デジタルマーケティング：アメリカではすでに実践されている、コンテクストマーケティングの重要性について

Context Marketing（コンテクストマーケティング）というマーケティング用語を聞いたことがありますか？ コンテクストマーケティングとは、消費者の背景や心理など（コンテクスト）を理解し、それに適切な商品やサービスを、適切なタイミングで提供するマーケティングのことです。最近、私が消費者として、このコンテクストマーケティングの素晴らしさを体験したのが、「Casetify」（ケースティファイ）からiPhoneケースを購入したときでした。

アメリカで成長し続けるテックアクセサリ－ブランド「Casetify」。

ケースティファイは、アメリカの若者に大人気のテックアクセサリーで、創業僅か9年目ながらも、世界で3番目に大きなテックアクセサリーブランドにまで成長しました。ケースティファイは、iPhoneケースなどの商品のカスタマイズが充実しており、ケースの色やタイプだけでなく、好きなデザインプリントと一緒に自分の名前なども入れられるのが特徴です。

私が体験したケースティファイのコンテクストマーケティング。

私自身も、ケースティファイのデザインに魅力を感じたひとりで、ついに最近、ケースティファイから新しいiPhoneケースを購入しました。一週間後に手元に届いたケースティファイからのパッケージを開けてみて私が一番感動したのが、実物のかわいいケースを見たあとではなく、ケースと一緒に入っていた一枚のメッセージカードを読んだあとでした。

そのメッセージカードにはこう書かれていました：

After a year unlike any other, we stick to what we know. And if there’s one thing we know, it’s protection with personality. More than ever, you need a case that’s tough enough to handle whatever life throws at you, and speaks to your personal style. Whether you’re baking your way through quarantine or binging TV – we’ve got just the case to match OOTD… Welcome to the CASETIFY community! Share your case (and your mirror selfies) with us @CASETIFY on social.

日本語訳：

今までの年とはなにもかも違った昨年、私たちは自分たちが出来ることにベストを尽しました。その一つは個々のパーソナリティを維持することです。今まで以上に、日々の困難からあなたを守れる「強さ」を持っているケース、そして、あなたのスタイルにあった特別なケースが必要になるでしょう。外出自粛中にお菓子を作ることに徹しているあなた、ドラマを徹夜で一気見しているあなた、私たちはそんなあなたの気分や服装にあったケースを提供します。ケースティファイのコミュニティーにようこそ！あなたのケース（そしてあなたのミラーセルフィ）をシェアしてくださいね。

以上のメッセージの特徴は、パンデミックの影響を受けている消費者の心境を理解したうえで、そんなお客様の心中に寄り添った言葉を入れていることです。ただ自分たちの商品の良さを一方的に書くのではなく、消費者がいま必要なものは何かを考え、それに共感し、自分たちの商品がどのようにして消費者のニーズに応えられるかを伝えているのです。

そして、このメッセージカードとiPhoneケースとともにパッケージに入っていたのは、携帯用のアルコール除菌ワイプでした。これもまさしく、いまの状況と消費者のニーズを理解しているブランドだからこそ出来る気遣いでしょう。このブランドの気遣いこそが、コンテクストマーケティングのありかたです。

コンテクストマーケティングの強みとは？

近年、ありあふれたブランドがあるなかで、今まで以上に消費者と良い関係性を築くことがブランドに求められています。消費者への理解を示し、適切な商品やコンテンツを適切なタイミングで提供することによって、ブランドと消費者の関係性、そしてブランドの信頼と価値がより高まるのです。

今回は、私が消費者として実際に体験したケースティファイのコンテクストマーケティングについて話しました。コンテクストマーケティングは、今後のブランドのデジタルマーケティングやコンテンツマーケティングを強化する、ひとつの要だと言えるでしょう。