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男性を魅了するセクシーな女性下着や、スーパーモデルたちが出演する毎年恒例のファッションショーで知られる米大手下着ブランド「Victoria’s Secret (ヴィクトリアズシークレット)」が、時代遅れであったブランディングを大改革し、ブランドを再構築すると発表し話題になっています。
米大手下着ブランド「Victoria’s Secret (ヴィクトリアズシークレット)」とは?
1977年にアメリカのカリフォルニア州で設立された下着ブランド「Victoria Secret (ヴィクトリアルズシークレット)」。現在アメリカ全国で775件ある店舗は、設立当初「男性でも気軽に買える下着ストア」というコンセプトのもと、男性が魅了されるセクシーな女性下着が売られていることで瞬く間に有名なブランドとなりました。
また同社は、ほかの下着ブランドと差別化をはかるため、1995年から毎年ファッションショーを開催。ブランドの顔となる「エンジェルス(天使)」と呼ばれるスーパーモデルたちの、細く引き締まった身体にセクシーな下着を身に着けステージを歩く様子は、毎年アメリカのプライムタイムで全国生放送されるなどして、ブランドを象徴する大行事になりました。
ヴィクトリアズシークレットの旧ブランディングが時代遅れになったわけ。
女性にとっては一度でも着てみたい、男性にとっては彼女や奥さんに一度は着てもらいたい下着ブランドであったヴィクトリアルズシークレット。そんな大手下着ブランドが2019年に業績不振からアメリカの53店舗を閉じるというニュースが出たときは、驚くというよりも「やっぱり」と思う消費者が多くいました。その理由は、同社のブランディングが完全にアメリカでは時代遅れになっていたからです。
2017年にハッシュタグ(#)「MeToo(私も)」を用いて、主に女性らがセクシャルハラスメントや性的暴行の被害体験をソーシャルメディアで告発する運動が流行ったことをきっかけに、アメリカでは「Feminism(男女平等)」や「Woman Empowerment(女性の社会的地位の向上)」などの考えがさらに浸透しました。そんななかで、ヴィクトリアズシークレットが持つセクシーさや美しさの概念は、昔の女性らしさを助長するものと捉えられるようになり、批判をうけるようになりました。
また、ジェンダー、体型、肌の色などのダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(一体性)が促進され、競合下着ブランドらが早くからトランスジェンダーやプラスサイズのモデルを起用したり、様々な体型に合った下着サイズの展開をしたりと、トレンドにあったブランディングで多くの消費者から支持を得られたなか、ヴィクトリアズシークレットは変わらず細身のモデルを推薦したり、一定の体型のみに作られた下着を売ったりしたため、完全に「時代遅れのブランド」というイメージをつけられてしまったのです。
ブランドの再構築:時代にあった新ブランディングで業績不振から脱出なるか?
2017年におきた#MeToo運動から4年たった2021年の6月、ヴィクトリアズシークレットは今までブランドの看板としてやってきたモデルたち(エンジェルス)を廃止し、新たに「The VS Collective(ザ・ヴィーエスコレクティブ)」として7名のブランドアンバサダーを抜擢しました。
この7人のなかには、有名女子プロサッカー選手でもあり、LGBTQIAの運動家でもあるMegan Rapinoe(メーガン・ラピーノ)や、インドの女優兼歌手で、投資家と運動家でもあるPriyanka Chopra(プリヤンカ・チョープラ)、プラスサイズモデルで、自ら「ボディ・ポジティビティ(みずからの身体を愛すこと)」を唱えているPaloma Elsesser(パロマ・エルセッサー)など、より多様性を重視し、いまの時代の女性が憧れるロールモデルのような存在を集めたラインアップになっています。
同社はこの「VSコレクティブ」のメンバーについて、「ポジティブな社会的変化を推進するという共通の目標をもっている先駆者たち」と説明し、「この新しいアンバサダーたちのエナジー、クリエイティビティと、私たちのネットワークを融合し、すべての女性と深い関係性を築き上げたい」と話しました1。
このヴィクトリアズシークレットのブランド再構築について、多くの消費者やPR専門家は、「時代とトレンドにあった最適なアプローチ」だと支持をしています。しかし、否定的な意見のなかには、「モデルを変えただけで、下着サイズの選択肢が少ないままでは意味がない」や、「ブランドイメージを変えるには、まずは下着のクオリティを高くしたほうがいいのでは」などが見られました2。
まとめ:ヴィクトリアルズシークレットのリブランディング。
20年以上にわたり築き上げてきたブランディングの改革をする決意をしたヴィクトリアズシークレット。企業にとって、トレンドや消費者の考え方が変わっていくにつれ、ブランディングや商品そのものを変化させていくことは必要不可欠だと学ばせられるニュースでした。
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