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米国マーケティングトレンド研究会 2021.10.11

サプライチェーンの混乱とアメリカのホリデーショッピング。かつてないほど早期化しているのは本当か?

世界各地(および国内)で発生しているサプライチェーンの混乱が、アメリカのホリデーシーズンを脅かしています。Target(ターゲット)やAmazon(アマゾン)などの一部の小売業者は、早くも10月の第1週にブラックフライデーのようなお買い得商品を導入しています。他の企業や広告担当者は、逆に少ない広告予算で需要を抑えようとしています。

2021年ホリデーシーズンの予測は、早めの買い物が鍵を握る。

多くの専門家は、遅い時期に買い物をする人にとっては厳しいホリデーシーズンになると予測しています。パンデミックの期間中、サプライチェーンの問題で物流の遅れが生じていましたが、2021年半ばになってそれがさらに悪化しています。世界中で輸送用コンテナが不足しているだけでなく、アメリカのトラック運送業界では労働力が不足しています。コンテナが少ないということは、輸送価格(および製品価格)が上昇せざるを得ないということであり、商品を輸送するトラックが少ないということは、在庫が大幅に減少するということでもあります。[1]

このようなサプライチェーンの問題は、電子機器を含むあらゆる製品に影響を与えています。マイクロソフト社では、Xbox(エックスボックス)本体の製造に必要な部品の調達に問題が発生しています。ナイキは、新型コロナウィルスによる規制によりベトナムの工場が閉鎖されているため、供給不足に陥っています。[2]

多くの店舗では、出荷やサプライチェーンの遅れを懸念しています。このような状況から、今年は早めにホリデーショッピングを始めるようにメディアが消費者に向けて呼びかけており、早いところでは10月中旬からホリデープロモーションや値下げを開始しています。

ターゲット:2020年の「Deal Days」戦略を復活させる。

新型コロナウィルスの安全対策によってホリデーショッピングが制限された際、ターゲットのような小売業者は、数日または数週間に渡って買い物を分散させ、買い物客のトラフィックを減らすことができる「Deal Days」というプロモーションを行いました。

2021年、最初のDeal Daysプロモーションは10月10日から10月12日までとなっています。2020年とは異なり、これらのプロモーションは、オンラインだけでなく、ターゲットの全1900店舗で開催されます。

ホリデーシーズンに向けたその他の価格調整は、10月10日から12月24日まで行われる予定です。その他の商品については、購入後最大2週間のプライスマッチ(販売価格がもっと安い他店などと同額まで値引きすること)を実施します。

アマゾン:大型の特選タイムセールがこれまで以上に早く始まり、プライム会員の新機能も追加。

アマゾンでは毎日、「Daily Deals(特選タイムセール)」を提供しています。これは、毎日異なる商品を少しずつ値下げするものです。しかし、ホリデーシーズンになると、アマゾンは「Epic Daily Deals(大型の特選タイムセール)」をリリースします。Epic Daily Dealsでのお買い得商品には専用のランディングページがあり、ブラックフライデーの人気商品になること間違いなしの超人気商品が含まれています。2021年、アマゾンは10月4日(月)にEpic Daily Dealsを一足早く開始しました。[3]

アマゾンのホリデー戦略で最も注目すべきなのが、アマゾンプライム会員が相手の住所を知らなくてもギフトを送ることができる、新しいモバイルショッピング機能です。プライム会員が相手のEメールや電話番号を知っていれば、ギフトを送ることができるのです。これにより、相手の住所を直接聞くことなく、簡単にギフトを送ることができるようになります。この機能は、10月4日からプライム会員向けに提供されています。[4]

早めに買い物をしようという動きはあるが、誰もが簡単に買い物ができるわけではない。

Costco(コストコ)やWalmart(ウォルマート)のように、自社で輸送用コンテナを購入することで、海外でのサプライチェーンの問題を克服しようとしている企業もあります。

しかし、残念ながら、業界全体でホリデーシーズンショッピングを早めに始めることを呼びかけても、十分ではないかもしれません。おもちゃのような商品の需要は過去最高になっており、米国の小売指数は過去2年間で最も高くなっています。しかし、ほとんどの企業にとって、ホリデーシーズンが近づくにつれて増加する需要に対応することは不可能でしょう。

これでは、消費者が不満を抱くことになります。これに対抗するために、アマゾンやターゲットとは逆に、セールを増やすのではなく減らすという方法をとる小売業者も出てくると予想されます。多くの広告担当者は、すでにホリデーシーズンの広告予算を削減しており、満たせない需要を生み出さないようにしています。[5]

消費者が警告に耳を傾け、早めに買い物をするかどうかは、まだわかりません。サプライチェーンの問題でプレゼントを通常のように買うことはできませんが、2021年、誰もが素敵なホリデーシーズンを過ごすことができるよう願うばかりです。

 

 

参照元

  1. [1] https://www.washingtonpost.com/business/interactive/2021/supply-chain-issues/
  2. [2] https://www.goodmorningamerica.com/living/story/retailers-announce-early-holiday-deals-avoid-shopping-delays-80430253
  3. [3] https://www.tomsguide.com/deals/amazon-epic-daily-deals
  4. [4] https://www.aboutamazon.com/news/retail/amazons-new-mobile-shopping-feature-makes-gifting-convenient
  5. [5] https://adage.com/article/marketing-news-strategy/supply-chain-issues-threaten-ad-spending-comeback/2366671

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