメンショップが米国進出を本格化させましたが、この「貧乏食」としてのイメージを打ち壊すことが、本格的なラーメンを提供するレストラン側には大きな障壁となったのです。

従来型のメディアを使わずインフルエンサーマーケティング

ではラーメンがアメリカでどのようにして貧乏食からグルメフードとしての地位を築き上げていったのでしょうか。
多くのラーメンショップは、従来型のテレビCMやビルボード広告でのプロモーションを行いませんでした。当時米国のラーメンショップ市場は小さく、十分なマーケティング予算もないため、コストのかかるマスメディアは利用できないという背景がありました。
しかし、有効な集客施策がない限り、ビジネスを続けることはできません。予算がかからず、効果的なマーケティングはないか?
2006年と言えば、アメリカではブログが成熟し始めていました。個人規模であったブロガーが多くのファンを獲得したことで、その影響力を強めて行きました。また、個人のみならず企業規模でのブログが増え始めていた時期でもありました。

この新しいマーケティング手法に目を付けたラーメンショップは、若いフードブロガーと協働し、店やラーメンについてのブログ配信を始めました。
内容は、出汁、麺、トッピング、そしてラーメン屋のフィロソフィーなど、とにかくラーメンショップについて深く追求したものでした。今までの「貧乏食」としてのラーメンの価値を、「奥が深く職人気質のグルメフード」という価値に180度転換できるよう努力を始めた瞬間でもありました。
そして、その正反対の価値が、食に対しての意識が高いフードブロガーやそのフォロワー層、通称「Foodie」に突き刺さったのです。
実は、彼らが行った施策は、インフルエンサーマーケティングの走りでもありました。現在では多くの企業が行っている施策ですが、アメリカのラーメンショップはいち早くこのマーケティング手法を取り入れ、その結果、アメリカという新天地で新しいラーメン文化を作り上げることに成功したのです。

オンラインフードメディア媒体の後押し

ブロガーと協働する一方で、その発信元であるオンラインメディアの後押しを受けることもできたのも、ラーメンを世に知らしめる大きな要因となりました。
デジタル先進国であるアメリカにおいて、EaterSerious EatsZagatなどのオンラインフードメディアは、一般消費者に対し多大な影響力を持っています。彼らは食に関してのブログや動画などのコンテンツを数多く配信しており、フェイスブックなどのソーシャルメディアを通じ、食に関する最新トレンドを創出してきました。
特に彼らのソーシャルメディアは、約10万から100万人ものフォロワーを抱え、巨大なメディアハブとして機能しているのです。
近年では、Eaterがラーメンの麺生産工場を特集した動画コンテンツや話題のラーメンショップの記事を上げ、Serious Eatsがハロウィンに向けたハロウィンラーメンレシピ特集などラーメンの記事を数多く配信し、そのムーブメントは拡大し続けています。

ラーメンブームから学ぶユーザー主体のインバウンドマーケティング

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このアメリカにおけるラーメンブームは、決して自然発生したわけではありません。
若く志の高いラーメンショップのオーナーたちは、このデジタルの時代において、誰が文化を創出していくかをしっかりと見極めていました。
それは、フードチャネルのような専門テレビ番組でもハリウッドセレブでもありません。ブロガー、オンラインメディア、ソーシャルメディア、そしてFoodieと名乗る一般のユーザーたちが主体となって巻き起こしていったムーブメントでした。
まさにユーザー主体のインバウンドマーケティングが、アメリカにおいてラーメン文化を根付かせていったのです。
ラーメンに限らず、日本のブランドやサービスをアメリカで根づかせるためには、このユーザー主体のマーケティングの観点は非常に重要になってきます。まずはどのような人々がアンバサダーになってくれるのか、を深く考えるところから始めてみましょう。


アメリカでビジネスを成功させる
Ys and Partnersは、2002年から「日本のブランドを世界で有名にする」
というミッションをもち、日本から北米に進出する企業を、日米3拠点
から支援してきました。
また北米から日本を訪れる観光客の集客面について、鉄道関係、ホテル、
レストラン、ECショップにコンサルティングをを行なっています。
ブランド戦略構築をはじめ、消費者調査設計、ウエブ制作、広告制作、
ソーシャルメディア運用、ビデオコンテンツ制作まで、ワンストップで
サポートしています。


参考記事
Fast Company & Inc: How Japanese Marketing Secrets Sparked The American Ramen Revolution
Eater LA
Serious Eats
Zagat
ramen!ramen!ramen!
新横浜ラーメンミュージアム: ラーメンは国民食から世界食へ

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