ホーム ブログトップ 【ブランディング】不健康なイメージのアメリカ・ウォルマートの新技術は、健康志向を支援?スーパーのブランディングについて考える

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米国マーケティングトレンド研究会 2021.02.09

【ブランディング】不健康なイメージのアメリカ・ウォルマートの新技術は、健康志向を支援?スーパーのブランディングについて考える

ウォルマートは、同社のテクノロジーインキュベーション部門であるStore No.8を通じて新技術を立ち上げようとしています。おそらく、買い物客の処方箋データや購買行動がどれだけ健康的かに基づいて「フードスコア」を受け取ることができる、Kroger(クローガー:アメリカのスーパーマーケットチェーン)のサービスに似たもの目指しています。今、スーパーマーケットは、健康サービスをはじめることで、ブランドイメージの転換をはかろうとしています。

ウォルマートは、1962年にアーカンソー州で創業して以来、「アメリカ」の代名詞となっています。以来、世界最大級のハイパー食料品店チェーンに成長し、各国で異なる名前で運営されています。たとえば、2020年11月までウォルマートが西友合同会社の大株主だったことをご存知でしょうか?[1] 世界中の市場を制覇したウォルマートの次の目標は、パーソナルヘルスの世界を制覇することのようです。

Store No.8とはなにか?

ウォルマートのStore No.8は、テクノロジーインキュベーション会社として、買い物客の健康向上に関する技術に注目しています。Store No.8のウェブサイトには、同社のミッションステートメントとして次のような文章が掲げられています。「Store No. 8は、商取引の未来を変える可能性のある企業を育成します。私たちは、いま実現可能なことのさらに外側に目を向け、大きなアイデアを追求し、ウォルマートのコアビジネスから一歩踏み出すことを怖れません」。そして、彼らの目標は次のように述べられています。「コアビジネスを強化し、新たな事業の効率化を図り、長期的にお客様に素晴らしい体験を提供すること」。[2]

Store No. 8が取り組んでいる新しいプロジェクトでは、ウォルマートの買い物客が自分の健康目標を反映して買い物リストを作成するのを支援しています。これは、ウォルマートが提供する初めてのヘルスケアサービスではありません。これまでウォルマートは、顧客の健康上の悩みの緩和のために、クリニックや薬局に投資してきました。2019年現在、ウォルマートは米国最大の薬局の1つとなっています。[3]

別の大規模な食料品店チェーン、クローガーではすでに、同様のプロジェクトを実施しています。クローガーの買い物客が薬局の処方箋をクローガー・ロイヤリティカードで支払うと、彼らの医療情報がアカウントに登録されます。薬局に行くと、最近購入した食品がどれだけ健康に良いかを示す「フードスコア」と、健康アドバイスを受け取ることができます。

ウォルマートの最大の障害は、ウォルマートのブランドイメージ。

ウォルマートはアメリカの小さな町の定番店舗であり続けていますが、アメリカ経済においてのイメージは健全ではありません。

過去、ウォルマートはアメリカで大きな話題になったことがありますが、それはポジティブなものではありませんでした。従業員の不当解雇、給料未払い、経営不振による店舗の人員不足など、過去数十年間のウォルマートに関する批判はウィキペディアの複数の項目で確認することができます[4]。このような悪評により、多くのアメリカ人はウォルマートに対してネガティブなイメージを持っています。

また、いかにもウォルマートで買い物をしていそうな種類の人々を紹介する、”People of Walmart “と呼ばれるウェブサイトも存在しています。これはアメリカの最も貧しい層を見下すための非常に意地の悪いサイトですが、残念ながら、インターネット空間ではミームとしてかなり評判になっています。このサイトは2009年にスタートしたものの、2017年には写真を投稿できるアプリを立ち上げるなど、現在まで更新され続けています。[5]

近年、ウォルマートに関連したスキャンダルはあまり聞かれません。このStore No. 8の発表以外でウォルマートがニュースになった最近の話題は、2020年の秋に、従業員が大統領選挙の直前に棚から銃や弾丸を持ち出すように指示されたということでした。[6]

結論

アメリカ人の多く、特に沿岸部では「ウォルマート」という名前から健康的なイメージを連想しません。ウォルマートが、薬局の買収やStore No. 8の取り組みを通じた健康増進の新たな取り組みで、低所得層の店からワンストップの健康ショップへとブランディングを変えようとしていることは明らかです。

このモデルに移行することにより、特に家族層に対してアピールすることができるようになり、診療所や薬局が住宅地からかなり離れた場所にしかない小さなアメリカの街で支持されるようになるだろうと言われています。


参照元:

[1] https://economictimes.indiatimes.com/news/international/business/walmart-sells-majority-stake-in-japanese-seiyu-supermarket/articleshow/79243554.cms

[2] https://www.storeno8.com/about-us/our-story

[3] https://www.businessinsider.com/walmart-is-quietly-starting-a-venture-to-guide-healthy-shopping-2021-1

[4] https://en.wikipedia.org/wiki/Criticism_of_Walmart

[5] https://www.peopleofwalmart.com/category/featured-creature/page/2/?gdsr_sort=rating&gdsr_order=desc

[6] https://www.wsj.com/articles/walmart-pulls-guns-ammo-displays-in-u-s-stores-citing-civil-unrest-11604002136

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