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市場調査によると、人々はジムに戻ってきているものの、会員数や一般的な利用者数はパンデミック前のレベルには戻っていないことがわかっています。そんな中、多くの人が、運動不足を解消するためにVRを利用し、自宅以外の場所にいるような感覚を味わうようになっています。家庭用VRセットがジムやフィットネスセンターに取って代わられることを心配するのではなく、施設内にこの技術を導入することで、ブームを先取りすることができると考えられます。
はじめに
仮想現実環境を利用したエクササイズは、2000年代初頭から多くのゲーマーに取り入れられてきました。現在ニンテンドー・スイッチのユーザーは、2007年に発売された「Wii Fit(ウィー・フィット)」の続編である「Ring Fit Adventure(リングフィット アドベンチャー)」で、大ヒットゲームの最新エクササイズ技術を目にしたことがあるかもしれません。
現在、自宅でエクササイズをしたいという需要が増しています。2020年初頭にジムが閉鎖されたことで、多くの人が、家にいながらにしてエクササイズをする方法を見つけ出しました。これにより、自宅用のジム機器の購入が急増しただけでなく、ジムの会員権も解約されました。2021年に入ってからも、一部のジムでは利用者の減少を実感しています。1ジムの利用者数は毎月増加していますが、それでもパンデミック前に比べると大幅に減少しています。
しかし、家庭で多くの人に受け入れられているVRによるフィットネス体験のトレンドは、顧客をフィットネス施設に呼び戻すのに最適な方法かもしれません。
ここでは、VRによるフィットネス体験のトレンドを利用した製品やアプリをご紹介します。
VRフィットネスのトレンドに乗るオキュラス社
画像:ヘッドセット「Quest 2」とヘッドセット「Rift」(オキュラス公式サイトより)2
メンズ・ジャーナル誌(アメリカの月刊メンズライフスタイルマガジン)に掲載された読者の意見によれば、ビデオゲームとフィットネスのつながりについて、「自分はゲーマーではないが、毎日自然にVRセットを使っている。最初はゲームをプレイするために必要な動作が運動とは認識してなかったが、プレイ後にはちゃんと疲れて汗をかき、水を飲みたくなった」と述べています。3
フィットネス空間におけるVRの可能性について、このようなパラダイムシフトを経験したのはこの読者だけではないでしょう。パンデミックのピーク時には、ゲーム機がトイレットペーパーと同じくらい売れていました。2020年には640万台のVRヘッドセットが販売されましたが、このペースはパンデミックの規制が解かれた後も続くと思われます。4
VRの代表格であるOculus(オキュラス)社は、このようなVRフィットネスの需要の高まりに対応しました。2020年末には、ユーザーが身につけることでゲーム内やバーチャルワークアウトでの消費カロリーを記録できるトラッカー「Oculus Move」を発売しました。5Oculus QuestおよびQuest 2ヘッドセットと連動し、各セッションでの消費カロリーを測定することができます。
これらのゲームでももちろん体を動かす必要がありますが、中にはフィットネスに特化したゲーム開発に力を入れている企業もあります。
HOLODIA: VRと旧来のトレーニングマシンの融合
画像:左はローイングマシンを使う男性、右はヘッドセットに表示されている映像(HOLODIAサイトより)6
スイスのHOLODIA社は、VRとエクササイズバイクやローイングマシン、トレッドミルなどのフィットネスマシンとを融合してビジネスを展開しています。同社のVRサービス「HOLOFIT」は、Oculus Questストアで購入できるサブスクリプションサービスのゲームで、1人でプレイすることも、グループでチャレンジすることも可能です。オンラインマルチプレイヤーモードを使えば、世界中の人とリアルタイムで競い合えるようになっています。7
月額プランの場合、1ヶ月で約11ドル、1年で約130ドルとなっています。
VZFIT: 仮想世界ではなく、”現実 “の世界でエクササイズする
現在、Oculus Questストアに「coming soon」と表示されている「VZFit」は、どこでもワークアウトができるサブスクリプションサービスであると謳っています。VZFitは、「HOLOFIT」のようにバーチャルなゲームの世界を作るのではなく、既存のグーグル・ストリートビューの映像を利用することを計画しています。開発者であるVirZOOM社によると、既にこのサービスに必要な何百万マイルもの使用可能データを持っているそうです。また、「HOLOFIT」のゲームのように、友達と一緒にワークアウトすることも可能です。Fitbit(フィットネスに関するデータを測定するウェアラブルテクノロジーデバイス)との互換性も備えており、Fitbitの熱心なユーザーにとっては大きな魅力となっています。
VZFitのサブスクリプションは月額約10ドルで、ゲーム内では流行の音楽を使用できます。8
結論
多くのジムやフィットネスクラブが再びオープンし始めている今でも、VRへのシフトは衰えそうにありません。家に居ながらにして運動ができるという利便性は、何物にも代えがたいメリットです。
フィットネスクラブやジムは、VRユーザーが安心して運動できる空間を作ることで、人々に家から出て施設を利用させることもできるでしょう。VRゲームセンターがVRセットを使ってゲームをするためのエリアを設けているのと同じように、フィットネスクラブもそのようなスペースを作り、VRヘッドセットを投入するのです。あるいは、HOLODIAのようなVRセットに対応したマシンに投資することもできます。これなら、安全にVRを楽しむために広いスペースは不要で、トレーニングマシンを使ってVRを楽しむことができます。
誰もが運動のためにVRヘッドセットを購入するお金を持っているわけではないため、VR設備を設置することにより、機器を購入できない人々をフィットネス施設へ呼び込むことができるでしょう。最新技術を無料で利用できる施設の会員になる方が、機器を自分で購入するよりも現実的な選択肢と言えます。
デジタル化が進むにつれ、商業施設は顧客に何をどのように提供するかを考え直さなければなりません。VRの設備を使ってデジタルの世界にアクセスできるようにすることは、時代に即した方法の一つとなっています。
参照元:
[1] https://www.tribdem.com/news/starting-to-come-back-gyms-regaining-membership-slowly-with-help-from-expanded-vaccinations/article_3ab27414-9238-11eb-b600-b744c6f3f319.html
[2] https://support.oculus.com/
[3] https://www.mensjournal.com/health-fitness/vr-fitness-is-a-serious-workout-seriously/
[4] https://www.ibc.org/trends/2020-in-review-virtual-reality-gets-real/7106.article
[5] https://support.oculus.com/move/
[7] https://www.auganix.org/swiss-vr-fitness-company-holodia-announces-launch-of-holofit-on-oculus-quest/
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